不動産を売買するときには、さまざまなケースがあるのだが、売主の側と買主の側、両方に別々の不動産業者がつくケースがよくある。それは、そういうふうに双方に代理人を立てることで、交渉がスムーズにまとまるようにである。この場合、不動産業者は気兼ねなく自分のクライアントの味方をすることができる。だから、売主に不利な情報――例えば一億六千万円で買ったマンションを同じ値段で売ろうとしていることも、買主側の不動産業者は、調べて顧客に教えてくれたりするのだ。
一方、売主と買主の代理を一つの不動産業者が行うケースもあるのだが、この場合は、どちらの味方もできないので、クレームが来たときに思い切った対応ができず、結果的に取引が不調になることも多い。そのため、それを避ける取引は存外に多いのだ。
このときも、そんなふうに売主と買主に別々の不動産業者がついていた。だから