第5回のテーマは「食の不摂生を立て直す」。食べすぎ、飲みすぎた翌日のリカバリー術や、コレステロール値を下げる食事のポイントをみていきましょう。
筋肉、美肌、美髪がほしい! 管理栄養士に聞く、きれいになる食材
シーン9:食べすぎ、飲みすぎた翌日にできる食の工夫はありますか?
摂りたい栄養素
ビタミンC……アルコールの分解を早め、胃腸の粘膜の修復を助ける ビタミンB1……糖質やアルコールの代謝を促す ビタミンU(キャベツから発見された水溶性化合物)……胃酸の分泌をおさえ、胃腸の粘膜の修復を助ける 水……尿で排泄する。脱水症状を防ぐおすすめの食材
トマト、赤・黄ピーマン 、キウイフルーツ、柑橘類など……ビタミンC キャベツ、セロリ、パセリ……ビタミンU 大根、かぶ……消化を促す酵素を含む。生ですりおろして食べて 梅干し、梅干し番茶、しょうが……解毒作用栄養を摂るべきタイミング
栄養を摂ることより胃腸を休めることが大切。食事は消化によいものを少量にとどめましょう。野菜スープがおすすめ。
避けたい食事
消化に負担のかかる脂質の多いものは控えて。胃に刺激を与える辛味、酸味の強いもの、味の濃いもの、カフェイン、アルコールもNGです。
中村さん :
食べすぎた胃腸を休めるためには“食べない”のが一番ですが、飲みすぎにはアルコール代謝を高めるビタミン類が必要。ビタミンUは食べすぎ、飲みすぎのどちらにも効きます。
シーン10:LDL(悪玉)コレステロール値を下げたいです。ふだんの食事で気をつけることは?
摂りたい栄養素
食物繊維……とくに水溶性食物繊維。水分を取り込んでゲル状になり、コレステロールや不要な物質の吸収を妨げ、体外に排出させる。大腸の善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善する 不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸)……抗酸化作用があり、善玉菌が悪玉化するのを防ぎ、悪玉コレステロール値を下げる βカロテン、ビタミンC、ビタミンE……抗酸化力が強く、悪玉のLDLコレステロールの酸化を抑制するおすすめの食材
海藻類(わかめなど)、こんにゃく、オクラ、キノコ類、豆類、もち麦……水溶性食物繊維 クルミ、オリーブオイル、アマニ油、青魚……不飽和脂肪酸 にんじん、ほうれん草、モロヘイヤ……βカロテン アボカド、アーモンド、ひまわり油、抹茶……ビタミンE ミニトマト、キウイフルーツ、柑橘類など……ビタミンC栄養を摂るべきタイミング
ビタミンC、Eは体内に蓄積されにくく、こまめな補給が必要。
食事の間隔が空きすぎると空腹感からたくさん食べがちなので、1日3回の食事と間食を規則正しく摂り、食べすぎないことが大切です。とくに朝食を食べることで便秘を予防し、夜の食事を控えることにつながります。
避けたい食事
肉の脂、ラード、バターなど、動物性脂肪の摂取を控えましょう。アルコール、甘いジュース、お菓子も控えめに。
中村さん :
善玉と呼ばれるHDLコレステロールを増やし、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを減らすためには、肉の脂やバターなど動物性脂肪を控え、オリーブオイル、青魚、クルミといった不飽和脂肪酸から脂質をとりましょう。
かぼちゃ、にんじん、ナッツ、ごま、赤・黄ピーマン、柑橘類など、抗酸化力のあるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEを含む食品も有効。 血中のHDLコレステロールが酸化しLDLコレステロールとなるのを防ぐことができます。
5回に渡ってお届けしてきた「悩み別・摂りたい栄養素」、いかがでしたか? 私たちの体とその働きは、日々の食事で成り立っています。栄養素が体に与える働きを知ることは、きっとセルフコントロールに役立つはず。体の悩みや不調を感じたら、ぜひ身近な食材から取り入れてみてください。
第1回:体の悩みを栄養で解決! 疲れがとれないときに食べたいものは?
第2回:ダイエット&体脂肪を落とすときは何を食べる? 管理栄養士がアンサー
第3回:貧血になりがち、体調が悪い。不調から抜け出すために食べたいものは?
第4回:筋肉、美肌、美髪がほしい! 管理栄養士に聞く、きれいになる食材
不摂生を立て直そう
LDLコレステロール値を下げたい! コレステロールを下げる食品&食べ方
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中村美穂(なかむら みほ)さん
管理栄養士・フードコーディネーター。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく身体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や、保育園栄養士としての給食作り・食育活動・食事相談等の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍・雑誌へのレシピ提供も多数担当している。
取材・文/田邉愛理、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock