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『仮面ジェンダーV3』第44話「ツイフェミ対弱者男性」
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『仮面ジェンダーV3』第44話「ツイフェミ対弱者男性」

2015-06-28 19:27

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    ■絶対に許さないよ。

     昨今のツイッター界隈を見ていると、フェミ批判喧しいですね。
     いや、むろん、ツイッターというのは任意に好きなアカウントをフォローするシステムですから、ぼくがフォローしている人々がそうした発言をしたり、リツイートをしたりするのは当たり前ではあります。が、その種の発言がtogetterでまとめられる度、多くの人々が注目し、コメント欄が賑わう光景を見ていると、これはあながちぼくの周囲だけの状況ではないように思われるのです。
     彼らはぼくなどではとても敵わないような豊富な知識、熱心な観察ぶり、理路整然とした分析力でフェミニズムの欺瞞を暴いています。

     ――なるほど、それならばフェミニズムはもう終わりではないか。

     いや、それが、どうも微妙なんですね。
     彼らは見ていると、「ツイフェミ」という言葉を使いたがる傾向があるように、ぼくには思われる。そしてぼくが感じる微かな違和が、その「ツイフェミ」という言葉に象徴されているように思うのです。
     ぼくは何度も、「ラディカルフェミニスト/ズム」という言葉を批判してきました*1。そして、そうした言葉を使いたがる人たちは、いわゆる「表現の自由」クラスタが多いのではないかと想像してきました。
     彼らは、グルの命令でフェミニストに逆らうことは許されていない。しかし同時に、フェミニストの非道さに腹を据えかねてもいる。そのダブルバインドに窮し、「法の盲点」を突くために生み出したウルトラCが、定義をねじ曲げた上で「ラディカルフェミニスト」という言葉を流布する、という作戦だったのではないでしょうか。
     ぼくは時々、彼らのことを「ライダーマン」と呼んできました。
     ライダーマンは『仮面ライダーV3』に登場するV3の相棒ですが、当初はV3の敵として姿を現します。本来は正義感の強い科学者だったのですが、人がよすぎるため、世界征服を企む悪の組織デストロンを正義の組織と信じ切って、その一員として活動していたのです。
     組織内の権力争いでヨロイ元帥に重症を負わされ、復讐を誓うのですが、それでも「デストロンそのものは正義の組織だ」→「デストロン基地で子供たちが殺されていくのを目の当たりにする」→「それでもデストロン首領だけはいい人だ」となかなか事実を受け容れることができません。子供を殺したりレイプしたりするくらいで悪者と決めつけるなんて短慮ですよね、わかります。

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    ■絶対に許さないよ。

     彼は仮面ライダーV3と出会うことでようやくデストロンと戦う決意を固めるのですが、いざV3が首領にキックを放つと、思わず身を挺してかばってしまったりもします(V3は切れそうになりつつも、大人の対応でライダーマンを丸め込みます。社会人として、見習いたいところです)。
     そして、上の差し詰め「ツイフェミハンター」とでも呼ぶべき人たちもまた、ライダーマンなのではないか、とぼくには思われるのです。

    *1 「重ねて、ラディカル/リベラルフェミニスト問題について」など。

     さて、話が前後しましたが、この「ツイフェミ」そのものは(当たり前ですが)フェミニズム用語でもないし、例えば「ネット用語一覧」などに載るような人口に膾炙したワードではなく、かなりローカルな言葉です。
     要するに「ツイッターフェミニスト」の略称であり、「ツイッターのフェミニストのつぶやきはちょっと、非道いよな」と思った人々が、彼女らをカテゴライズするために作った言葉なのでしょう。
     しかしそうなるとツイッター以外のフェミニストはまともだ、というリクツに、自動的にならざるを得ない。そしてその「ツイッター以外」というのは、どうも学者などをやっているプロのフェミニスト、ということらしいのです*2。
     どうにも支離滅裂な話です。プロフェミだってツイッターくらいやっているでしょうに。
     彼らの発言を見ていくと、どうも自分たちのグルのガールフレンドたちはポルノ(或いは萌え的表現)に理解を示している(フリをしている)が、ツイフェミたちはポルノにインネンをつけてくる、許せぬ、というのが「ツイフェミ批判」の動機になっているようです。
     もちろん、リベラルのガールフレンドであるフェミニストたちも、ポルノを好ましく思っているとはとても思えない、ということはぼくが幾度も幾度も主張してきましたが*3、彼らはそれだけは認めるわけにはいかないようで、ぼくがいかにご注進申し上げても、決して聞く耳を持ってはいただけません。
     その意味でこの「ツイフェミ」という言葉は、「プロフェミを延命させる」という目的を持って生み出された、「ラディフェミ」「ウヨフェミ」などと同様の、捏造された新たな造語であると言わざるを、ひとまずは得ません。
     念のために申し添えておきますと、「ツイフェミ」という用語を採用している人たちも、一枚岩ではありません。彼らの中にはほとんど同意できない人、かなりの部分が同意できる人、同意できないものの人柄的には好感の持てる人、いろいろな人がいます。
     が、しかし、どうしても気になるのは、彼らが「ツイフェミ」と呼ばれる市井のフェミニストたちだけは執拗に叩く割に、権力を持ち社会的発言力を持ったプロフェミたちにはさほどの執着を見せない、というのは何だか違わないか、ということです。

