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■■■■■-ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク-
■■■■
■■■    のりこえねっと通信 0034号 2014年6月18日発行
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■                        ◆転送歓迎◆
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★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。
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賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま

先週11日、のりこえねっとシンポジウムを都内で開催しました。。こちらの
事前の見通しの甘さから、立ち見はおろか、会場に入りきれないほどの参加
をいただき、本当にありがとうございました。第一部のレイシズム(人種差
別・民族差別)と闘うカウンター団体がほぼ一同に会しての活動報告は初め
てのことであり、第2部の「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってど
んなこと?」発刊記念シンポジウムでも、各界で活躍されている方々から、
それぞれの視点でヘイトスピーチ反対のお話しをいただけたことは貴重な場
だったと考えます。朝日新聞をはじめ複数の報道機関にもとりあげて頂いた
ことは、のりこえねっとのほぼ9ヶ月の活動の方向性が間違っていなかった
ということと、私たちへの期待として受け止めたいと思います。

https://twitter.com/R_KitanoR/status/477780804538347520

会場にお越し頂きながら、入れなかった方、資料をお渡しできなかった方に
は、お詫び申し上げます。当日会場で資料等を受け取れなかった方は、事務
局までご一報下さい。郵送させていただきます。

なお、当日のニコニコ生放送でのシンポジウム生中継の動画は、シンポジウ
ム途中で通信状況が不安定になり、動画全編をご視聴いただくことが出来な
くなっておりました。大変申し訳ございません。

のりこえねっと公式サイトにて、シンポジウムの全編動画を公開しておりま
すので、下記よりご覧いただきますようお願い致します。

http://www.norikoenet.org/


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〈今号の目次〉
1.6月18日 のりこえねっとTVのお知らせ
2.6月11日のりこえシンポ報告
3.今後の反レイシズム情報
4.ヘイトスピーチまんが&シナリオコンテストの変更について
5.新聞・雑誌記事・Webより
6.ツイッターのフォローをお願いします!
7.編集後記
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●1.6月18日のりこえねっとTVのお知らせ

★のりこえねっとTVは4月から午後9時スタートに時間が変更になりました
毎週水曜日21時から生放送です!!ぜひご覧下さい

◎タイトル:女たちの人権を守るために 池田恵理子×辛淑玉
◎放送日時 6/18(水) 21:00-22:00
◎ニコニコ生放送入口URL http://live.nicovideo.jp/watch/lv183317722


NPO法人女たちの戦争と平和人権基金が主催する「やより」賞が今年、10回
目を迎えます。そして、今回が最後の年となります。「やより」賞を通し
て、何が見えてくるか。
戦時性暴力の問題を追い続けた元NHKディレクターで、アクティブ・ミュー
ジアム 女たちの戦争と平和資料館(wam)館長の池田恵理子さんをお招きし
お話を伺います。

<出演者>
池田恵理子(いけだ・えりこ)
アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館(wam)館長
元NHKディレクター

辛淑玉(しん・すご)
のりこえねっと共同代表

<関連サイト>
女性人権活動奨励賞「やより賞」公式サイト
http://www.wfphr.org/yayori/

wamアクティブ・ミュージアム
http://wam-peace.org/


◆視聴方法についてあらためて記載します。
【視聴方法】
 ▼初回にニコニコ動画に会員登録が必要です。(一般会員は無料です)
  http://www.nicovideo.jp/

 ▼メールアドレスとニックネーム、性別、年齢等のプロフィール、
  パスワードを登録してください。
 ▼そして、以下にアクセスするとのりこえねっとTVをご覧いただけます。
  http://ch.nicovideo.jp/norikoenet-tv

※ブロードバンドのインターネット環境、もしくはLTE通信環境のスマート
フォンなどからもご覧頂けます。あらかじめタイムシフト予約をしていると
放映後1週間以内はいつでも見ることができます。


◆皆さまへのお願い

現在、のりこえねっとTVはニコニコ生放送( http://live.nicovideo.jp/)
のトップページ番組表に掲載されておりません。
Twitter、公式サイトにて告知しておりますが、ニコ生のトップページ番組
表に掲載されると目に留まりやすく、さらに視聴者が増えると思われます。

