小さな壁掛け時計を買った。時針は黒、分針は赤とそれぞれ文字盤の色と対になっている子どもにも優しいデザイン。娘が保育園で時計を見て生活することを始めたのにあわせての購入だった。辿々しくもしっかりとした言葉で確認するように時を告げる。目が覚めたら朝で、陽が沈んで眠くなったら夜と太陽と体内時計だけで時を計っていた娘が、古代エジプトで生まれた「時刻」を読み始めたのはまるで人間の進化を目の当たりにしているかのようでなんとも感慨深い。一方で、この世界に新しく入って来た人に何の説明もないまま、生まれる前からのルールを受け入れさせるのってフェアじゃないんじゃないの、という危惧も心の片隅にはある。