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マクガイヤーチャンネル 第79号 2016/8/8
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おはようございます。いまだに『シン・ゴジラ』の興奮冷めやらぬマクガイヤーです。

ネット上の『シン・ゴジラ』評をチェックしているのですが、やはり評判良いですね。そして、上手く批判できたらバズれる!というムードも感じています。おれもそんなムードにいっちょ噛みしたい!



マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。



○8/11(木)20時~

「『シン・ゴジラ』とゴジラ評論」

7/29より期待の怪獣映画『シン・ゴジラ』が公開され、各所での評価も上々です。

日本製作のゴジラシリーズとしては12年ぶりであり、総監督・脚本は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』を中断して参加する庵野秀明です。また、監督・特技監督を『平成ガメラ』シリーズや『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』で腕を奮った樋口真嗣が務めます。特撮博物館や、そこで上映された『巨神兵東京に現わる 劇場版』のコンビが、ギャレス版『GODZILLA ゴジラ』後の日本版『ゴジラ』を作るわけです。日本映画界におけるこの夏最大の話題作といっていいでしょう。

そこで、いったい『シン・ゴジラ』とはどういったものかについて語りたいと思います。

是非とも『シン・ゴジラ』を鑑賞後にお楽しみ下さい。

実力派アシスタントが出演予定です。

お楽しみに!



○8/16(火)20時~

「マイナー生物大バトル(仮)」

先日ゲストとして漫画家 山田玲司先生が主催する山田玲司チャンネルに出演しました。

先生は『Bバージン』『絶望に効くクスリ』『ゼブラーマン』などの著作でお馴染みですが、先生は『Bバージン』の後半や『ドルフィンブレイン』でもお分かりの通り、生物に造詣の深い方でもあります。

そこで8月スペシャル番組として、山田玲司先生をお迎えして生物について2時間たっぷりお話することになりました。

山田玲司先生をお迎えするのに漫画のことを全く語らないこの贅沢さに驚け!

アシスタントはしまさんが務めてくれます。



○8/21(日)20時~

「夏休みスペシャル ドクターのお宅訪問!」

毎年恒例となっておりますこの企画。

いつもはワニスタからお送りしている当番組ですが、夏休みで家族がいない隙を狙って、マクガイヤー家から生放送でお送りします。

初めてマクガイヤー邸を訪問するしまさんは暑さに耐えられるのか?

昨年と比べて玩具はどれくらい増えたのか?

ダサいTシャツはどれくらい出てくるのか?

乞うご期待!



また、こちらはチャンネル外の放送なのですが

○8/16(火)16時~

山田玲司のYSファンクラブ『マクガイヤーx女性ファン』

にゲストとして出演します。

全編無料でみることができます。




番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。

マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html

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新製品のファインディング・シーマン Tシャツ

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……等々、絶賛発売中!




さて、今回のブロマガですが、再度『シン・ゴジラ』について語らせて下さい。


前回のブロマガで書き忘れたことが二つあります。



まず、映画監督が役者として出演する映画の例として、庵野秀明監督の『式日』を紹介するのを忘れていました。

『式日』は「カントク」と呼ばれる男が主人公です。この男を演じるのが、よりによって岩井俊二なのです。

、そしてヒロインは、当時庵野と交際していたという噂のあった藤谷文子であり、藤谷文子が自分の家族関係を反映させて書いた小説『逃避夢』が原作となっています。

ロケ地は庵野秀明の出身地である山口県宇部市であり、松尾スズキと林原めぐみが主人公とヒロインの心の声的なナレーションを勤めているのも、庵野秀明のフィルモグラフィーを考えると面白いところです。

