世界農業遺産認定地、自然栽培の聖地化を目指す羽咋市へ
神子原の棚田そんな羽咋市は今、JAはくいと共同で化学肥料や除草剤を使わず、土壌を自然の状態に整え自然の力で作物を栽培する『はくい式自然栽培』の農業に力を入れています。この取り組みは注目を集め、2011年には『能登の里山里海』として近隣の七尾市、輪島市などと共に国連食糧農業機関から日本で初めての世界農業遺産の認定を受けた土地。今回はそんな『はくい(羽咋)の農・食・文化・観光交流体験ができるツアー』に参加してきました。
畑で食べた野菜の美味しさに感動
自然栽培のラディッシュが並んだ畑到着して、まずは自然栽培の畑や椎茸栽培を行う里山を見学。 人参や春菊、ケールなどが作られている畑の土は黄土色でサラサラとしていて、イメージしていた黒っぽい土とは全く違いました。 畑で作業をしている方から「よかったら抜いて、食べてみてください」とのお言葉に誘われ、人参を抜いて何もつけずにかじってみると、癖のない自然な甘味があり、自然栽培による人参本来の美味しさを実感しつつ、葉も含めて一本丸ごと食べてしまいました。
野性味溢れるケール 苦味もなく、生のままサラダで食べても美味しいと評判の春菊 原木椎茸『のと115』は高級しいたけとして注目されている椎茸栽培を行っている新田聡さんは石川県小松市出身。長年、関東で暮らしていましたが2013年に家族と共に移住。新田さんの作っている原木椎茸『のと115』は肉厚で柔らかく、香りが良いのも特徴で高級しいたけとして市場に出回っているそうです。
能登の食材を堪能できる人気フレンチレストラン「ラ・クロシェット」
『加能蟹と自然栽培の人参の全てを使って』 甘みと香りが高い人参を葉も含めて全て使ったサラダ仕立ての一品里山をあとにして、レストラン「ラ・クロシェット」を訪ねました。 橋田祐亮シェフは東京のフレンチレストランで働いた後、渡仏。フランスではパリの最先端と言われる料理よりも地方の伝統的な郷土料理に関心を持ち、国境沿いの店を選び6年の間に9店で修行をしてきたそうです。 2014年に帰国後、羽咋に移住しフレンチビストロ&カフェ 「夢喰庵(ばくあん)」をオープン。2016年にはミシュランガイド富山・石川 金沢特別版で一つ星を獲得しました。昨年4月に移転し、店名を「ラ・クロシェット」と改めてリニューアルオープン。県外からのお客様も多く訪れる人気店となっています。
『石川・七尾よりスズキのポワレ 能登牡蛎と季節のアヒージョ 春菊のタリオリーニと海のコンソメ』 海鮮、椎茸、蓮根、春菊など能登の美味しさが詰まった一皿 『自然栽培米“出会う米”のリ・オ・レ』 お口直しにも自然栽培米を使用 『羽咋産自然栽培の金柑 ダークチョコレートのデクリネゾン』 消毒や農薬を使わずに作られた金柑とチョコレートの甘さのコンビネーションが絶妙橋田シェフはJAの直売所などに通いながら様々な野菜をメニューに取り入れています。
「実際に使ってみて、はくい式自然栽培の本当の良さを感じています。能登は四季折々の食材にも恵まれていて料理人には刺激的なところです。 同世代の生産者も多いので気兼ねなく相談できるのもいいですね(橋田シェフ)」
生産農家との繋がりも出来て、JAはくい主催のイベントなどにも参加し、地産地消を実践するシェフとして、とても頼もしい存在になっています。
自然栽培のサスティナブルフードを次世代に
『NZ産牛肉“ささみ”のロティ 菊芋とトリュフのドフィノワ 干しぶどうとマデラ酒のソース』 羽咋の菊芋、自然栽培の干しぶどうとオーガニック先進国と言われるニュージーランド産の牛肉を使用橋田シェフはフランスから帰国して、日本人の食品の安全性についての問題意識の低さが気になっていました。
「フランスにいた頃、ドキュメンタリー番組でノルウェーサーモンやブラジルチキンが人工的に作られるのを見て衝撃を受けました。安心して食べられない食材だということを知ってしまうとお客様には出せません。ヨーロッパでは安全な食品が手に入りやすいのに比べて、日本では値段が高かったり、あまり流通してなかったりと選択の余地がないのがとても残念です(橋田シェフ)」
農業国フランスでの経験もあり、生産者とも交流し高い志で地産地消に取り組む料理人の橋田シェフ。国内での認知度が低い「はくい式自然栽培」ですが国内、そして海外にPRする拠点となるレストランとして期待されています。
「自然栽培のサスティナブルフードは次世代に繋げていかなくてはいけないと思います。能登の食材はどれも素晴らしく可能性に満ちているので多くの人に知ってほしいと思います(橋田シェフ)」
と語ってくれました。
「ラ・クロシェット」
住所:石川県羽咋市柳田町ほ79-1 電話:0767-23-4712 営業時間:ランチ11:30〜13:30(L.O.) ティータイム14:00〜17:00(L.O.) ディナー18:30〜20:00(L.O.) 定休日:日・月(祝日営業・翌火休み)[JAはくい]
ツアー総合プロデュース: BIO HOTEL JAPAN