トランプ大統領、財務長官にヘッジファンドマネージャーのスコット・ベッセント氏を起用
トランプ大統領が財務省に指名したスコット・ベッセント氏について知っておくべきこと
(President-elect Trump will nominate Scott Bessent, a financier focused on global macroeconomics, as his Treasury secretary, axios.com
トランプ次期大統領は、世界のマクロ経済に注力する投資家のスコット・ベッセント氏を財務長官に指名する予定で、これにより同氏は次期政権の経済当局者トップとなる。
なぜ重要なのか:ベッセント氏は債券市場と為替市場に関する深い知識とトランプ氏との緊密な関係を財務省にもたらすだろう。また、リベラルな理念への巨額献金者で政治的右派のボギーマンであるヘッジファンドマネージャーのジョ
孫崎享のつぶやき
トランプ大統領、財務長官にヘッジファンドマネージャーのベッセント氏を起用。債券市場と為替市場に深い知識。大統領選中、一貫してトランプ支持、資金集めに貢献。税制改革と規制緩和の責任者に。トランプは多大の関税をかける公約をしているが、その危険性を理解。男性の夫を持つ。
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コメント
コメントを書くベッセント氏は、トランプ氏の「関税に対する貿易脅威を軽視している」という評価に対して強く異論を唱えている。
①トランプ氏は「自分を3億3千万人のアメリカ人の市長と考えており、彼らに素晴らしい成果を上げ、素晴らしい4年間を過ごしてほしいと願っている」と語っている。また、関税は貿易相手国との交渉の出発点と見ており、自由貿易者と評価している。
②ベッセント氏は、税制、公的債務、国際金融、制裁処置などの分野を担当する。
③暗号資産を強く擁護している。
④保護主義政策の要である関税を擁護している。反対者は政治的イデオロギー対立者とみなす。関税については、トランプ氏の交渉の道具とみなしているが、絶対視はしていない。トランプ氏と共有している。
財務長官としては穏健派である。強面の関税ばかりに目がいくが、暗号資産を強く支持しており、今後の米国の方向性を示唆しているともいえる。政策に対し柔軟性の保持者であり、債権とか為替に対する姿勢は強く打ちだされ日本に対する影響は大きいのではないかと見ている。
トランプ2.0の方向性について、オルタナティブメディアの識者の見立ては次のようなカンジである。
「トランプは、米国の上層部を支配する諜報界(深奥国家=DS)を潰すために大統領になった。」(田中宇氏)
「間接的な介入と紛争に特徴づけられた外交政策からの脱却の可能性を示していると指摘する。」(ぺぺ・エスコバル氏)
「ドナルド・トランプは、ニッキー・ヘイリーやマイク・ポンペオのようなトロイの木馬が自分の陣営に侵入しないように、忠実な支持者を厳選している。これは、パックス・アメリカーナに信仰を置く「グローバリスト」を完全に拒絶することを意味する。」(MKバドラクマール氏)
https://www.deccanherald.com/opinion/is-donald-trump-a-neocon-3283855
Moon of Alabamaは次のようにトランプ人事を評した。
-------引用ここから-------
トランプが右翼の狂信者を選ぶのは意外ではない。物事を推し進めるには彼らの支援が必要なのだ。
しかし、トランプ氏がこれらの人物を選んだからといって、彼が彼らの言うことに耳を傾けたり、彼らのアドバイスに従ったりするわけではない。トランプ氏の最初の任期は、彼が選んだ人物が長続きしないことがしばしば示された。したがって、これやあれの愚かな人選に絶望する理由はない。
-------引用ここまで-------
さて、最近『西洋の敗北』(文藝春秋刊)が世界的ベストセラーになったエマニュエル・トッド氏はドイツ紙でのインタビューに対して次のように答えた。
-------引用ここから-------
【Q】大統領選挙後、アメリカの状況は改善すると思いますか?
【A】 いいえ、現在の選挙運動は西側諸国の状況を象徴しています。両候補とも奇怪で想像力に欠け、狂っているとさえ言えます。そして、どちらも米国の衰退を止めることはできません。ドナルド・トランプとカマラ・ハリスが米国大統領になることは、ヨーロッパにとって同様に悪いことです。ところで、西側諸国の力の衰退は、地政学的な問題で特に顕著です。
(中略)
【Q】 西側諸国では、BRICS諸国はしばしば「独裁者のクラブ」と呼ばれます。ドイツのような国は、そのようなパートナーと関わるべきでしょうか?
【A】一方には「善玉」である民主主義者がいて、もう一方には「悪玉」である独裁者がいるという議論を聞くと、笑うしかありません。西側にはもはや自由民主主義は見当たりません。米国は自由主義的な寡頭政治です。寡頭政治であるのは、金銭がシステムをコントロールしているからです。自由主義であるのは、多元主義であり、寡頭政治の指導者が多いからです。フランスでは、ミクロ寡頭政治と部分的に独裁的な国家が混在しています。ドイツでは、民主主義の状況はやや良好です。しかし、問題は、ドイツには外交政策に関して主権がないことです。
https://epicenter.bg/article/Emanyuel-Tod--BRIKS-stana-protivoves-na-zagivashtiya-Zapad--koyto-zagubi-voynata-sreshtu-Rusiya/364626/11/34
「西側にはもはや自由民主主義は見当たりません。」このエマニュエル・トッド氏の洞察を、“トランプ再選で民主主義の危機!“などと頓珍漢なことを言っている日本の左派リベラル系知識人は、先ずはよく噛み締めて、上記『西洋の敗北』を熟読したらよいのではないか、と思う。未だに、アメリカ帝国民主党に自由民主主義を見いだしている御仁は、日本の知識人には多いように見える。だから、世界的潮流からズレるのだ。
トッド氏が言うように、トランプは「奇怪」で、「想像力に欠ける」かもしれない。トランプ人事をみれば、“何だ?ネオコンみたいなタカ派がいるし、ヘッジファンドの代理人、ジョージ・ソロスのお友達もいる。どういうことだ?“という論評も頷ける。
しかし、「西洋の敗北」と、自由民主主義無き寡頭政治の欧米という大前提を受け入れるなら、トランプ政権2.0の歴史的意味は、大きいと考えている。つまり、「西洋の敗北」という大きな潮流の中に、トランプ政権2.0を位置付けるなら、実に理にかなっている。
ベンセント氏は私の目には財務省やFRBとの親密な関係を築き自分らのファンドの増殖を図るインサイダー取り引き者です。彼らは1960年台では犯罪者です。レーガンの時代になってインサイダー取引は合法となったのです。
米国は金融面でも腐敗堕落の頂点に達してます。そういう世界の男がトランプの対中高関税策をよく思ってない。
対中高関税は米国をインフレが襲い長期金利が暴騰し国債が暴落する事態を間違いなく引き起こすからです。経済学のイロハ。その程度のことはいくら相場師であっても知ってるでしょう。又、米国最大の問題であるバイデンのデジタル通貨への移行令は廃されるでしょう。
日本の自民党は馬鹿な嫌中政策が日本に地獄をもたらすことを今悟り中国と仲良くして日本の資本市場のソフトランデイング策に取り組まねばなりません。