番組表に掲載されるためには、【タイムシフト予約】の人数が200名を
超えなければなりません。ぜひ、みなさまのご協力が必要です。
拡散・周知も続けて頂けますよう何卒お願い致します。


●2.「のりこえシンポ 2014.6.11」報告

※のりこえねっと公式サイトにて、シンポジウムの全編動画を公開しており
ます。
http://www.norikoenet.org/

◆内容
 第1部 私たちのとりくみ(友好団体の活動報告)
     C.R.A.C.・男組・女組・差別反対東京アクション
 第2部 出版記念シンポジウム
     「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと?」

 パネラー:石坂 啓(まんが家)
      寺脇 研(元文部省官僚、京都造形芸術大学教授
           コリア国際学園理事)
      八木啓代(ラテン歌手、作家、エッセイスト、
           ジャーナリスト)
 司会  :辛 淑玉(のりこえねっと共同代表)

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和田春樹共同代表「ヘイトスピーチが現れたことは深刻な事態」

シンポに先立って開場の挨拶と友好団体の活動が報告されました。最初に挨
拶に立った和田春樹共同代表は、対抗勢力の力が強くなり抑え込んでいるよ
うに見えるが、日本にヘイトスピーチが現れたことは深刻な事態にあること
の表れと述べました。そして、周辺諸国との関係が危機的状態にあり、そう
した政策を推進する首相をいただく私たちにはヘイトスピーチとの闘いは重
要だと語りました。

続いてシンポに先立って辛淑玉共同代表が、13年のヘイトデモは確認済みだ
けで360件、毎日どこかで起きていることになるが、これで済んでいるのは
カウンター活動のお陰だと述べてのりこえねっとの先輩を紹介し、活動を簡
単に報告していただきました。

第一部 カウンター活動からの熱い報告

C.R.A.C. 野間さん。13年2~9月のしばき隊が母胎となり、街頭でのカウン
ター行動、デモ後の「お散歩」の嫌がらせを物理的に止めることから始まっ
た。翌週からは個人やグループがプラカードや署名などそれぞれのスタイル
での抗議が拡がる。参加者の多数が日本人であり、ヘイトスピーチの蔓延は
自分たちの社会の民主主義の危機と認識し、指紋押捺反対など被害者支援運
動とは性格が異なる。マジョリティが引き起こしている問題だから自分たち
が解決するという問題意識が強く、性的少数者差別などともシームレスにつ
ながっていきつつある。

男組 高橋さん。これからは地方に重きを置いていく。対話が可能なら対話
で、そうでない場合は超圧力でレイシストをつぶすつもりなので、逮捕など
の際には支援を願う。

女組 山下さん。これまでの罵声やプラカードなどの活動は定着したので、
周知活動に力を入れている。日本で何が起きているのか、そして抗議する
人々が現れたことを知らせる活動とともに、現場活動の写真とその中で生ま
れたアートポスター展をやりたい。

差別反対東京アクション 石野さん。ヘイトスピーチに東京都が実効的手段
を講じるよう、毎週火曜19時から都庁職員出口で街宣中。人種差別撤廃宣言
の都議会採決を推進している。

差別排外主義に反対する連絡会 津川さん。被害当事者の意志を尊重し社会
的包囲網を形成する活動を展開中。反ヘイト勢力が初めて一堂に会し、多様
な闘いが合流して大きな流れに成長する意義を感じる。

島根県からのりこえねっと紫の風 上田地優さん。竹島・独島問題を抱える
島根の地でトランスジェンダーも闘っている。

第二部 「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこと?」シンポ

報告の後、シンポ「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこ
と?」に移りました。パネラーは石坂啓さん、寺脇研さん、八木啓代さんの
3方、進行は辛淑玉共同代表です。

まず、ネット上に満ちる曲解や誤読、そして表現の貧しさについて寺脇さん
は、やりたいことを自ら探すのではなく誤読したがっていると語ります。日
本人同士の中では大人たちによる若者差別が温存され、大人が信用されてい
ない面にもメスを入れる必要があると言います。

