エミリア(32歳)は初期の症状について、エッセイで次のように振り返っています。「2011年2月11日の朝、北ロンドンのクラウチ・エンドにあるジムのロッカールームで着替えていたとき、ひどい頭痛におそわれました」
稲妻に打たれたような激しい頭痛が!
「トレーナーに言われてプランクの姿勢を取るとすぐに、まるで頭をゴムバンドでしめつけられているような感じがしました。痛みを無視してやりすごそうとしましたが、とても我慢できませんでしたので、少し休みたいとトレーナーに言いました。やっとの思いで、ほとんど這うようにしながらロッカールームにたどり着き、トイレに入ってがっくりと膝をつくと、猛烈に、途方もなく具合が悪くなりました。その間も、電撃のような、突き刺すような、締め付けてくる痛みはひどくなるばかり。何が起きているのか、ある程度はわかりました。脳がダメージを受けたと」
その後の出来事については、すべてを覚えてはいないと言うエミリアですが、病院に着くとMRIに送られ、すぐに脳内の動脈瘤(どうみゃくりゅう)が破裂してしまう“クモ膜下出血”(つまり、命にかかわる脳卒中)と診断されました。
幸運に、治療は間に合い、6週間後の第2シーズンの撮影に間に合ったのです。しかし、エミリアの脳の反対側ではもうひとつの動脈瘤が成長していて、『ゲーム・オブ・スローンズ』の第3シーズンを撮り終えるころには、2倍の大きさになっていました。
そこで2回目の緊急手術が決まりましたが、これは頭蓋骨の内部を処置する必要があり、身体の負担がはるかに大きな手術でした。「2回目の手術は、脳のごく一部分が実際に死んでしまった」とエミリアはCBS This Morningのインタビューで述べています。
「もし脳の一部分に血液が少しの間でも流れてこないと、その場所はもう機能しなくなります。 まるで電気製品がショートして動かなくなるような……。私の脳のそうした状態にありました。手術をするまでは、どんな状態かは分かりませんでしたが、手術のときに文字通り脳を見て、これは集中力や周辺視野に関係している可能性もあるとのことだったのです 」
今では「100%」回復。やっと完全に治ったエミリアは、自分に起こったことをほかの人にも新しい慈善活動SameYouを通して知ってもらいたい思っています。脳にダメージを受けた人のリハビリに注目しており、「本当に、脳のダメージから回復するための病後の対応を替えていくことに、力を尽くそうと思っている」と言います。
では、脳動脈瘤とは一体何なのか? そして命にかかわることが多いのはどうしてなのか? そして、絶対に無視しない方がいい症状をご紹介します。
命に関わるクモ膜下出血、脳動脈瘤って?
image via shutterstock脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)は、脳内の血管の一部分が風船のようにふくらんでしまう症状です。これが破裂すると出血して、“出血性脳卒中”とも呼ばれる状態になります。
ほとんどの脳動脈瘤の破裂は、脳と脳をおおっているクモ膜との間の空間で発生するため、“クモ膜下出血”としても知られています。エミリアが最初に診断されたのもこれでした。
こんな風に考えることができます。ニューヨーク大学ランゴーン医療センターの神経外科医、ハワード・リイナさんが以前に『Prevention』誌で説明したところによると、脳動脈瘤は脳の1本の血管の一部分で壁が弱くなり、弱くなった部分が外側に押されて、ふくらみ過ぎの風船みたいにふくらんでしまう症状。それが破裂すると、血液が流れ出して圧迫と血液不足が起きて意識を失い、死につながります。
「破裂や血液漏れが起きるまでは、脳動脈瘤を持っていても多くの人が気づかずに普通に生活しています。手元のデータによると、脳動脈瘤を持っている人の割合は全人口の6%〜9%にのぼりそうです」(リイナさん)
エミリアが24歳で最初の動脈瘤になった原因はわかっていません。脳動脈瘤の特定的な原因は不明ですが、年配の人、喫煙者、高血圧の人、ドラッグとアルコールを摂取する人は脳動脈瘤のリスクが高くなります。
また、結合組織の病気(皮膚、関節、血管などの結合組織が生まれつき弱いために起こる病気)や多発性嚢胞腎(腎臓にのう胞がたくさんできてしまう病気)を遺伝的に受け継いでいる場合、家族に脳動脈瘤を起こした人がいる場合も、リスクが高くなります。
脳動脈瘤の症状は?
image via shutterstock脳動脈瘤の最初のサインとして多いのが、エミリアがワークアウト中に経験したようなひどい頭痛。
まるで稲妻にでも打たれたような、それまで経験したことがない最悪の頭痛、とよく言われます。ほかによくあるサインは次のようなものです。
吐き気 嘔吐 肩凝り 光に対する感度 視界がぼやける 発作 まぶたが垂れる 短時間の意識喪失 混乱するどうやって治す?
image via shutterstock脳動脈瘤には“クリッピング手術”と“血管内コイル塞栓術”の2つの治療法がありますが、2つとも脳内出血と脳への血流停止のリスクがあります。
アメリカの有名な総合病院、メイヨー・クリニックの情報サイトによると、クリッピング手術では頭蓋骨の一部を取り除いて、動脈瘤がある血管を見つけ、動脈瘤の首の部分を小さな金属クリップで挟んで、破裂や血液漏れを止めます。
血管内コイル塞栓術はクリッピング手術より身体の負担が少なく、動脈瘤まで(普通は脚の付け根から)動脈にカテーテルを通した後、このカテーテルの中に柔らかいプラチナ製のワイヤーを通すもの。このワイヤーが動脈瘤の中で丸まって、動脈瘤と動脈のつながりを閉じてくれます。破裂した脳動脈瘤の治療法としてはほかに、鎮痛薬(頭痛の軽減)、カルシウム拮抗薬(血管が縮むのを防ぐ)、抗けいれん薬などがあるそう。
エミリアはエッセイの終わりの方で、体調はこれまでにないほどよいと強く語っています。「2回目の手術の後、私は無理を承知で願った以上に回復しました。今では100%回復しています。そして俳優の仕事のほかに、イギリスとアメリカのパートナーたちと一緒に開発を手伝った慈善事業に打ち込もうと決心しました。SameYouという事業で、脳のケガと脳卒中から回復中の人たちに治療を提供することが目標です。いつまでも尽きない感謝の気持ちを抱いていますから」
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コメント
コメントを書く木村拓也の事を思い出す。
怖いですね・・・参考になりました