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マクガイヤーチャンネル 第168号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その6 ブラックユーモア短編その1】
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マクガイヤーチャンネル 第168号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その6 ブラックユーモア短編その1】

2018-04-25 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第168号 2018/4/25
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    先の週末に御蔵島に小旅行に行きまして、イルカと泳いで来ました。

    天気も海況も良く、命の洗濯ができた気分です。これで1年間頑張れるぞ!




    マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。


    ○4月28日(土)20時~

    「『レディ・プレイヤー1』と『ゲームウォーズ』とスピルバーグ」

    4/20よりスピルバーグの新作映画『レディ・プレイヤー1』が公開されます。

    本作はアーネスト・クラインが2011年に発表したオタクコンテンツのスーパーロボット大戦のようなSF小説『ゲームウォーズ』を原作としています。VR空間を舞台にデロリアンやビバップ号が疾走し、レオパルドンやボルトロンがバトルするさまに、そのスジの読者は狂喜したものでした。

    そんな『ゲームウォーズ』が映画化される、それもスピルバーグの手によって! スピルバーグによる有名小説やコミックの映画化は、ガッカリする結果になることもままあるのですが、予告をみる限り誰もが納得する映画化のようです。また、スピルバーグが全作品に渡って追い求めてきたテーマ「大人になること」「Homeを求めること」も当然のように含まれているでしょう。

    そこで、これまでのスピルバーグ作品を振り返ると共に、『レディ・プレイヤー1』とその原作『ゲームウォーズ』について解説するのニコ生放送をお送りします。

    アシスタントとしてアメコミ翻訳家の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)を再度お招きする予定です。



    ○5月3日(木)20時~

    「『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はなにがインフィニティなのか」

    4/27に期待の新作映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が公開されます。

    究極のお祭り映画にしてイベント・ムービーである本作を観ない人なんていないと思いますが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)シリーズもこれで19作品目、ここからMCUに入るのに躊躇している人もいるかもしれません。

    そこで、これまでのマーベル映画作品を振りかえると共に、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を100倍楽しめるような放送をお送りします。

    ゲストとしてアメコミ翻訳家の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)を再度お招きする予定です。



    ○5月26日(土)20時~

    「石ノ森ヒーローとしての『仮面ライダーアマゾンズ』」

    『仮面ライダーアマゾンズ』はシーズン1、2がAmazonプライム・ビデオで独占配信されている特撮シリーズです。

    いわゆる平成ライダー1期のスタッフが『アギト』でも『ファイズ』でも『カブト』でもやれなかった仮面ライダー、あるいは石ノ森ヒーローとしての限界描写を突き詰めたような内容で、自分はおおいに楽しみました。

    そんな『アマゾンズ』が5/19に『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』として、劇場公開されるそうです。それも、これまで意欲作(と自分には思える)春のスーパーヒーロー大戦映画枠を廃止してまで公開する劇場版です。未だ詳細な公開日が発表されていないことが気になりますが、大いに期待しています。

    そこで、これまでの『仮面ライダーアマゾンズ』を振り返ると共に、あるいは石ノ森ヒーローとしての『アマゾンズ』に迫りつつ、劇場版を予想するニコ生放送をお送りします。

    今度のシロタロスは裏切らないぜ!

    アシスタント兼ゲストとして、友人の虹野ういろうさんをお招きする予定です。




    ○6月初頭(日程未定)20時~

    「最近のマクガイヤー 2018年6月号」

    いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

    詳細未定



    ○5月5日(土)開場12時、開演13時~

    「山田玲司とDr.マクガイヤーのエロコンテンツバトル」 in 阿佐ヶ谷ロフトA

    漫画家山田玲司とDr.マクガイヤーによるプレゼンバトル第二弾。

    今回のバトルテーマは素直に「エロコンテンツ」!

    「実はエロい」「意外にエロい」「本当はエロでしかない」……漫画やテレビや映画やその他のコンテンツについて、熱くトークバトルします。

    果たしてどんなエロ話が飛び出すのか?!

