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マクガイヤーチャンネル 第302号 2020/12/16
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おはようございます。マクガイヤーです。

『サイバーパンク2077』を買ったのですが、やはりというかなんというか、プレイする時間が全く無くて困っています。じっくりプレイしたいゲームなので、毎日ちょっとずつというのも難しいです。やっぱり正月休みかな……



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇12月20日(日)19時~「理想のウルトラマンと『ウルトラマンZ』」

6月より放送開始された『ウルトラマンZ』、いわゆるニュージェネレーションシリーズの最新作ですが、過去のシリーズでは『X』『オーブ』でメイン監督を務めてきた田口清隆が本作ではシリーズ構成を務め、映像面でも文芸面でも見どころの多い話題作です。来年夏に庵野秀明企画・脚本、樋口真嗣監督による『シン・ウルトラマン』が公開されますが、10年・20年後にテレビ番組としての「ウルトラマン」を本当に変えたと評価されるのは本作かもしれません。

そこで、映像作品としての「ウルトラマン」を振り返りつつ、『ウルトラマンZ』について解説する番組を行います。

ゲストとしてお友達のナオト(https://twitter.com/Triumph_march)さんをお迎えしてお送り致します。



〇12月28日(月)18時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会スターウォーズ2020」(いつもと時間が異なりますのでご注意下さい)

例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。

2020年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定ですが、今年もほとんどの時間を割いて『スター・ウォーズ』……というか、『クローン・ウォーズ』『マンダロリアン』について語ることになると思います。

ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。



ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年




〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。




さて、今回のブロマガですが、前回に引き続きおすすめ人物ドキュメンタリーについて書かせて下さい。





『FAKE』

森達也が、ゴーストライター問題が発覚以降の佐村河内守に密着したドキュメンタリー映画です。

オウム真理教信者達の日常を追った『A』『A2』で名を挙げた森達也ですが、私生活で子育てに時間をとられたこともあり、主にノンフィクション作家として活動を行い、映像作品は短編やテレビや共同監督のみしか手掛けないという状態が長い間続きました。15年ぶりに発表した長編ドキュメンタリーが本作になります。


森達也のテーマは、映像にしろ文章作品にしろ一貫しています。ニュースや新聞の見出しに載る「オウム真理教は悪」「放送禁止歌は問題があるから放送禁止」「超能力者を騙って世間を騙した者は悪人」……といった、単純で一面的でワイドショー的な価値観に疑問を投げかけたい、もっといえばそれらは思考停止であるので否定したい――というのがそれです。一言でいってしまえば(既存の)マスコミ批判です。『世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい』『世界を信じるためのメソッド ぼくらの時代のメディア・リテラシー』『たったひとつの「真実」なんてない: メディアは何を伝えているのか?』といった著書のタイトルは、そのまま森達也が一生をかけて追い求めているテーマを表しているわけです。


『FAKE』は森達也のそのような姿勢が最も前面に出た作品です。

ゴーストライター問題発覚とそれに伴う騒動からまだ10年も経っていません。だから覚えておられる方も多いでしょうが、当時のメディアやマスコミが佐村河内について発信するイメージは「詐欺師」「ペテン師」「悪人」「社会のクズ」……等々といったものでした。佐村河内が髪を切り、サングラスを外して行った謝罪会見も「失笑」という扱いでした。ちょうど、現在のアンジャッシュ渡部と同じようなものです。

『FAKE』で描かれるのは、そんな佐村河内からみた世の中です。

打ち合わせの場ではフレンドリー極まりないにも関わらず、稀代のペテン師として報じる番組を作るテレビ局局員。日本のメディアの問題を指摘する外国人ジャーナリスト。佐村河内と不思議な関係にある妻。森達也の心情を代弁し、観客にリアクションを促すように撮られる佐村河内家の飼猫。そして、佐村河内は本当に作曲できるのかという問いに対し、実に映画的なクライマックスが用意されています。絶対に森監督は影響されていないし、観ていない可能性も高いのですが、自分は『大日本人』を連想しました。最後に佐村河内が「変身」するのです。

森達也の言葉(https://eiga.com/news/20160728/13/)を借りれば、天才作曲家とペテン師の間にいる佐村河内守の姿が見事に映っています。


一方で、佐村河内の消息が途絶えたいまとなっては、別の考えが頭に浮かびます。

果たして、佐村河内守は約2時間のドキュメンタリー映画の対象になるほど複雑な人間だったのでしょうか? 金銭や名誉を求めて動いているであろう佐村河内よりも、周囲に流されて行動しているようにみえつつ、現在も様々な分野で活動し続けている新垣隆の方が、底の知れない人物のように思えます。

また、「佐村河内守からみた世界」というのも一面的なものの見方なのではなかろうか? との疑念を抱いた方には、是非とも同じ題材を別の面から描いた漫画『淋しいのはアンタだけじゃない』をお薦めしたいところです。森達也も出てきます。



『カニバ パリ人肉事件38年目の真実』

1981年に猟奇殺人事件「パリ人肉事件」を起こした佐川一政をご存じでしょうか。

若者には信じられないかもしれませんが、90年代の、特に前半において、佐川一政はサブカル文化人の一人でした。刑事責任を免れ、社会復帰した佐川一政は「佐川クン」と呼ばれ、マスコミの寵児でありつつ、幾つもの連載を持つ作家でもありました。宅八郎の『イカす!おたく天国』発売記念パーティーに大槻ケンヂや、電気グルーヴ、戸塚宏、なべやかんと共に参加したと書けば、当時の「佐川クン」の立ち位置を分かって貰えるかもしれません。