夜の訪れを待って、家族三人で里山に繰り出した。月明かりのない絶好の闇夜だった。向かったのは海沿いの国道と交差して流れている小川だ。少しだけ川上に行ったところに、六月のこの時期にだけ闇夜を回遊する蛍の光を堪能できる場所がある。それは娘が生まれたときから一度見せてあげたい光景だった。