結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年10月30日 Vol.031

結城クイズ

「 」の部分を漢字で書けますか。

 1. そのシステムには「ぜいじゃくせい」があります。
 2. コンサートが終わって「はくしゅかっさい」した。
 3. こんなところで会うとは「きぐう」ですね。

何のひねりもトリックもありません。 よく見かけるし読めるけれど、書けないような単語を集めました!

はじめに - 書籍の改訂

おはようございます! (^^)

いつも結城メルマガをご愛読くださり、ありがとうございます! この「はじめに」を書くのは、 あなたあてのお手紙を書いている気分で、毎回たのしみなんです。

本が出ます!

最近の結城の重要なトピックは、Java言語の入門書、 『Java言語プログラミングレッスン』の「第3版」の刊行です。 もう印刷所に回っており、2012年11月には書店に出ることになっています。

 ◆『Java言語プログラミングレッスン第3版』
 http://www.hyuki.com/jb/

この本は、1999年に刊行してから、2003年に「改訂版」、 2005年に「改訂第2版」が刊行され、今回2012年に「第3版」となりました。 当たり前のことですが「改訂を繰り返す」というのは、 読者さんに根強い人気があるということになります。 継続的に応援してくださる読者さんにはとても感謝しています。

結城は、自分の本はベストセラーよりは ロングセラーになってほしいとよく思います。 長いあいだ継続して読者さんのお役に立つような本になってほしい、 そんなふうに考えているのです。

特に、日進月歩で変化も激しいIT業界の中で、 こんなに長い期間生き残っているということの意味は大きいと思っています。 みなさん、いつも応援ありがとうございます。

改訂について

技術書の改訂をするときにとても難しいのは、 何を入れて、何を削るかです。 最新の情報を入れて更新すればいいってわけじゃありません。

情報を入れればそれだけ本は厚くなります。 厚くなれば高くなり、読者の負担も大きくなります。 ですから、

 「あえて、この情報は書かない」

という判断が必要になります。 それは、著者にとって恐いことです。なぜなら、

 「この情報が書いてない、あの情報が書いてない」

と批判されるかもしれないからです。 もちろん、入っているべき情報が入っていないのは問題ですが、 すべてを入れればいいというわけでもない。そこが難しい。

「情報が足りない」という批判を避けようとして、

 「厚くなってもいいから、すべてを入れてしまえ」

という判断もありえます。それも立派な判断です。しかし今度は、

 「分厚くなって読みにくくなったね」

と批判されるかもしれません。 本を書くのはいつもトレードオフです。とても難しい。

結城は著者として何らかの判断をするわけですが、いつも、

 「読者のことを考える」

を中心にしたいと思っています。つまり、

  • この本の読者さんに必要なことは入れる。
  • この本の読者さんに(少なくともいまは)必要じゃないことは、 熟考した上で省く。

つまり「こういう批判を受けるかも」という不安は脇に置き、 この本を手に取る読者のことを想像して書く。 基本はそこにあると思っています。

もちろん、そのような取捨選択がいつもうまくいくとは 限りませんが、自分の「姿勢」としてはそうありたいということです。

すべての読者を満足させる完全な本はありえない。 だから著者としては、

 「私はこの本を通して読者にこれを伝えたい」

という判断をするともいえるでしょう。 それが著者の仕事です。

結城はいつも「自分の本がたくさん売れますように」という願いではなく、

 この本を必要としている読者さんのもとに、
 無事に届けられますように。

という願いを持っています。 もちろんたくさん売れるのは生活の上でも助かりますが、^^; ほんとうに大切なのは、 「たった一人の、あなた」に届くかどうかではないだろうか。

そんなふうに思っているのです。

 『Java言語プログラミングレッスン第3版』も、
 この本を必要としている読者さんのもとに、
 無事に届けられますように……

それでは、今回のメルマガを始めましょう!

目次

  • 結城クイズ
  • はじめに - 書籍の改訂
  • 結城浩セミナー/プレビュー版(6)
  • 教えるときの心がけ - ドットインストール
  • 結城クイズの答え
  • 次回予告 - 手書きノートのスナップショット(7)