八木さん 「ヘイトデモを守る警察・行政」

またマスコミが本来の機能を果たしていないことについて八木さんは、ヘイ
トデモを警察が取り締まるのではなく、カウンターから守ってやるような体
質が行政側にあり、マスコミは行政にコントロールされている面があると語
ります。また寺脇さんは、政治主導の名で劣化しながらも権力を持った議員
や自治体などの長に対して役人は戦々恐々とし、ことなかれ主義に走る度合
いがひどくなっていると述べます。

そこで辛さんは、ジェノサイドの第一歩であるヘイトスピーチに対して声を
上げたら周囲は引いてしまったと振り返ります。その上で、みんなが引いて
いったときに戦争を止められなかった歴史があるが、個人が自分の意志を持
つことは大変なことなのだろうかと問います。八木さんは、同調圧力の強い
社会の中で、一人ではできない人々がヘイトデモに集まることで一種の優越
感を感じたいという場になっているようだと指摘します。一昔前はセクハラ
という言葉自体なかったが、女性がひとりひとり声をあげていき非常識とい
うコンセンサスができた。ヘイトスピーチは恥ずかしいことだという空気を
つくる必要があると語ります。寺脇さんは、明治以来、みな同じだとする教
育があり、戦後左翼も個々人みな平等という点で同じ論理に立ってきた。そ
してヘイトスピーチ側に問題があっても、双方から「差別」が逆用され、ど
ちらからも錦の御旗にされているのではないかと述べます。

寺脇さん「小林よしのりは教育として成功した」

小林よしのりなど漫画の責任も大きいのではないかとの辛さんに、石坂さん
は、小林のゴーマニズム宣言では切り口のセンスが良いので危なっかしいが
よく描いたと最初は思ったと語ります。一方、バブルの中で真面目なことを
言えば根暗とされ、社会的なことを考える場がなかった若い人々が戦争や社
会的問題について初めて接触した漫画が小林だったならば向こうに行っただ
ろう。初めてまともに悩みを聞いてくれたのが麻原ならオウムに行ったかも
知れないように。大いなる錯覚だが、自分が勉強した戦争論ではこうだっ
た、ネットではこうだったと、初めてまじめに自分で考えて勉強したつもり
なのだろうという気がする、と。そして、闘う相手の見えない無風状態の中
で大人の側が若い人々に手がかりやバックボーンを示すことをしてこなかっ
た。そのツケで、小林の切り口によって向こう側に取り込まれたと感じる、
とも。寺脇さんは、自分から学ぶことと受け身で教えてもらう教育とは差が
あり、その意味で小林は教育に大成功していると見ます。

また辛さんは、小林は自分はレイシストとは違うと言うが、安倍政権も同じ
ことを言う。ヘイトスピーチは日本人として恥ずかしい行為、日本人の誇り
をもってきて俺はあいつらとは違うというのは、それ自体が差別的な感じが
すると投げかけます。それに対し石坂さんは、下々がいがみ合い、敵を低次
元なところに見いだすことで声をあげたり動かしていくべき相手を完全に見
えなくすることで、為政者にとって都合いいからだと答えます。

辛さんは、そうした国内の仮想敵を洗い出していくと政権が叩いてきたもの
にたどり着くと指摘します。先日、中学生が被爆者に死にそこないと言って
問題となったが、同様に叩かれたり置き去りにされた人々に正義だとして憎
しみの言葉を平気で吐く。「在日特権」などもあり得ないことをそのまま信
じ、それを敵として正義を叫び、特権だと挑んでいると続けます。八木さん
は、それは一種の陰謀論であり、在日が政界を裏で操っているなどと彼らは
本気で信じていると語ります。そして、陰謀論を信じる人は被害者意識に凝
り固まり、被害者だから敵をつぶすのだと正義感で満ちている。カウンター
も注意しないと、分断ではなく、かえって被害者意識を強めてしまうことに
もなりかねないと付け加えます。

石坂さん「改憲は使命とこの国のトップは思っている」

石坂さんは、麻生も籾井も学習能力もなしにむちゃくちゃなことを言っても
お咎めもないのは、この国のトップが本気で良かれと思い込んでいるからと
指摘します。改憲がこの国のためになり、軍隊を持つことが胸を張ることだ
と。立派なリーダーは愚民の声に惑わされてはならないと思い込んでいる彼
にとって、改憲は悲願ではなく使命。それは原発も同じで、彼の耳に届くわ
けがないだろう。そこに揺らぎがないとき、ヘイトスピーチなどを利用しな
いわけがないし、正したりする大人の判断などできるわけがない。ここで話
していることが家に帰って地元の風呂屋なんかで通じていたならばとっくに
この国は良くなっていると憤ります。

