話題の映画は、タイにあるプラム・ビレッジを拠点として世界中で活動するベトナム僧・人権活動家のティク・ナット・ハン氏のドキュメンタリー映画『Walk with me』。
顔に微笑みを浮かべながら瞑想をおこなうことを推奨している方です。欧米諸国では認知療法として実践されている瞑想ですが、日本でも瞑想を日々行う人にはよく知られている氏。心豊かに人生を全うするということや、本当のやさしさについて説いていて、マインドフルネスをもっと身近に感じたり、彼自身から直接インスピレーションを得たいという人が世界中から訪れます。
「死」も「生」のプロセスのひとつ彼の説教に耳をかたむければ、自分の心に寄り添うことや、日々をもっと深く大切に生きることの重要さがあらためて身に沁みてきます。自分の人生を無駄にしない「一生懸命に生きる」「感謝して生きる」ということは、いつかやってくる「死」に、もっと真剣に向き合うということでもあります。
人は死にゆき、そして生まれ変わり続けるもの。「今」という瞬間だけにフォーカスし、自分のやるべきことを成し続けることで、死ぬことさえもその人生のいちプロセスとして安らかに受け止めることができる、そんな風にも思えてくるから不思議です。シンプルながらも、深く響く彼の声は慈愛に満ちていて、とてもパワフル。特に、輪廻転生を小さな女の子に説き聞かせる、氏のやさしい言葉が印象的です。
(飼っていたロバさんが死んでしまい、どうしたら悲しまずにいられるかを聞いた小さな女の子に対して)「空を見上げると、美しい雲があるよ。雲が雨をもたらし、そのお水でお茶を飲めば、ティーカップに雲が浮かぶよ(だからロバさんも形を変え、本当は君のすぐ側にいるかもしれないね)」
(映画『Walk with me』より)
来年の公開が今から待ちきれません。この映画から、強くてやさしいメッセージを受け取ってください。
image via shutterstock