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マクガイヤーチャンネル 第289号 2020/9/16
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おはようございます。

一昨日のニコ生「最近のマクガイヤー 2020年9月号」は如何だったでしょうか?

政治から旅行記漫画までと、話題は多岐に渡りましたが、楽しく放送できて満足しております。




マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇9月28日(月)19時~「『TENET』とクリストファー・ノーラン――映画の「時間」と「嫁が怖い」――」

9/18よりクリストファー・ノーラン監督の新作映画『TENET』が公開されます。

『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』等を送り出してきた稀代のヒットメーカーの新作にして、新型コロナ禍の中で久しぶりに公開される大作映画です。

クリストファー・ノーラン監督の映画には大きな特徴が二つあります。

一つは、どの映画にもそれぞれ固有の「時間の流れ」がありますが、他作品に比べて突出してオリジナルな「時間の流れ」があること、もう一つは、主人公の妻が映画が始まる前から大きな役割を果たしていることです。

脚本も書いている『TENET』もこの特徴が炸裂している作品と予想しています。

そこで、クリストファー・ノーランの過去作を振り返りつつ、『TENET』を解説するようなニコ生を行います。

ゲストとしてお友達の編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。



〇10月5日(月)19時~「『デカダンス』とゲームの中で生きるおじさん」

7月8日よりアニメ『デカダンス』が放送・配信されています。

未来世界を舞台としたポストアポカリプスSFかとおもいきや、ある「仕掛け」が2話で明かされる、今期注目のアニメ作品になっています。

この「仕掛け」は、実のところ、取沙汰されている『ウエストワールド』だけではなく、ここ十数年の「いま」のアニメ・映画に特徴するものでもあるのですが、主人公が中年男であるところに、おじさんである自分は泣けてきます。

そこで、『デカダンス』と関連作品について解説するようなニコ生を行います。

ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇10月19日(月)19時~「黒沢清とセカイの恐怖」

10月16日より黒沢清の新作『スパイの妻』が公開されます。

6月にNHK BS8Kで放送された作品の映画版ですが、どう考えても普通のNHKドラマとは思えません。

そこで、映画監督 黒沢清について振り返りつつ、『スパイの妻』について解説するようなニコ生を行います。

ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

https://macgyer.base.shop/items/19751109


また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

https://macgyer.base.shop/items/25929849


合わせてお楽しみ下さい。




さて、今回のブロマガですが……

先日、「山田玲司のヤングサンデー」の『ドラえもん』回にお呼ばれし、楽しくトークしてきました。その際、もし自分が『劇場版ドラえもん』の脚本や企画を川村元気みたく頼まれたら『のび太と闇堕ち出木杉くん』をやりたい、という話を性懲りもなくしたのですが、良い機会なのでプロットというか覚え書き的なものを書かせて下さい。


●コンセプト

以前書いた様に、知識が豊富で、強い正義感や倫理観を持ち、多趣味で好奇心旺盛でロマンチストな出木杉くんはのび太の最大の理解者です。

知識が豊富とか、勉強ができるとか、努力し続けられるとかいった点を除けば、出木杉くんとのび太は同じ要素を持っています。

藤子・F・不二雄自身が、強い正義感や倫理観を持ち、多趣味で好奇心旺盛なロマンチストでありますが、自分のオルターエゴとして、片や努力を続ける理想的な漫画家としての自分、片や辛いことを投げ出してゆっくり怠けたり欲望に走ったりする趣味人としての自分、その要素を分け合ったのが出木杉くんとのび太であると考えます(もっといえば、二つに分かれなかったのが『エスパー魔美』の高畑くんです)。

しかしこれは、のび太にとって出木杉くんは、主人公にとっての「影」のようなキャラクター――共通する部分が多いものの決定的に対照的な何かを持つ、ありえたかもしれないもう一人の自分――であることを意味します。スーパーマンにとってのレックス・ルーサー、バットマンにとってのジョーカー……もっといえば、一時期のMCUやピクサー作品の悪役のほとんどが主人公にとっての「影」でした。

こんなキャラクターが用意されているのならば、血沸き肉踊る『劇場版ドラえもん』の悪役を出木杉くんに務めて貰った方がいいのではないか、というのが発想の原点です。

「のび太と闇堕ち出木杉くん」のタイトルは、タイトルだけでネタバレしてしまうので、あくまでも仮題です。正式タイトルは「のび太と〇〇ユートピア」とか「のび太と〇〇の国」みたいなものが適当でしょうが、ここでは分かり易さを優先した仮題のままとします。


きちんとした劇場版『ドラえもん』というか正統性ならぬ正当性のある「公式二次創作」にするために、


・テレビ本編には影響が無いように(出木杉くん含めた)レギュラーキャラクターが死んだりいなくなったりしない

・映画の前半部分は既存の短編を下敷きとし、日常から非日常への橋渡しとして使う。

・タイムトラベルと箱庭的ユートピアをクラフトするシーンがある

・これまで『ドラえもん』に登場したひみつ道具をなるべく使い、新規にひみつ道具を設定するのは可能な限り避け、その場合も既存のひみつ道具に近しいものにする。

・更に、物語の構成要素として、これまでの『ドラえもん』や藤子・F・不二雄に登場したキャラクターやガジェットに置き換えられるものはなるべく置き換え、可能であればメタ的な意味を持たせるようにする(アメコミ映画やオリジネイターが無くなった後も続くシリーズ作品でお馴染みの手法です)。


……といった、お約束や縛りを守るようにします。


また、シリアスでブラックな展開の後にナンセンスギャグを用意する落語的手法が藤子・F・不二雄の最大の魅力の一つであり、F亡き後の『劇場版ドラえもん』にはこれが足りないと思うので、可能な限りこれを用意します。



●冒頭(アバンタイトル)

――24世紀

爆発炎上する未来的な巨大建造物。走って逃げようとする隊員の制服、天井からの崩落に巻き込まれて壊れる大型タイムマシン船「タイムマリン」、そして建造物に書かれた紋章と文字から、タイムパトロール本部であることが分かります。

煙の中に、青年とロボットのシルエットが浮かびあがります。生き残りの隊員をショックガンで気絶させると、煙の中から歩いてきたのは――青年になった出木杉くんとドラえもんと同型の緑のネコ型ロボットでした。

出木杉くんは少し頭身が上がっており、高校生から大学生のようです。

緑のネコ型ロボットは、1984年に行われた自然応援キャンペーンで活躍した「グリーンドラえもん」を連想させますが、顔の一部がひどく損傷しており、痛々しいです。

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このグリーンのドラえもん、名前は「エモドラン」でも「だろえもん」でも何でも構わないのですが、とりあえず「グリえもん」としておきましょう。


「グリえもん、本当にこれでよかったのかな?」青年出木杉くんが不安そうに尋ねます。