八木さんは、憲法問題はそうであっても、彼らも面と向かって人種差別をす
るとは言えないだろうし、そこを突いて条例などを作らせることができない
だろうかと提案します。ヘイトスピーチは人を不愉快にさせ公序良俗に反す
るし、オリンピックで外国人がたくさん来るのに恥ずかしくないのか議員を
責め立てていくのはどうかと。それに対し辛さんは、いま表だって叩かれて
いるのは在日であり、選挙権のない者のために議員が立ち上がることは考え
られないと反論します。多くの議員の頭が選挙のみで人権を考えてはいない
ことを考えると、やられる側に問題があるのじゃないかと問題を立ててやら
ない理由をつくっていくだろうと。そして、ある大学で講義したときにヘイ
トデモの映像を見せたら、日本には外国人に対して出て行けという権利があ
る、やられるには何らかの理由があるはずと答えるので、では個人としてど
う思うと聞くと意見はないと言った。これはセクハラと同じ論理ではある
が、人口の半数を占める女性、有権者という数の論理があった。一方、叩か
れているマイノリティの場合は圧倒的少数で選挙権もないとなれば議員は動
かないだろう。差別と闘うときは与野党や思想信条を越えて声を上げていか
ないと社会が壊れていくのにと悔しさを表現します。

石坂さん「レイシズムは世界からみたら格好悪いと気づくべき」

次に、これからどうしていくべきかにテーマが移ります。辛さんは、音楽や
サッカーやそれぞれの世界があり、その世界を広めてそこから見たときに日
本は変だということでカウンターが広がってきたのだが、世界を知るという
ことは正義が何か、いまのありようがまともなのかどうか知ることだと語り
ます。八木さんは、外国ではレイシズム的なことを言っただけで政治家は政
治生命が断たれるのに、日本では許容されるところがあり偏っていると指摘
します。そして浦和レッズ問題で世界が見ているので協会は放置できなかっ
たように、オリンピックで外国人が来るのにこのままでいいのかと政治家に
アッピールするのはどうか、愛国者なら外国人に恥ずかしいところを見られ
ていいのかと提起します。石坂さんは、漫画やアニメで日本に来たり好きに
なったりする若者が多いのに、世界から見たら格好悪すぎだということに気
づいて欲しいと語ります。そして、在特会があんなに自信があるならばソウ
ルでのデモをお勧めしたいと。どういう風に映るかとか、自分たちでもネッ
トに流せるのだからいろいろな背景でやってみればと思うと彼らに提案しま
す。また、漫画「美味しんぼ」の件では在特会が出版社に抗議に乗り込んだ
そうだが、美しい福島という日本の領土を駄目にしたと怒っている保守もい
るのにおかしいとも語ります。

鈴木邦男共同代表「外から流入してきた文化を咀嚼してきたのが日本」

ここで鈴木邦男共同代表を指名し、保守側の考えを聞きます。鈴木さんは、
国土の3%で人が住めない状況というのは領土と一緒なので、その見地から
原発に反対する保守は多いが、いまさら言うと左翼を利すると思ったりして
戸惑っている人もいると語ります。だが右から考える脱原発デモもやってお
り、左翼運動と思われていた原発反対に右も立ち上がったというので影響は
大きく、国民運動と認識されて良かったと評価します。ヘイトスピーチにつ
いては、外から流入した人や文化を咀嚼してきたのが日本の文化、そうした
おおらかな気持ちが日本であり、それを行動で示すべきだと述べ、死後に愛
国者だったと思われればいいので、誰も言っていないのに俺は愛国者という
のはおかしいと批判します。また三島由紀夫は愛国心は嫌いと言っていたそ
うです。国を一方的に愛するだけで見返りを求めない三島には、国を愛する
代わりに国家からも愛して欲しいというバーターと感じられたのだろうと。

