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英国のEU離脱を決定した国民投票直後の混乱は一旦沈静化したかに見えましたが、先週、マーケットは再びリスクオフの動きになりました。きっかけは、英国 で不動産ファンド解約が続いていることや企業マインドの悪化が起こっていること、加えて、イタリアの銀行の不良債権問題がクローズアップされたことでし た。
先週末の東京市場は、リスクオフ再びの株安、円高で米雇用統計待ちになりました。
8日夜発表の6月米国雇用統計は、予想を大幅に上回る非農業部門の雇用増でニューヨークダウは大幅高でリスクオフが和らぎ円高も反転と思いきや、ドル円 相場は直後100円台から101円台へちょこっと乗せただけで、その後は一転100円割れを瞬間演じるなど、円高基調の強さを見せつけられる展開となり、 日本の参院選結果を待つことに。
主要通貨の対米ドルの動きをBrexit直前を起点に先週末まで見てみると、上昇はダントツの日本円5.6%とブラジルレアル1.1%、ニュージーラン ドドルの0.8%の3通貨で、基本的にはドル高通貨安で、そのトップは英ポンド(13%安)その他欧州通貨が主に下げを演じ、新興国通貨もほぼすべて下落 し、円がほぼ独歩高。
日本は、最近の世界で起こったネガティブな事象の影響を最も受けて、株価低迷、円高を抱えた格好です。少子高齢化、巨大な財政赤字はありながら、経常収支黒字を保っている日本。
問題はありながら、世界のあちこちの問題から見れば、安全面でよりセーフです。リスクが意識されだすと比較優位で円が買われる基本構造は今のところ変わりないと言えそうです。
参院選での与党勝利により、今後、日本政府から出されるだろう政策期待が高まりました。また、イギリスでは新首相がメイ氏に早々に決まったこともありポンドの買い戻しが起こり、資本市場でのリスクオンの動きが始まりました。
更に、日本では、来日しているバーナンキ前米FRB議長が自身の持論である「ヘリコプターマネー政策」を追加緩和政策として日銀や安倍首相にアドバイス したのではないかという憶測も市場に出て、円は105円直前まで、日経平均株価はBrexitショック直前の水準まで戻しました。
7月の日銀政策決定会合での追加緩和期待ではJREITやETF買い入れ増額、マイナス金利幅の拡大が言われています。また、公的年金運用機関が持株の 価格低下のため新たな株購入に動く余地ができたのでは?の期待、6月最終週に外国人投資家が3週ぶりに買い越しに転じていたことなど、株式市場には好材料 でした。
為替市場は、株式市場好転に追従して行く形で、100円台から104円台に戻した感がありますが、Brexitショック直前の水準には届かず、105円台から上の重さを意識していく可能性が高いと思います。
今後の焦点は、日本政府が打ち出す財政政策、それに金融政策がどう絡むか?
さらに、打ち出される政策がどの程度効果があるものに注がれるのか?
などの内容にも敏感になってくるかと思います。
今回の相場反騰は、ショートがたまっていたタイミングでもありました。
今後、円高による企業業績悪化が懸念されますので、それをも吹き飛ばすような有効な政策であるかどうか、期待が高まるほど、落胆も深まるのは何度も経験 してきました。政策への期待値が下がっていることも考えると、期待相場にどこまでついていくのか、冷静に注意しておく必要がありそうです。
米国の大統領選挙のニュースも入ってきていますが、11月の投票日に向けての選挙戦は9月に入ってからが本番になるでしょう。相場への影響ももう少し後からかと思われます。
一方、米国の金融政策については、6月雇用統計発表の後は、今年中の利下げ確率はさすがになくなりましたが、一方の利上げ確率も今年中は低く、今年も末 頃、または来年に入ってから利上げの可能性はあるかな?という感触です。利上げの議論は、Brexitの後の世界状況を見てからということになるのでしょ う。
ユーロ圏でのイタリアの銀行問題については、いわゆるリーマンショック以来、EUは金融機関の救済システムを創ってきていますので、世界経済を揺るがすような大きな問題にはならないのではないかと思っていますが、注意は払っておきたいところです。
リスクオンの動きが出てきた今週ではありますが、各国の長期金利はまだまだ超低水準。引き続き、リスク敏感を示しているように思います。
最後までお読みいただき、、ありがとうございました。
*7月13日東京時間午後2時執筆
本号の情報は、7月12日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
先週末の東京市場は、リスクオフ再びの株安、円高で米雇用統計待ちになりました。
8日夜発表の6月米国雇用統計は、予想を大幅に上回る非農業部門の雇用増でニューヨークダウは大幅高でリスクオフが和らぎ円高も反転と思いきや、ドル円 相場は直後100円台から101円台へちょこっと乗せただけで、その後は一転100円割れを瞬間演じるなど、円高基調の強さを見せつけられる展開となり、 日本の参院選結果を待つことに。
主要通貨の対米ドルの動きをBrexit直前を起点に先週末まで見てみると、上昇はダントツの日本円5.6%とブラジルレアル1.1%、ニュージーラン ドドルの0.8%の3通貨で、基本的にはドル高通貨安で、そのトップは英ポンド(13%安)その他欧州通貨が主に下げを演じ、新興国通貨もほぼすべて下落 し、円がほぼ独歩高。
日本は、最近の世界で起こったネガティブな事象の影響を最も受けて、株価低迷、円高を抱えた格好です。少子高齢化、巨大な財政赤字はありながら、経常収支黒字を保っている日本。
問題はありながら、世界のあちこちの問題から見れば、安全面でよりセーフです。リスクが意識されだすと比較優位で円が買われる基本構造は今のところ変わりないと言えそうです。
参院選での与党勝利により、今後、日本政府から出されるだろう政策期待が高まりました。また、イギリスでは新首相がメイ氏に早々に決まったこともありポンドの買い戻しが起こり、資本市場でのリスクオンの動きが始まりました。
更に、日本では、来日しているバーナンキ前米FRB議長が自身の持論である「ヘリコプターマネー政策」を追加緩和政策として日銀や安倍首相にアドバイス したのではないかという憶測も市場に出て、円は105円直前まで、日経平均株価はBrexitショック直前の水準まで戻しました。
7月の日銀政策決定会合での追加緩和期待ではJREITやETF買い入れ増額、マイナス金利幅の拡大が言われています。また、公的年金運用機関が持株の 価格低下のため新たな株購入に動く余地ができたのでは?の期待、6月最終週に外国人投資家が3週ぶりに買い越しに転じていたことなど、株式市場には好材料 でした。
為替市場は、株式市場好転に追従して行く形で、100円台から104円台に戻した感がありますが、Brexitショック直前の水準には届かず、105円台から上の重さを意識していく可能性が高いと思います。
今後の焦点は、日本政府が打ち出す財政政策、それに金融政策がどう絡むか?
さらに、打ち出される政策がどの程度効果があるものに注がれるのか?
などの内容にも敏感になってくるかと思います。
今回の相場反騰は、ショートがたまっていたタイミングでもありました。
今後、円高による企業業績悪化が懸念されますので、それをも吹き飛ばすような有効な政策であるかどうか、期待が高まるほど、落胆も深まるのは何度も経験 してきました。政策への期待値が下がっていることも考えると、期待相場にどこまでついていくのか、冷静に注意しておく必要がありそうです。
米国の大統領選挙のニュースも入ってきていますが、11月の投票日に向けての選挙戦は9月に入ってからが本番になるでしょう。相場への影響ももう少し後からかと思われます。
一方、米国の金融政策については、6月雇用統計発表の後は、今年中の利下げ確率はさすがになくなりましたが、一方の利上げ確率も今年中は低く、今年も末 頃、または来年に入ってから利上げの可能性はあるかな?という感触です。利上げの議論は、Brexitの後の世界状況を見てからということになるのでしょ う。
ユーロ圏でのイタリアの銀行問題については、いわゆるリーマンショック以来、EUは金融機関の救済システムを創ってきていますので、世界経済を揺るがすような大きな問題にはならないのではないかと思っていますが、注意は払っておきたいところです。
リスクオンの動きが出てきた今週ではありますが、各国の長期金利はまだまだ超低水準。引き続き、リスク敏感を示しているように思います。
最後までお読みいただき、、ありがとうございました。
*7月13日東京時間午後2時執筆
本号の情報は、7月12日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)