山間の高速を降り、畑のある里山を通って、海へと続くいつものトンネルを抜けると、134号線沿いには通り雨が降っていた。賑わっていた浜に人の姿はなく、灰色の海と空は地平線の境目もはっきりとしない。 

 立秋から2週間。夏の残り香を燃やし尽くすような残暑と、はっきりしない空模様の悲秋との間を振り子のように揺れ動きながら、今年もまた短過ぎる夏がその寿命を終えようとしていた。