誇りある生き方をするとの鈴木さんの言葉を受けて、これからどう生きてい
くべきかに話題が移ります。寺脇さんは、右に行くのでも左に行くのでもな
く、柔軟な方向に行かねばならないと述べ、小林よしのりも最初は柔軟な見
方ができたのに、ある時期から教科書みたいな教育漫画になってしまい、マ
スコミも硬直してしまった。日本ではいま演劇がもっとも熱いと述べ、小劇
場が多くマスコミにも載らないが多様な問題を教科書的ではなく問題の提起
だけをしているが、これが大事だと語ります。石坂さんは、いまは戦後では
なく戦時と考えるとわかりやすいとし、最初は一部だけだったものが良識あ
る人々が相手にしないうちに肥大し身動きがとれなくなったと語ります。だ
から一部の人々とその被害者だけの問題ではなく、この国の空気が自らの首
を絞める状態になっているくらいの感度を育てるかどうかにつきると強調し
ます。寺脇さんも、いまは1937年の日中戦争から1945年までの状態だと思う
と同意します。

前田共同代表「ヘイトクライムは犯罪だ。表現の自由ではない」

ここで会場から女優の木内みどりさん、長野からいらした医師の色平哲郎さ
ん、エッセイストの朴慶南さん、そして前田朗共同代表に一言ずついただき
ました。木内さんは、ネットで見て怖いなあ近づきたくないなあと思ってい
たが根が深く自分の中にもその種はあるんだろうなと思ったそうです。朴さ
んは、高校生の時に関東大震災の朝鮮人虐殺を読み、そして公然と朝鮮人殺
せと発せられる時代となり、電車内でもそんな人がいるのではないかと恐怖
を感じる人間がいるという想像力を持って欲しいと訴えました。そして前田
さんは、国際人権規約でも人種差別撤廃条約でもヘイトクライムは犯罪だ
が、日本の学者は表現の自由と主張していると批判します。表現の自由を守
るためにヘイトスピーチを処罰するのが欧州的な考え方であり、「アウシュ
ビッツの嘘」主張の処罰はドイツだけでなく、フランスもスペインやスイス
もやっているとし、「慰安婦の嘘」も同様に日本や韓国や中国で処罰法を作
るべきと主張します。欧州は長い歴史の中で作ってきたが、私たちはそうで
なかっただけでなく全く逆の状況になっている。少なくともヘイトスピーチ
は許されないことであり、許さないよう頑張らなければならないと強調しま
した。

手塚治虫「戦争美化と差別助長」書いてはいけない二大原則だった

まとめでパネリストに一言ずつ語っていただきました。八木さんは、ヘイト
スピーチではなくヘイトクライムであり、法で処罰して当然だとします。そ
してオリンピックをするなら世界標準に合わせるべきで、少なくともヘイト
デモは許可せず、最終的には日本のコンセンサスにしようと語りました。石
坂さんは、手塚治虫の描いてはいけない二つの大原則は戦争美化と差別助長
だったと語りました。寺脇さんは、職業柄子どもたちを見ていてその人権意
識は改善されていると感じると述べ、若い人々と話して小林よしのり以外の
歴史観もあることなどを伝えていくべきと語ります。また、学びは両方に求
められ、誤読と曲解に反対する側もきちんと考えていかねばならないと喚起
しました。

最後に川原副事務局長が、のりこえねっとは今後ともヘイトスピーチ、レイ
シズムと闘っていくと力強く閉会の挨拶をして終わりました。


●3.今後の反レイシズム情報
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★公式サイト 学習会カレンダーにも順次掲載致します!
http://www.norikoenet.org/workshop.html#callendar
★集会・デモ・カウンター・セミナーなどのお知らせを掲載します。
 日時、会場、タイトル及び内容、主催者、主催者の連絡先などを400文字
 以内で、お送り下さい。件名に「のりこえねっと通信掲載希望」と明記し
て下さい。

1)「『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件』を読む 控訴審判決に向けて」

日時:6月29日(日)15:00~18:00
会場:同志社大学烏丸キャンパス志高館112教室(地下鉄 今出川
報告予定:金尚均、冨増四季、師岡康子、中村一成、学校関係者等
参加費:無料(カンパ制)
主催:在特会らによる朝鮮学校に対する襲撃事件裁判を支援する会(こるむ)
朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)