    イベント詳細は↓

    http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/86342

    チケットは4/6 12時より↓から購入できます!

    http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002257405P0050001P006001P0030001



    ○『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』トークイベント@川越スカラ座

    映画評論家の映画評論家の町山智浩さんが川越スカラ座で行なう『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のトークイベントに、自分も登壇することになりました。

    尊敬する町山さんのイベントということで今から緊張していますが、なにしろ『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督の新作にして衝撃作です。全員が映画を観た直後ということで、面白いトークイベントになると思います。チケットは完売しましたが、現在キャンセル待ち受付中だそうです。

    詳細は↓をご参照下さい。

    http://event.k-scalaza.com/?eid=1264487





    ○Facebookにてグループを作っています。

    観覧をご希望の際はこちらに参加をお願いします。

    https://www.facebook.com/groups/1719467311709301

    (Facebookでの活動履歴が少ない場合は参加を認証しない場合があります)



    ○コミケで頒布した『大長編ドラえもん』解説本ですが、↓で通販しております。ご利用下さい。

    https://yamadareiji.thebase.in/items/9429081





    さて、今回のブロマガですが、前々々回に引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、それもブラックユーモア短編について書かせて下さい。

    いよいよこの時がやってきましたね。


    ●Ⓐにとっての短編

    仮に自分がⒶ作品で最もお勧めの作品は何かと問われたら、『まんが道』『魔太郎がくる!!』を頭に浮かべたりしながらも、「ブラックユーモア短編群」という答え方をすると思います。

    それほどⒶのブラックユーモア短編は面白いのです。


    Ⓐにとってのブラックユーモア短編は、ちょうど藤子・F・不二雄にとってのSF短編と同じ立ち位置にあるといえるでしょう。どちらも、『怪物くん』『ドラえもん』に代表される児童向け漫画と並行して描かれました。どちらもバラエティに富み、どちらもクリエーターとしてのⒶやFの本質を映し出している作品です。

    ただし、発表された時期が違います。Ⓐのブラックユーモア短編は1968年の短編版『黒ィせぇるすまん』を最初とし、そのほとんどが1973年までに発表されました。その後は年に数作しか描いていません。一方、Fは1969年の『ミノタウロスの皿』を最初としますが、1983年あたりまで発表し続けています。

    この理由は単純で、Ⓐがブラックユーモア短編で追求したテーマは、その後1969年から連載開始された連載版『黒ィせぇるすまん』や、1972年から連載した『魔太郎がくる!!』、『夢魔子』や『戯れ男』『番外社員』などの短期連載作にしっかりと結実したからです。これは、Fが連載作ではやれなかったテーマを発表したり、ストレスを解消するために短編を描いていたのとは対照的です。

    ついでに書いておくと、Ⓐの初のブラックユーモア短編は『小池さんの奇妙な生活』、Fの初のSF短編は『スーパーさん』ではないかと議論になるところもよく似ています。



    ●タブー+風刺=ブラックユーモア

    文学青年であるⒶは元々、奇妙な味わいのする海外作家の短編を好んで読んでいたそうです。


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    中年に近づきつつあった少年漫画家たちには、少年漫画誌には描くことのできない材料を漫画にできる青年コミック誌に新鮮さを感じたのは当然である。少年漫画家たちがきそって、青年コミックを描いた。僕たちも又……。

    『ビッグコミック』を中心に、『黒いセールスマン』『ひっとらあ伯父さん』(引用者注:いずれも原文ママ)『ミノタウロスの皿』といったブラック・ユーモア漫画を続けて描いた。だいたい僕たちはロアルド・ダールやスタンリィ・エリン、リチャード・マシスンといったいわゆる“奇妙な味”の作家の短編がすきだった。こういう一味変わった短編漫画を描いてみたいと前から思っていたのだが、少年誌には描く機会が無かったのだ。

    『二人で少年漫画ばかり描いてきた』

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    ですが、「奇妙な味わい」と「ブラックユーモア」はイコールの関係ではありません。

    ブラックジョーク、ブラック・コメディ、ダーク・コメディ……様々な呼ばれ方をしますが、これらに特徴的であり必須な要素は二つあります。

    タブーを描くことと、社会に対する風刺があることです。

    特に重要なのは後者でしょう。生死・差別・偏見・政治・敢えてグロテスクだったりネガティブだったりする表現を公にやること……といったタブーを描くだけでは、「奇妙な味わい」や「告発もの」でしかありえません。必ず「風刺」が必要なのです。

    そしてその「風刺」こそが、漫画でやる最大の意味であり、強みでもあります。現代漫画のルーツの一つが新聞での風刺漫画であるのは、歴史的な意味からだけではありません。時代を鋭く描き、誰もが気づかなかった暗部や問題点を白日の下に晒すと同時に、そんなことをしている自分も含めて軽く笑い飛ばす――批判性と娯楽性の同居こそが、漫画の最大の魅力なのですから。



    ●時代を先取りしまくるⒶ

    そんなわけで、Ⓐが過去に発表してきたブラックユーモア短編の中には、当時は皆が「奇妙な味」としか感じず、よき市民である自分とは関係ないと受け止めていたにも関わらず、現在ではしっかり社会問題とみなされているものが描かれていたりします。

     
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