娘が薄着になりたがる。春が過ぎた辺りからか。少しでも太陽が顔を出していれば「今日暑い?」と半袖と短いズボンを履く。「肌寒いから羽織る物があってもいいんじゃない?」「転んだときに膝を擦り剥かないように長いのを履くのもいいんじゃない?」と提案しても薄着の方を選ぶ。娘だけかなと思ったが違うようだ。保育園に着くと肌寒い園庭を子どもたちが薄着で駆け回っている。中には裸足の子さえいる。ぼくは思い出す。かつて人間が裸だったことを。数万年以上前の話だ。狩猟時代に入ると寒さを凌ぐ為に毛皮をまとったのが衣服という文明の始まりとされている。