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【No.32】東電のずさんな管理と規制庁の緩いチェックで汚染水問題が拡大
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【No.32】東電のずさんな管理と規制庁の緩いチェックで汚染水問題が拡大

2015-06-04 15:39
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    木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                       2015/6/4(No.032)
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    [目次]
    1.東電福島第一原発事故トピック
    東電のずさんな管理と規制庁の緩いチェックで汚染水問題が拡大
    2.気になる原発事故ニュース
    3.編集後記
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    1.東電福島第一原発事故トピック
    【東電のずさんな管理と規制庁の緩いチェック──汚染水問題は改善するの?】

     2015年5月29日の13時過ぎ、東電は報道関係者へ「側溝に敷設されている耐圧ホースからの水の漏えいについて」というタイトルで一斉メールを送信した。タンク群の中に設置している「1000トンノッチタンク」から3号機建屋地下に移送していた汚染水が漏えいし、情報公開で問題になったK排水路を経由して港湾内に流出していたという連絡だった。建屋地下に移送していたということは、それなりに濃度が高いことを意味する。

     さらに16時半過ぎ、K排水路の出口付近で1リットルあたり1200ベクレルの全ベータ放射能を検出したというメールがあり、30日深夜1時過ぎには、ノッチタンク内の汚染水は1リットルあたり110万ベクレルの全ベータ放射能を含むことが知らされた。あわせてK排水路出口付近の全ベータの濃度は、29日14時に6600ベクレルになっていたことも明らかに
    された。徐々に高い数値が明らかになっていくのは、原発事故直後に放射能の拡散状況が明らかにされず、後になって汚染が広範囲に広がっていたことを思い起こさせた。

     この汚染水漏洩事故に関して、東電は後に会見で、移送後の確認作業ができていなかったことや、他の工事との干渉により耐圧ホースからPE管(ポリエチレン管)への交換作業が遅れていたことを原因として挙げた。

     けれどもこの説明は明らかに、過去の説明と異なっている。そして最大の問題は、「どうしてこんな耐圧ホースに、濃度の高い汚染水を流したのか」について、東電がきちんと説明しないことだった。

    <凍土壁などを優先したので工事できなかったという東電>

     汚染水の流出は、移送を停止したり、排水路からバキューム車で水を回収したほか、流れ出ていた排水路に土嚢を積むなどしたことで徐々に収まっていった。

     汚染水漏えい事故に関して東電は、東京本店では、週明け月曜日(6月1日)の定例会見で詳しい説明をした。東電によれば、汚染水が漏えいした配管は「耐圧ホース」というホースで、推定漏えい量は7〜15m3だった。移送を開始したのは5月27日で、同日に127m3、28日に86m3を流し、29日には9時から移送を開始。10時8分に、たまたま通りがかった作業員が漏えいを発見し、10時26分までに23m3を流したところで移送を停止したという。

     また1000トンノッチタンク(小さい角形タンクをつなげて総貯蔵量を1000トンにしたタンク群)には、2013年春に漏えいが問題になった地下貯水槽の貯留水が約3分の2,残りは高濃度汚染水を貯めている大型タンク周辺の堰内などから移送した雨水由来(とはいえ汚染されている)の汚染水を貯めていたこともわかった。

     漏洩か所については、ホースが屈曲している部分に1cm×0.2cmの楕円状の亀裂があり、ポリ塩化ビニール製ホースが柔らかくなっているという記載があった。(資料6P)

    「1000tノッチタンクから3号機タービン建屋への耐圧ホースからの漏えいについて」
    http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2015/images/handouts_150601_06-j.pdf

     そして資料では漏えいの原因として、2013年10月にホースを設置したあと点検が不十分だったとした上で、「当該ホースは漏えいリスクが大きいことを認識しており、昨年度から優先で PE管(ポリエチレン管)に取り換える工事を進めていた」が、凍土壁工事との干渉などによって一部が施行できなかったと分析していた。ホースの経年劣化については、「これら(施工遅れ)の状況により、(中略)当該ホースを長期間使用することになっていたが、ホースの経年劣化を発見できなかった」のだという。

     加えて、すべての移送ラインでは移送開始後に漏えい確認などを行うことになっていたが、この移送ラインについては手順書が作成されておらず、明確な指示ができなかったとした。そして、このホースの使用をすぐにやめて、1週間程度でPE管に交換すること、チェックを万全にする手順書を作成するなどの対策が記されていた。

     というのが東電の分析による原因と対策だけども、どう考えても奇妙な点がいくつかあった。

    <ホースの漏えいリスクは、3年前に深刻化していた>

     もっとも大きな疑問点は、東電が、「当該ホースは漏えいリスクが大きい」と認識し「昨年度から」ホースの交換を進めていたという部分だ。この点について小林照・原子力立地本部長代理は会見で、NHK記者からリスクを認識したのはいつかと聞かれ、「今年の3月に同じような耐圧ホースからの漏えいがあった」ことでリスクと認識し、「リスクの総点検でも対象として挙げた」と説明した。

    「福島第一原子力発電所の敷地境界外に影響を与えるリスク総点検 〜検討
    結果 〜」(2015年4月28日)
    http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2015/images/handouts_150428_03-j.pdf

     しかし、リスクを認識したのが最近だったという説明は、明らかに事実と異なる。

     東電が「耐圧ホース」と呼んでいるホースは、事故直後のドタバタ時期に汚染水の移送のために大量に使われていた塩化ビニール製ホースのことだ。当時は商品名のままに「カナフレックス」と呼ばれていたこともあった。

     この塩ビホースは、使用当初から耐久性に難があることがわかっていた。案の定、2012年初頭までにはあちこちで穴があき、汚染水の漏洩事故が頻発した。2012年1月7日付の産経新聞電子版は「循環ホースに亀裂 汚染水凍結の恐れ 福島第1原発、冬の「落とし穴」」と題して、当時、頻発していた塩ビホースからの漏えいについ次のように報じている。 
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