    *2 一番ラディカルなのは、「ネットにはびこる自称フェミニストはみんな偽物」でしょうか。残念ですが表題の主張の根拠になっているのはまとめ主の「願望」だけのようです。
     ちなみにぼくは既に四年前に、こうした傾向について指摘しています。
    http://blog.goo.ne.jp/hyodoshinji/e/91d57f9db1e45a4382c977e8946cd008
    *3 「夏休み千田有紀祭り(第二幕:ゲンロンデンパ さよなら絶望学問)」など。

     昨今、ツイッター界隈では「弱者男性」と「フェミニスト」という対立構造を論じることが盛んです。フェミニストは強者男性には楯突こうとしないのに、「弱者男性」は躍起になっていじめていると。
     しかしこうしてみると、「ツイフェミ」を叩こうとしている人たちにも同じことが言えるのではないでしょうか。
     彼らは「ツイフェミ」の度を超した男性憎悪の感情について批判することが多いのですが、むしろそれを出版物で垂れ流してきたのはプロフェミの方です。ツイッターは媒体の特質上、それがいささか過剰に表現されるだけで、「学問」を装ってヘイトを垂れ流すプロフェミの方がよほど悪質でしょう。
     そして、ここが肝心なのですが、彼女らの「男性憎悪」はフェミニズムを正しいと仮定すれば、正しいのです。「男性がいついかなる場合も女性を圧倒的に抑圧し、搾取している」のであれば、女性が男性を憎悪することは、不当とは言えなくなるのですから。ツイフェミたちが比較的ポルノや萌えなどに否定的なのもそれで、むしろ、論理的整合性を保っているのは彼女らの方です。
     正直、「ツイフェミ」を場当たり的に批判する行為というのは、彼女らのバックにいるプロフェミに対する考察が、いささか欠けているように思えてなりません。
     先日、三十路茄子氏から、フェミニストの兵頭新児へのバッシングは度を超している、島本秋(現・食人族)氏の方がよほど過激なことを言っているのにそれに比べてもそうだ、と言われました*4。
     これはまあ、恐らく著作があるのでランドマークとしやすいから、ということがあるのでしょうが、更に言うと兵頭はその割に島本氏などと比べて支持者が少なく、デマを流布してつぶすことが容易だとの計算が、彼ら彼女らにはあると思われます。
     しかしもう一つ言うと、ぼくに比べて「ツイフェミハンター」たちがフェミから叩かれないのは、彼らはあまりプロフェミの著作の批判はしないから、ということも一因なのではないでしょうか。
     こうして見ると、「ツイフェミハンター」たちの振る舞いは、何だかデストロン首領に生命懸けの忠誠心を保持したままでデストロンと戦い、そのくせやっつけるのは戦闘員ばかりがせいぜいの、ライダーマンに見えてきます。

    *4 主なものを上げると「ガンダム事変」「伊藤文学事変」でしょうか。ことに「ガンダム事変」をきっかけにぼくのストーカーになった人々はものすごく、「ちくわ」などといった狂人は最近では「兵頭が誰それをスパブロ依頼した」とのデマを流しているのですが、そのデマの根拠となっているのは、「兵頭が、スパブロ依頼をした誰それという人物に、『DMをくれ』とリプしていた」と言うだけのことです。本当、キチガイの考えることはわけがわかりません。

     ちなみにライダーマンはデストロンに在籍していた頃、学者としての腕を生かし、怪人を製造していました。その一体、タイホウバッファローは背負った重火器で味方の戦闘員もろとも、仮面ライダーたちを葬り去ろうとしました。そしてデストロン首領はその怪人を作っていたライダーマンすらも、用済みになれば殺すつもりであったと語っているのです。

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    ■とことんブラックな職場です。

     きっと、ツイフェミハンターとツイフェミが争いを繰り広げている中、タイホウバッファローはその両者を皆殺しにするという無差別爆撃作戦を展開するのではないでしょうか。
     番組の最終回、ライダーマンは悪に荷担していた自らを恥じ、デストロンの東京全滅作戦を阻止するために爆弾ロケットを宇宙で爆発させると共に、大空に散っていきました。仮面ライダーV3はその勇気ある行動に感動し、「俺は君に仮面ライダー4号の名前を贈るぞ」と叫びます。
     それでは果たして、ツイフェミハンターたちは、仮面ライダーになれるのでしょうか
     それともデストロンハンター*5みたいに、いつの間にか消えている人、になってしまうのでしょうか……?

    *5オタク特有のものすごい細かいネタで恐縮です。ライダーマン登場の直前、V3の相棒として「デストロンハンター」というのが登場したのですが、役者さんも大根で、大した活躍もしないまま数話で消えてしまいました。KTB師匠も似たような運命を辿りそうで、今から心配です。

    ■次回予告■

     とう! おっす! はぁ~い、兵頭新児だ。
     やっぱり君、今日もまた読んでくれたね。
     さて、次回は「男性学の専門家」と名乗る男性解放論者が出て来るんだ。
     男性を解放すると称しつつ、力のない中年男性ばかりを狙って殺していくんだ。怖いぞ~。
     そして、今週のお約束。プロフェミが怖いからってツイフェミばかり叩いてちゃダメ。プロフェミの本は「えいや」って読んでブログにレビューを書いちゃうんだ。
     わかったね、約束したよ。
     それじゃあね、今度は「おっす」じゃなくて、ぶいちゅり(はぁと

     

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