娘と散歩に行った妻が紫陽花の花束を持ち帰った。浜へと続く小径の無人販売所に百円で置いてあったそうだ。リビングの窓辺に飾ると海の上に広がる厚い雲と相まってより梅雨らしさが増した。
「みて!」
 まじまじと紫陽花を見ていた娘が声を上げた。近づくと濃い緑の葉に小さな蝸牛が乗っている。