産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
2月号連載記事
■短期の現象にシステムは無い。あるのは混沌だけだ。
●複雑系とは何か
「短期の現象にシステムは無い。あるのは混沌だけだ」、そしてその混沌の中で「長期の時間軸をとればはっきりとしたトレンドが現れる」ということを説明するには、どうしても「複雑系」の理論に踏み込まなければなりません。
読者の方はすでによくご存じかもしれませんが、「複雑系」の定義をおさらいしてみます。
複雑系=『お互いに関連する複数の要因が集まった系。全体としてなんらかの性質などを見せる。しかしそれらの(全体としての)動きは、個々の要因や部分からは明らかでないもの』。
このように説明されると、「いったいなんじゃそれは?」ということになってしまうと思いますが、例えば気象について考えればわかりやすいと思います。
例えば明日の天気がどうなるかを予想するのに、夕焼けをあてにしたり下駄を跳ばす人もいるでしょうが、そのようなことに頼らざるを得ないほど「明日の天気」の予想は難しいものです。最近は天気予報の精度がかなり上がってきてかなり信頼できますが、それでもいつも当たるわけではありません。
それに対して、もっと長い1年という期間の予想を考えてみましょう。
例えば、今8月だとして、来年の8月に夏がやってくることはほぼ100%確実だと言えます。天気予報を聞くまでもありませんし、ましてや下駄を跳ばす必要もありません。
なぜ、短期の予測は困難で、長期の見通しをたてることは可能なのでしょうか?
例えば、中央区の明日の天気というような「狭い範囲かつ短期の予想」は「法則性が無い」から困難であり、逆に来年8月の日本の季節というような「広範囲かつ長期の予想」は「法則性」を見出すことができるから、予想が可
能ということです。
もうひとつ複雑系のたとえ話で有名なものをとり上げれば、「バタフライ・エフェクト」があります。これは、例えば赤道上で羽ばたいたアゲハチョウの起こした風のさざ波が、最終的に大型の台風になることもあるというたとえです。
まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の思考実験ですが、大事なのは「風はいつも吹いているが、どの風が桶屋を儲けさせるのかわからないし、世界に無数に存在する蝶のどの羽ばたきが台風につながっていくのかわからない」ということです。
しかし、無数にある短期的現象の一つがトレンドを形成し、台風となった後の動きは、比較的容易に予想できるということです。
●無から有が生まれる
複雑系に踏み込んだついでに、もう少し科学的な思考を続けてみましょう。
般若心経では「無は有であり、有は無である」と、はるか昔に看破していますが、「無は有である」という考え方は、何も宗教や哲学の世界だけの話ではありません。現代の物理学においても「無は有である。無から有が生まれる」という考え方は、主流の学説になっています。
続きは「産業新潮」
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2月号をご参照ください。
(大原浩)
*2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立します。HPは先行して2月にはアップされます。
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)