●4.ヘイトスピーチまんが&シナリオコンテストの変更について

なぜ彼らはヘイトスピーチをするのか、ヘイトスピーチをされた人はどう感
じるのか。。。
ヘイトスピーチについて多くの人に知ってもらい、考えてもらうための漫画
を募集します。
プロ、アマ問いません。素敵な作品をお待ちしています。
http://www.norikoenet.org/manga_contest.html

<漫画部門の受付期間の延長について>
 この度は、沢山の方にシナリオ部門にご応募頂き誠にありがとうございま
した。今回はヘイトスピーチという難しい内容をテーマに設定したこともあ
り、多くの方が試行錯誤されたようでした。主催者側としても十分検討いた
しましたが、残念ながら該当作品はありませんでした。応募して下さった
方々には申し訳ありません。
 そこで、シナリオにつきましては、主催者の方で準備することにいたしま
した。
 シナリオ制作にお時間を頂く関係で、漫画部門の受付期間につきまして
は、8月末まで延長いたします。漫画部門応募者の方には、シナリオの準備
ができ次第、送付させて頂きます。
 どうぞご了承頂きたく、お願い申し上げます。

●作品受付期間
(1)シナリオ 終了しました

(2)漫画  2014年8月末日まで延長します

●応募方法
  後ほど(7月上旬以降)、シナリオをお送りします。

●結果発表
2014年9月 のりこえねっとホームページ上

●参考資料
◆本・ブログ等 

・加藤直樹著「九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残
響」(ころから)http://korocolor.com/
・のりこえねっと編「ヘイトスピーチってなに? レイシズムってどんなこ
と? 」(七つ森書館)
・野間易通著「『在日特権』の虚構~ネット空間が生み出したヘイトスピー
チ」(河出書房新社)
・師岡康子著「ヘイトスピーチとは何か」(岩波新書) 他

詳細は下記をご覧下さい。
http://www.norikoenet.org/manga_contest.html


●5.新聞・雑誌記事・Webより

1)日本聖公会総会「ヘイトスピーチ」に関する声明

2014年5月27日(火)から東京の牛込聖公会聖バルナバ教会で開かれていた
日本聖公会第61(定期)総会は、3日目の29日(木)、次の決議を満場一致
で採択しました。

「ヘイトクライム(人種・民族憎悪犯罪)、ヘイトスピーチ(人種差別・排
外表現)の根絶と真の多民族多文化共生社会の創造を求める日本聖公会の立場」

http://www.nskk.org/province/seimei_pdf/hatespeech140605.pdf

2(インタビュー)W杯にできること
2010年W杯の日本代表監督・岡田武史さん
朝日新聞 6月11日

 ――欧州に限らず、世界中で人種差別行為も問題になっています。
 「難しい問題だ。1992年にコーチ留学でドイツに1年住んだ時にも表
面には絶対に出さないけど、差別感覚は常に感じた。タブー視している分、
見えない陰の部分がどんどんふくらんでいっている感じだ」
 ――欧州議会で右翼勢力が台頭するなど、社会全体に人種差別の空気が広が
りつつある。
 「日本でもヘイトスピーチが起きている。他を責めることでしか自分のア
イデンティティーを確認できない。なぜ言論の自由以前の問題がまかり通る
のか、理解できない。私が国際サッカー連盟の会長なら、W杯で試合が終
わったら選手全員が抱き合い、輪を作って観客にあいさつをさせる。差別反
対を強く訴える機会にしたい」
 ――各国の代表チームが争うW杯はナショナリズムをあおるともいわれてい
ます。
 「ナショナリズムはとても大事なものだし、決して悪いことではない。相
手のチームも自国に誇りを持ち、ナショナリズムを持っていることをお互い
に理解しないといけない。4年前のW杯でパラグアイにPK戦で負けた時
に、相手のベテランのサンタクルス選手が日本選手の肩を抱いて握手して
いった。彼は知っていた、日本選手が誇りを持って全力を尽くしたことを」
 ――政治ではできないことでも、スポーツには可能性があると。
 「今回のW杯が各地で緊張が高まる世界の流れを変える大きな力になって
ほしい。民族や国家ではないくくり。縦のくくりがそれなら、サッカー仲間
や音楽仲間といった国境を超えた横のつながりがある。これからの時代はそ
ういうものが大事になって、W杯や五輪はそれを具現化する場になりうると
考えている」

