私は『日米開戦へのスパイ』でゾルゲの功績であるとされる「“日本はソ連を攻撃しない”というゾルゲ情報でソ連は極東軍を西部戦線に送ることが出来、これでモスクワは救われた」というのは事実に反することを書きました。
 確かにゾルゲはソ連のスパイです。しかし、このスパイで日本が被害にあったことはほとんどないのです。でもゾルゲ事件が作られ、ゾルゲは死刑、そして多くの関係者が獄中で死亡しました。その中にヴケリッチがいます。ヴケリッチはクロアチア出身で仏アヴァス通信社(現在のAFPの前身)のジャーナリストとして活動した人物です。彼は山崎俶子氏と結婚し、二人の間に息子洋が生まれます。ヴケリッチの妻山崎俶子氏への最後の手紙は、「坊やにお手紙がどんなに喜ばしたか、よく説明ください。体をお大事にね。此方も精神を一度張ってやるから。では坊や達の パパ ヒロシ ノ オテガミ ドウモ アリガトウ パパモ ヒロシ ガ ダ