裏手にある里山から焚き火の匂いがした。さつまいもを一緒に焼いているような仄かな甘い匂いもした。波光が眩しかった。さざ波にも似た小さな雲片の集まりが空一面に幻想的な模様を描き出していた。縮こまった筋肉を丁寧に伸ばしてからゆっくりと走り始める。いつの間にか吐く息が白くなっていることに気づく。
e6fa4efa971716e4d764cfbf3e91a40892a593b6