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11183008.html?iref=comkiji_txt_end_s_kji
d_DA3S11183008

2)「反日」レッテル 広がる不寛容と憎悪 被爆や水俣の語り部に暴言・中傷

東京新聞  6月12日

 「死に損ない」。長崎市を五月末に修学旅行で訪れた横浜市の男子中学生
が、被爆者の語り部に暴言を吐いていた。水俣病認定患者の語り部の自宅に
は「金が欲しいのか」と中傷する電話があった。語り部たちは、侵略戦争や
公害を引き起こした国などの犠牲者である。そうした歴史を一顧だにせず、
一方的な論理で排除する態度は、在日コリアンを排斥するヘイトスピーチや
日本政治の右傾化と地続きだ。

3)差別と偏見 正しい知識を伝えてこそ
西日本新聞 6月15日

 無知や無理解、無関心、そして中途半端な知識が差別や偏見を生むといわ
れる。このことを痛感させられる出来事が、九州各地で相次ぎ発覚した。残
念でならない。
 熊本県水俣市で水俣病犠牲者慰霊式が行われた先月1日、式に出席した水
俣病認定患者で同市立水俣病資料館「語り部の会」会長の自宅に、会長を中
傷する電話が計3回かかってきた。
 電話は式の様子がテレビで放送された直後にあり、応対した会長の妻に対
し「そんなに金が欲しいのか。(水俣病の)被害者のふりをして、やめん
か」などと一方的に誹謗(ひぼう)したという。その後、今月6日までに非
通知の無言電話が夜間や早朝に十数回もあった。
 卑劣極まりない行為である。会長が「全ての被害者に対する侮辱だ」と憤
るのも当然だろう。

 各地でヘイトスピーチ(憎悪表現)が続くなど排外主義的風潮が広がりつ
つあることも気になる。「いかなる差別も許さない」という決意を社会全体
で共有したい。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/95081l

4)「嫌中憎韓」ブーム、出版界から「これでいいの?」
朝日新聞 6月17日

 中国や韓国を批判する「嫌中憎韓」本の売れ行きが好調な出版界。憎悪を
あおるような言説を疑問視しブームに対抗しようという動きが内部から出始
めた。
 
■加担しない、会社超え連携
 「中国や韓国を批判する週刊誌の広告の言葉遣いはひどい」
 「週刊誌を出す出版社を敵に回しては、作家も書店も巻き込めなくなる」
 東京都内の出版社の一室で4月下旬、大手から中小まで様々な出版社の社
員約20人が議論を交わしていた。他国や他民族への憎悪をあおる言説に出
版界の中から歯止めをかけられないか。そんな考えからフェイスブックなど
を通じて集まった「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の
会」のメンバーだ。
 外交関係の緊張を背景に、中国や韓国を批判する本は昨年秋ごろから売れ
始めた。今年上半期、新書・ノンフィクション部門の週刊ベストセラー
(トーハン)には「韓国人による恥韓論」「犯韓論」など両国をテーマにし
た本が7冊、トップ10入りした。売り場の目立つ場所で特集している書店
も多い。
■反ヘイト本、全国でフェア
 こうしたブームに疑問を呈したのが、河出書房新社だ。先月、全国の書店
に呼びかけて選書フェア「今、この国を考える」を始めた。「『嫌』でもな
く、『呆』でもなく」をキャッチフレーズに、「今読むべき本」として作家
いとうせいこうさんら著名人19人が選んだ18冊を紹介。同社の担当者は
「ブームの裏で、女性の貧困、雇用問題など切に問われるべき社会問題が置
き去りにされている」と話す。
 
■批判的思考、実は思い込み
 「反・嫌中憎韓」の動きは広がるのか。
 佐藤卓己・京都大准教授(メディア論)は影響力は限定的だとみる。嫌中
憎韓本にはマスメディアの報道を疑う内容が多いといい、ブームの背景には
メディアリテラシー教育の影響があるとみるからだ。
 「教育現場では情報に批判的に接する姿勢が強調される一方、やみくもな
批判は知的でないとは教えてこなかった。嫌中憎韓本の読者は、自分が批判
的思考をしていると思い込み、真面目に読み続けるのではないか」

