自尊心が高いと人間関係がうまくいく?
自尊心が高い人は、お互いに支え合うような深い友人関係を築く傾向にあることが、アメリカとスイスの共同研究で示されました。その逆もまた然りで、研究グループによれば、社会的なつながりが強い人は自尊心がより高まるそうです。この研究は、米国やスイス、ドイツ、オーストラリア、ベルギー、中国など10数カ国で自尊心と社会的なつながりとの関係を前向きに調べ、1993年から2016年の間に発表された52件の研究を統合して解析したものです。これらの研究に含まれる対象者の合計は4万7,000人以上(女性が54%)、年齢は4歳から76歳(平均21歳)と幅があり、10人中6人は白人でした。
解析の結果、年齢や性別にかかわらず、社会との結びつきが強く、社会に受け入れられていると感じている人は自尊心が高いことが分かりました。
また、自尊心が高い人は、対人関係が良好で、社会的に受け入れられていると感じていることも分かりました。一方、自尊心が低い人は社会的なつながりをうまく築けず、また、深い友情を築けない人には自尊心が低い傾向が見られました。
友情を深めるのに大切なのは自尊心だった!?
研究結果について研究グループは、「社会的なつながりが個人の自尊心の発達に影響するのかしないのか、その逆はあるのか、そして影響するならどの程度のものなのか、といった重要な疑問に対して初めて系統立った回答が得られました」と説明。
「自尊心と友情は互いに補強し合う関係にあることが明らかになりました」と話しています。
また、研究グループは「自尊心と社会的なつながりとの関係は、幼少期の育てられ方が根本原因である可能性がある」と見ています。その上でさらに、「親が子どもの自尊心を育てられれば、子どもは思春期に健全な友人関係を築くことができ、青年期には自尊心を高めることができるのではないでしょうか」と推察しています。
これらの結果を踏まえ、研究グループは「自尊心と社会的なつながりの相互関係は、ポジティブ・フィードバック・ループ(互いが互いを増幅する仕組み)の効果が時間の経過とともに蓄積し、生きる上で重要なものとなる可能性があることを示唆しています」と語っています。
ただし、これらの関係については不明な点も多く、さらに研究を重ねていく必要があるということです。
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HealthDay News 2019年9月28日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock