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為替市場動向~リスクオフの夏休み?~
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為替市場動向~リスクオフの夏休み?~

2017-08-10 14:43
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     台風の被害に遭われた方々には、お見舞い申し上げます。


     夏の高校野球始まり、お盆休みを前にした休暇モードの中、今日は朝からリスクオフのドル高・円高、株安の動きになりました。


     直接のきっかけは昨夜出たニュース、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル〈ICBM〉級のミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したとの米国・防情報局DIA分析報道。さらには、それに対してのトランプ大統領の発言(北朝鮮は炎と怒りに遭う等)への動揺でした。

     このニュース、(不気味に?)10連騰してきたニューヨークダウの下げのきっかけとなり、2万円を挟んでボックス相場が続き、週末にはSQを控えた日本の株価も大きな下げになりました。為替のドル高・円高の動きは、これまでのユーロ主導によるドル安、他通貨全般に対する円安基調の解消とも言えるでしょう。

     今日の動きが一時的なポジション調整で済むのか、今後のトレンドに続くのか警戒して見ていかなくてはならないと思います。


     一方、欧米議会や金融政策当局も夏休み入りしている中、今後の大きな関心事の一つは、9月の米FOMCにおいてバランスシート縮小についての具体的な言及があるかでしょう。

     FRBの9月FOMCでの利上げに関する市場予想は、直近で94.4%で現状維持。11月のFOMCでも9割近くが現状維持、12月に確率上昇して6割近くの予想です。

     利上げ、バランスシート縮小という金融政策正常化に向けての動きのネックになるのが、インフレ指標です。雇用と物価を政策の礎にしているFRBなので、改善してきた雇用の一方で、物価指数の鈍化は一時的なものなのか基調なのか判断に時間を要すると思われます。


     先月末に発表されたGDP統計で消費者物価(CPI)コア指数は今年1~3月期が2.2%、4~6月期が1.8%、7~9月期予想は1.7%、10~12月期は1.5%でした。住宅は、昨年末からの長期金利上昇もあってか低迷していますし、設備投資関連も一進一退。これは、昨年後半から今年初めに盛り上がり過ぎたトランプ期待の反動でしょうか。

     物価指数が注目される中、今週金曜日8月11日に7月のアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表されます。予想は、食品・エネルギーを除いたコアで前年同月比1.7%。6月と同様の数値が予想されています。9月のFOMCでの決定に影響が大きいだけに注目されます。
     低インフレが続くようですと、金融政策正常化は、性急に行わず、ゆっくりと来年にかけて実施していく可能性も高いようにも思われます。


     米国関連では、9月には暫定予算期限が到来し債務上限問題が、再び浮上します。このところ、例年のことではあるので大きな不安要因とはならないかもしれませんが、気に留めておくと良いと思います。


     ドル・円相場は、約2か月ぶりの安値圏まで、ずるずると落ちてきました。
     トランプ政権内のゴタゴタやロシア関連のスキャンダル、加えて後押しするような強い経済指標もないことが要因でした。
     6月末と比べた対ドルでの円上昇率は2.28%で、ブラジル・レアルの5.78%、ユーロの2.7%上昇に比して大きな上昇ではないために、それらの通貨に対しては、例えば、ユーロ対円では6月中の120円台から8月月初の131円40銭(高値)への円安基調の動きとなりました。

     先週末の雇用統計発表後は、一時111円05銭をタッチしたものの、一瞬で反落。111円が重く感じられる展開が続いた後の地政学的要因も加わったリスクオフの109円台。このところは、円相場の変動は小さくはなっていますが、下値へ振れやすい要因が目立つのが気になります。


     調整も少なく猛スピードでドル安ユーロ高を突っ走ってきたユーロ。
     ユーロ上昇の背景には、ここ3年近く低迷したユーロを減らしてきた各国の外貨準備調整がありそうです。EU経済の復活状況に伴いユーロ比率を増やしたとの情報も聞きます。

     今年年初の1.03台から8月2日には1.19台の示現もありましたが、直近では1.17台まで戻してきました。調整のきっかとなったのは、英国中銀の8月3日のMPC(金融政策決定会合)の影響とも言えます。

     今回のMPCでは、成長見通しを下方修正、加えて利上げ票が広がらなかったことで、一時盛り上がった利上げ観測が後退。特に目先は大きく後退し、来年以降へずれ込むという観測が大勢になり、このことが欧州へも響いたとも言えます。
     どちらにしても、ユーロ上昇のスピードが速かっただけに先週後半からの調整も不思議ではなかったかもしれません。


     ユーロは、金利面でも調整過剰の動きがありました。
     EU諸国の国債利回りの対ドイツ国債スプレッドは大きく縮小し、各国のリスク度合いにしては、やや縮小しすぎでは?の水準まで来ました。一旦、調整終了かもしれません。

     夏休みを徹底してとる欧州からの情報は、8月24日~26日の米ジャクソンホールでのドラギ総裁の講演待ちかと思います。


     夏休み期間には、参加者の少なさと共に流動性が減少します。乱高下も起きやすい環境です。また、天候の方は、しばらく猛暑が続く予報。

     乱高下にも、厳しい残暑にも、サバイブできるよう心身健康に留意しましょう!


     最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


    ※8月9日東京時間12:00執筆
     本号の情報は8月8日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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