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11193572.html


5)高崎の朝鮮人追悼碑:県議会が撤去請願採択 /群馬
毎日新聞 6月17日
 
 高崎市の県立公園「群馬の森」に建てられた朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑
について、県議会は16日、県に設置許可を更新しないよう求める県議会産
経土木常任委員会の請願3通の採択と一部採択を賛成多数で決定した。自民
党、公明党、新星会の計34人が賛成、リベラル群馬と共産党の計10人が
反対した。
 採決前の討論では批判の声が相次いだ。共産党の伊藤祐司議員は「ヘイト
スピーチ(民族差別発言)デモの動きを背景に出されたのが今回の請願。県
議会がそうしたレイシスト(人種差別主義者)に同調する採決をしようとは
驚きだ」と批判、不採択を訴えた。リベラル群馬の黒沢孝行議員は「追悼碑
はもともと県当局の理解を得て建立されたもので、日中・日韓の関係が良好
とは言いがたい時に群馬から火に油を注ぐような行動は取るべきではない」
と指摘。大沢正明知事に対し「大局的な見地から英断を期待する」と、設置
許可の更新を求めた。
 
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20140617ddlk10040185000c.html

6)平和や原発考える集会 明大、会場提供を拒否
東京新聞 6月17日 朝刊

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)とマスコミ九条の会が十九日に開く平
和をテーマにした集会が、会場の明治大(東京都千代田区)に開催一週間前
になって利用を断られ、急きょ文京区民センターに変更を余儀なくされた。
大学側は「学生の安全を第一に考えた」とするが、主催者によるとこれまで
集会で利用制限されたことはなかった。自由な精神や学問の象徴であるはず
の大学の「拒否」を、関係者は批判している。 
  主催者側によると、会場の利用は共催団体メンバーの明治大教員を通じ
て開催一カ月前に大学に伝え、決まった。昨年までも特定秘密保護法を考え
る集会などで同様に申請し、そのまま利用を認められていた。
 だが今回、大学は開催一週間前の十二日、利用申請書と主催団体の会員名
簿、集会内容の詳細の提出を教員に求めた。「会員名簿は個人情報」と断る
と、利用が認められなくなった。
 大学広報担当によると、今月上旬、学内で会場利用の手続きを厳格化。五
月に学外の団体が村山富市元首相の講演会を開いた際、約十台の街宣車が大
学周辺を回ったり、今月上旬の集会で隣の教室の授業をほかの教室に変更す
るといった出来事が続いたと説明する。
 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014061702000125.html?

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●6.ツイッターのフォローをお願いします!

今年2月より、のりこえねっと公式Twitterを始めました。毎週ののりこえ
ねっとTVやヘイトスピーチ・デモに対する抗議活動をリアルタイムで伝えた
り、レイシズムやさまざまな社会現象に対して発言する皆さんのリツイート
するなど、お知らせしてきました。おかげさまで850名近くの方にフォロー
を頂きありがとうございます。
しかしまだまだ情報発信を広げて、多くの方に日本の人種差別状況を知って
いただかなければなりません。ぜひのりこえねっとのTwitterをご覧いただ
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●7.編集後記

最近のりこえねっとに学生の皆さんからの取材が増えています。先週はのり
こえねっと事務所近くにある海城中学校の3年生と桜美林大学の映画専攻1
年生の皆さんが来てくれました。それぞれ質問事項を一生懸命考えてくれて
きており、私たちも答えるのに苦労したものもありました。それでも自分た
ちが中3や大学1年生の時にこんなに真面目に学校の勉強に取り組んでいた
かというと自信がありません。ぜひとも学生らしい新鮮な視点で描かれたレ
ポートができることを期待します。そして、「事件は会議室で起こっている
のではなく、現場で起こっている」ということで、ヘイトスピーチやレイシ
ズムと闘う現場で再会できることを願っています。(中学生はもう少し大き
くなってからですね)(か)

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■のりこえねっと通信 0034号 2014年6月18日発行
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