こころとカラダの調子にまつわる素朴な疑問に、専門家が答える連載「こころとカラダQ&A」。今回は、本格的な夏を目前に控えた今、栄養面から講じておきたい「日焼け対策」について管理栄養士、分子整合栄養医学 栄養カウンセラーの吉川圭美さんが答えてくれました。

食事でUVケアの底上げはできる?

Q. 日焼けだけでなく、シミやしわ、ハリなどの原因となる紫外線ダメージから肌を守るには、どんなインナーケアをすればいいでしょうか。ビタミンCがいいとはよく聞くけど、本当ですか?

A:はい、ビタミンCは欠かさずに。加えて「活性酸素」に対抗する栄養素を

「UVケア」「美白」と聞くと、すぐに思い浮かぶのが「ビタミンC」という存在。紫外線対策にはぜひとも摂ってほしい栄養素です。

また、意識して食べたいのが夏野菜や鮭、ナッツ、アボカドなど。その理由と上手な取り入れ方を紹介しましょう。

紫外線で細胞を傷つける“暴れん坊”が発動。とくに手ごわい「一重項酸素」に注目

日焼けのデメリット、それは紫外線によって細胞を傷つける“暴れん坊”である活性酸素が生まれ、細胞膜などが攻撃されてしまうこと。女性たちを悩ませる、シミやしわにつながってしまうのは見逃せません。

もちろん、体はこの状態を、手をこまねいてみているわけではありません。抗酸化物質をつくって細胞を守ろうと対抗しますが、うまくいかないとダメージが残ることに。

とくに紫外線の影響で注目したいのが、活性酸素のなかでもパワーの強い「一重項酸素」の存在。しかも彼らに立ち向かう物質は、ヒトの体では作ることができないのです。

「一重項酸素」から肌を守る、カロテノイド類、アスタキサンチン、ビタミンE

そこで、細胞を守る“味方”を食事からどんどん送り込みましょう。一重項酸素を消し去ってくれるものとしては、カロテノイド類が挙げられます。色素成分のひとつで、β-カロテンやリコピン、ルテインなどがあります。

これらが含まれる食材は、ピーマン、パプリカ、かぼちゃ、にんじん、トマトといったもの。そう、夏野菜をたっぷり食べることがポイントとなります。毎日コツコツと食べること、油と一緒に調理することがコツです。

また、鮭にふくまれるアスタキサンチンも、酸化から細胞を守る抗酸化力がビタミンCのなんと約6,000倍。“食べるUVケア”として、積極的に摂りたいところです。

同時に意識したいのがビタミンE。脂に溶ける栄養素なので、同じく脂でできた細胞膜にスルリと入り込み、自身が身代わりとなって膜を守ります。アボカドやごま、ナッツ類に豊富ですので、夏野菜のサラダにはアボカドやナッツをトッピングしましょう。

ビタミンCはサプリメントで効率よく

そして肝心の「ビタミンC」。体内にためておくことができず、水や熱などに弱く、調理で損失しやすい栄養素でもあるので、ここはサプリを上手に使いたいところです。

ここで知っておいて欲しいのが、質の良いものをチョイスすること。せっかくとっても、壊れてしまった状態では元も子もありません。

ちなみに、ビタミンCは美容面以外にも多くのはたらきがあります。免疫力を高めて風邪を予防したり、ストレスと戦うホルモンを作ったり、肝臓の解毒作用を助けたり、大忙しです。

私たちの体が、どこに優先してビタミンCを送り込むかは、人によって違います。肌のシミやしわに対処するという仕事の優先順位が低い場合 、量をしっかりとらなければ、肌まで届いていないなんてことも……

もろもろの事情を踏まえ、私がいいなと思うのは次のもの。医療クオリティで肌を守ってくれるのはありがたいです。

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ちなみに、細胞膜を守り、効力を失ったビタミンEをよみがえらせてくれるのもビタミンC。ペアの力を利用しない手はありません。

白玉点滴でおなじみ、グルタチオンもチャージ

このほか、メラニンを抑えるはたらきがあるといわれるグルタチオンを増強するのも効果的。グルタチオンは、美容皮膚科でも知られる「白玉点滴」の成分としても、ご存じの方は多いでしょう。

グルタチオンは、アミノ酸であるグルタミン酸、システイン、グリシンを材料に、肝臓で作られています。しかし年齢とともに減少傾向に……。レバーや肉類、キウイやアボカドにも含まれています。また、タンパク質をしっかり摂ることもおすすめです。

日焼け止めなど外側からのケアも大切ですが、今年は一歩進んで、内側から細胞を守るケアをぜひ取り入れてみてください。

吉川圭美(よしかわ・たまみ)
女性の美と健康(ダイエット、食を通じた不調ケア・アンチエイジング・美肌など)に関する編集者・ライターとして活躍。取材で出会った「オーソモレキュラー栄養医学」に魅了されて資格を取得し、現在は管理栄養士、栄養カウンセラーとしてアドバイスをおこなっている。

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