「糖質制限ダイエット」のブームがきっかけで、糖質を含むご飯やパスタを食べることに罪悪感を感じる、という人は少なくないと思います。

しかし、じつは炭水化物のなかには食物繊維がたっぷり含まれており、さらに冷ますことで最強のダイエット食に変身するのだそう。

『腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。』(アスクル)から、冷ました炭水化物の驚くべき健康メリットをご紹介します。

腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。

¥1,540

購入する

「炭水化物=糖質」は大間違い

糖質の摂取を控える「糖質制限ダイエット」が広まったことで、「炭水化物はダイエットの大敵」というイメージが定着しています。

炭水化物は糖質だから、食べる量は控えめに……。こうした通説を真っ向から否定するのが、本書の著者である「腸活先生」こと文教大学教授の笠岡誠一氏です。

著者によると、もともと日本人は、食物繊維を米などの穀類からもっとも多く摂ってきた民族でした。野菜だけでは食物繊維の摂取量としては不十分であり、効率的に食物繊維を摂るためには、主食として炭水化物をしっかり摂ることが必要。しかも炭水化物は、冷ますことでレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)という「腸活のエース」に変わります。このレジスタントスターチが、驚くほどダイエット食として有能なのです。

糖質なのに「腸活のエース」といわれる理由

レジスタントスターチは糖質であるにも関わらず、体内で食物繊維と同じような働きをします。しかも水溶性と不溶性、両方の食物繊維の機能を兼ね備えているというのが特徴です。

近年「痩せるカギ」といわれるほど見直されている食物繊維。食物繊維には2種類あって、水溶性は腸の善玉菌のエサになったり、不溶性は便のカサを増して腸にたまった有害物質を回収したりと、それぞれ異なる働きがあります。

腸活のためにはふたつをバランスよく摂ることが大切であり、それが難しいと感じていましたが、レジスタントスターチなら一人二役。非常に効率よく腸内環境を良好にしていけるというわけです。

「消化されにくい」から直腸まで届く

それだけではありません。ふつうの食物繊維は、大腸と肛門を繋ぐ直腸を素通りしてしまうため、直腸に腸内細菌を増やすことは難しいとされています。

ところが「消化されにくい(レジスタント)でんぷん(スターチ)」という名の通り、レジスタントスターチなら消化されずに直腸にまでたどり着くことができるとのこと。その結果、便秘や下痢はもちろん、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸の疾患を遠ざける働きも期待できるというのです。

レジスタントスターチなしで「腸活」は完成しない

大腸に到達したレジスタントスターチは、大腸の入り口付近から少しずつ善玉菌にブドウ糖を食べられ、「痩せ菌」とも呼ばれる短鎖脂肪酸へと変わっていきます。

その後も少しずつ形を変えながら、有害物質を回収しつつ、善玉菌や短鎖脂肪酸を直腸まで運んでくれるのだそう。

直腸は、大腸がんの発症がもっとも多い部位です。近年増加している潰瘍性大腸炎も、直腸から炎症が広がっていくことが多くあります。

レジスタントスターチ以外の食物繊維をいくら豊富にとっていたとしても、直腸の環境を良好にしなければ、そこからさまざまな疾病が発症してしまう可能性があります。

(『腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。』77ページより引用)

直腸までキレイにしなければ、『腸活』は完成しない」と著者。短鎖脂肪酸には粘膜を強化して、免疫力をアップさせる効果もあります。老廃物や毒素がたまりやすい直腸を健康に保つためにも、レジスタントスターチは重要な役割を担っているようです。

ご飯は常温で1時間冷ますだけ

それでは、実際に毎日の食卓にレジスタントスターチを増やすためには、どうすればよいのでしょうか。

著者が提案するのは、まずは昼食を「レジスタントスターチメニュー」に変えること。その方法は、とても簡単です。

ご飯の場合は、炊いたあと、常温で1時間冷ますだけ。炊きたてご飯のレジスタントスターチ量を100とすると、常温で1時間冷ますだけで、157程度にまで含有量がアップします。(中略)

うどんやパスタなどの小麦食品にもレジスタントスターチは含まれています。冷製メニューにすると、さらに増やすことができます。パスタだとアルデンテに、そばやうどんやラーメンも硬めにゆでれば、一段とレジスタントスターチ量がアップします。

(『腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。』83~84ページより引用)

ちなみに冷凍するとどうなるかというと、炊きたてごはんのレジスタントスターチ量が100だったとした場合、冷蔵保存後は161程度、冷凍保存後は124程度になったと著者。レジスタントスターチを効率よく摂取するという意味では、冷凍よりも冷蔵保存のほうが良いようです。

アツアツ派はお茶漬けに。温め直しも有効

「ご飯や麺はアツアツで食べたい」という人にとっては、主食を常に冷ますというのはつらい提案かもしれません。

そこで取り入れたいのが、お茶漬け、カレー、出汁やスープをかけて食べるメニュー。冷ましたご飯に温かい汁ものをかけても、レジスタントスターチの量は変わらないからです。

また、一度冷ましてからレンジで温め直すという方法もあります。冷ましたままよりはレジスタントスターチ量が減りますが、炊きたてご飯よりはたくさんのレジスタントスターチを摂取することができるそう。

ここではふれませんでしたが、レジスタントスターチは血糖値が上がりにくい低GI食品であり、少量でも腹持ちがよいため間食を抑えられる、ウイルスや細菌に負けない体をつくる、肌荒れや更年期障害を遠ざける……などなど、さまざまな健康効果が期待されているといいます。

食べ方のコツは必要ですが、「冷ます」だけで健康的に主食を食べられるというのは、炭水化物好きにとっては朗報。昼食をおにぎりにする、麺類は冷たいメニューにするなど、身近なところからレジスタントスターチの摂取量を増やしていけたらと思います。

腸活するならこちらもチェック!

2020年からの腸活はこう変わる。専門家に聞いた注目の食物繊維とは

腸内環境のバランスが悪いとどうなる? 腸内細菌の役割とは

腸活先生が教える病気を遠ざける食事術 炭水化物は冷まして食べなさい。

image via Shutterstock

RSS情報:https://www.mylohas.net/2020/09/resistant-starch.html