なぜ岩井俊二が主演を務めているのかというと、それは「映画監督だから」なのでしょう。



もう一つは、映画の中に監督の分身として登場する科学者のことです。


1954年の初代『ゴジラ』の中で、主人公を演じる宝田明が志村喬演じる山根博士の自宅を訪れるシーンがあります。

その中で、ゴジラへの徹底抗戦を訴える宝田明に対し、山根博士は「帰ってくれたまえ」と言い放ちます。

「君までもがゴジラを抹殺しようと言うのかね。帰りたまえ、帰ってくれたまえ」


また、平田昭彦演じる芹沢博士は、オキシジェン・デストロイヤーという唯一ゴジラに対抗できる兵器を開発しながら、なかなか使おうとしません。存在すら隠そうとします。

元許婚であった河内桃子の懇願と、テレビから流れる野戦病院みたいな所で治療する人々、玉音放送に耳を傾けるがごとくラジオに集まる人々、伊福部昭作曲の鎮魂歌「平和への祈り」を合唱する女学生という映像――つまりは「戦争」――を目にし、やっと翻意するのです。

それでも芹沢は「オキシジェン・デストロイヤーを使うのは今回一回限り」と念を押し、実験記録を焼くことさえします。小保方さんの事件を例に出すまでもなく、科学者にとって設計図というか実験ノートは命の次に大事なものです。設計図も実験記録も無くなれば、芹沢がいない限り誰もオキシジェン・デストロイヤーを再現できません。

つまり、芹沢はこの時、自分の死を決意しているのです。


なぜ山根博士も芹沢博士も、ここまでゴジラに肩入れしているのでしょうか?

ゴジラは都市を火の海に変え、沢山の市民を殺しました。9年前に起こった東京大空襲や広島と長崎への原爆投下――何度も書きますが、つまりは「戦争」の再現です。普通に考えれば、ゴジラが憎くて憎くて仕方が無いはずです。宝田明や河内桃子の感覚の方が普通なのです。


これには、はっきりとした理由があります。


『ゴジラ』の本多猪四郎監督には、3度の徴兵経験があります。

この世代の映画人にとって徴兵や兵役経験はありふれたものですが、3度というのは珍しいです。

徴兵されても、幹部候補生に志願しなければ、通常なら兵役は2、3年で済みます。しかし、本多監督が軍隊にいた期間は8年半(最初の兵役で入営した部隊に前年までいた幹部が226事件を起こしたことへの懲罰的人事だといわれています)の長きにわたり、この間に両親や兄弟が全て他界しました。

在任期間が長いので軍曹を務め、2回目の徴兵では慰安所の管理までしており、その時の経験を「映画芸術」に寄稿していたりします。このことは、『本多猪四郎 無冠の巨匠』に詳しく書かれています。

そして、三度目の徴兵で終戦を迎え、中国での半年間の捕虜生活後、日本に帰国します。引き揚げ時に汽車の中から原爆によって壊滅した広島の様子をみています。

更に、徴兵が長引いたため、東宝で同時期に山本嘉次郎の助監督を務めた仲間である黒澤明や谷口千吉に何年も遅れ(黒澤明は兵役を免除されました)、40歳で劇場映画の監督デビューを果たしました。


「日本の男にとってひとつの成人の区切り」として徴兵に応じる一方、「私だって好きこのんで軍隊にきているのではない。鼻もかめないような赤紙に自分の名前が書いてあっただけでこんなところへ来ている」と慰安婦の相談に乗る本多監督。「自分の人生は戦争とは切っても切り離せないものだった」「被害者が加害者になり、加害者が被害者になると云う、この繰り返しの恐ろしさが戦争なのだ」とノートに書く本多監督。東宝の8・15シリーズの依頼を断り「戦争なんてのは映画で描けるようなもんじゃない。もっとすごいものだ」と語る本多監督。自らの映画人生をふりかえってどう思われますか?と訊かれ「まあ、戦争も体験したし……。戦争体験がなければ、ぼくというものはないだろうし」と、まず戦争体験について語る本多監督。


そんな本多監督が、宝田明や河内桃子のような戦後世代と、戦争の象徴であるゴジラ、二者を前にした時、どちらにつくでしょうか?



(この続きは有料でお楽しみください)