1年前と同じ宵闇の浜辺に、1年前とは違う僕らがいた。先祖の御霊を見送った送り盆に浜で開かれる盆踊りの夜だった。まるで現世の人々を見守る御霊のような提灯のやさしい明かり。地元の少年少女によるお囃子。小さな櫓を囲んで浴衣の袖が涼しげに揺れていた。

「柔らかい砂浜の上で踊るには下駄よりもビーサンなんだね」

「ホントだ、浴衣なのにビーサン」

 1年前は見落としていたその間違い探しが発見できるくらい僕らは心に余裕ができたのかもしれない。