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【第283号】ジョージ秋山作品とポエム(後編)
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【第283号】ジョージ秋山作品とポエム(後編)

2020-08-05 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第283号 2020/8/5
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    おはようございます。

    いきなり熱くなってバテバテなマクガイヤーです。

    梅雨の時は早く晴れてくれと願い、本格的に夏になったら一雨欲しいと願う。人間なんて勝手なものですね。




    マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



    ○8月17日(月)19時~「湯浅政明と『日本沈没2020』(仮)」

    7/9よりNetflixで湯浅政明監督によるアニメ『日本沈没2020』が配信されています。

    小松左京のSF小説『日本沈没』は「日本人とはなにか」をSFというフィールドで描いた名作ですが、これまで映画化・テレビドラマ化・マンガ化と、様々なメディアで語りなおされてきました。いずれの作品もその時々の「いまの日本」を描こうとしていました。

    湯浅政明監督による『日本沈没2020』もこの系譜に則りつつ、『マインドゲーム』『夜明け告げるルーのうた』『DEVILMAN crybaby』などで披露した作家性が詰まった作品でもあります。

    そこで湯浅政明のフィルモグラフィーと共にSFとしての『日本沈没2020』について解説するようなニコ生を行います。

    ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



    ○8月31日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2020年8月号」

    詳細未定。

    いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



    ○藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

    当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

    https://macgyer.base.shop/items/19751109


    また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

    https://macgyer.base.shop/items/25929849


    合わせてお楽しみ下さい。




    さて、今回のブロマガですが、前回の続きとしてジョージ秋山の魅力について語らせて下さい。




    ●ポエムのテーマは愛と自我

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    だれしも幽霊について語るが

    幽霊をみたものはいないように

    だれしも愛について語るが

    愛をみたものはいない

    『デロリンマン』より)

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    むかし

    人間の心に愛とよばれる美しい女神がすんでいた

    だがしかしその女神は死んだのだ

    人間が人間の手によって暗黒の大海へほうむったのだ

    (『デロリンマン』より)

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    月にウサギはいる

    サンタクロースは存在する

    神はいる

    そう思ってるうちが幸せなんだなあ 

    『スンズクの帝王 オリは毒薬』より)

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    母は淫売女です パンパンです

    人殺し野郎と淫売女の快楽の性

    どすぐろい性 どすぐろい獣

    パンパン 淫売 女郎 バイタ

    ただれた性 …そしてわたしは生まれた

    そしてわたしは生まれてしまった

    わたしは快楽の犠牲者なのだ

    あの淫売女の、あの独特の不潔さと

    あの下品なからだはいまだに頭からはなれません

    『告白』より)

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    ……と、ジョージ秋山のインパクト抜群なポエムを並べていると、あることに気づきます。

    どのポエムも、「真実の愛の不在」とそれによる「自身の存在の寄る辺のなさ」について語っている、唄っているのです。

    つまり「生まれてこなければよかった」です。

    ニコ生では、ジョージの幼少期に両親から絶対的な信頼感を与えられなかったからではないかという話になりましたが、そういえばアメリカの発達心理学者のエリクソンは乳児期において授乳してくれる母親との信頼関係を通じて「世界が信じるに足るもの、頼ることが出来るものという信頼感が持てるようになることが課題」であり、この何があってもゆるがない世界に対する信頼感をベーシックインカムならぬベーシックトラストと表現しました。

    世界に対する不信、これを通り越した憎悪や怨念、それでも愛や信頼を求めてしまうどうしようもなさを、カネと女を通して描くことがジョージ秋山作品の最大のテーマの一つ、と言い換えても良いかもしれません。



    ●ポエムをかく理由

    なぜジョージ秋山作品にはこのようにポエムが沢山出てくるのでしょうか。

    そもそもなぜジョージはポエムをかくのでしょうか。

    その理由と思しきものが、『告白』の直前に「サンデー」で描かれた『銭ゲバ』に出てきます。

    『銭ゲバ』には新進作家である秋遊之介というキャラクターが登場します。本名である「秋山勇二」をもじった名前であること、当時のジョージと同じ髪型にグラサンであること(『告白』でもこの姿)から、ジョージ本人をモデルとしたキャラクターです。

    秋遊之介は銭ゲバこと蒲郡風太郎の悪行を告発していくのですが、次第に蒲郡の内面に興味を抱くようになり、読者にとっては蒲郡の内心を説明してくれる代弁者のようになっていきます。

    『銭ゲバ』の終盤、秋遊之介は蒲郡のかいた詩を手に入れます。

     
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