先日、フジテレビの「ほこ×たて」という番組でやらせのあったことが出演者からの告発で明るみになり、番組が休止するという事案が発生した。これについて、ぼくの感想は複雑なものなので、今回はそのことについて書きたい。

ぼくは、昔バラエティ番組の放送作家をしていた。だから、やらせは当時から数え切れないくらいたくさんあって、「ほこ×たて」の一件は氷山の一角に過ぎないことを知っている。やらせは、少なくともぼくがかかわっていたバラエティ番組業界では、当たり前のように横行している「表現手法」なのだ。

そう、今「手法」と書いたけれども、これは制作者たちの間ではすでに番組の作り方の一つとして定着している。それも、単に「当たり前」のこととして認められているだけではなく、積極的に行うべき「技」として、奨励すらされているのである。

バラエティ業界では、やらせのことを「仕込み」という。この言葉には、「やらせ」という言葉が持つ