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有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「バランス・シートを読むための簡単な知識(7)」=
(有料メルマガ第351回・2015/10/13配信号)
※2015年10月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
■今日は売掛債権(=売掛金・受取手形等)についての2回目です。
〇流動資産の中に出てくる『受取手形及び売掛金』というのが『売掛債権』に 該当します。
バランス・シートのどこに売上債権は表示されているのでしょうか。
売掛債権はバランス・シートの左側の流動債権の項目に表示されています。
ファンダメンタルズを重視する投資家なら、まずは投資を検討している企業の決算短信をみてバランス・シート(貸借対照表)の受取手形および売掛金のところを確認してみてください。
このメルマガの毎回の研究レポートでも、バランス・シートの主要な流動資産を書いて資産背景を確認しています。
○では、流動資産の売上債権をどのように見てどう企業の何を判断したらよいのでしょうか。
チェックのポイントは次の2つです。
1.売上債権回転期間の水準を把握して、変化を見る
2.売上債権回転期間の大幅な変動がないかを見る
それではこの時の判断のポイントを確認しましょう。
1.売上債権回転期間の水準を把握して、変化を見る
あらゆる勘定科目は、その期だけを見るのではなく変化に注目することが大切です。過去の状況と、現在の状況を比較して変化を観察するのです。
増加傾向にあるのか。減少傾向にあるのか。トレンドを見ることが大事です。
月次の売り上げを発表している企業でないと使えませんが、季節変動のある業種では12ヶ月移動平均をとって比べると、季節変動を除去して捉えることが出来ます。
売上債権回転期間(単位 日):売上債権 / 売上 ×365
〔その企業の過去との比較がとても重要〕
前年比、前半期比、前四半期比で大きく変化があった場合は特に注意してください。
大きく変化していたときは、変化の原因を調査することが必要です。
〔同業他社との比較も大切〕
水準の違いから、優位性を検討することが出来ます。
明らかに水準が違えば、同じ業種でも違うビジネス・モデルを持っているのかもしれません。
そのビジネス・モデルを調べることで企業の強みと弱みを推測する手がかりを得ることが出来ます。投資のヒントが得られます。
2.売上債権回転期間の大幅な変動がないかを確認する。
売上債権回転期間の大幅な変化は、営業活動の質の変化の表れかもしれません。今までと同じ取引先と、同じような製品・サービスを取引していれば、通常はあまり大きく変化することはないでしょう。
しかし売上げが伸びないと回収条件を悪くして売上げを伸ばしたいと考え、実行する企業も出てきます。
売上債権回転期間が大幅に長期化した場合は、その企業にとって好ましくない悪い変化つまり大きなリスクが発生している可能性も疑ってみる必要があります。
例示的に売上回転期間が変化する原因を示しておきましょう。
1)新しい販売先への売上が増えた
売上債権は取引相手との信用取引によって発生したものです。
信用の無い相手なら商品は現金と引き換えでなければ渡さないでしょう。
しかし売上を増やすために新しい大手の企業と取引を開始する場合もあります。
そのためにはその大手企業の既存取引先(ライバル)手より有利な条件(つまり自分には不利な販売条件)を提示しなければならない場合もあるでしょう。
2)ライバルの攻勢から防衛のため既存の販売条件を変えた
新たなライバル企業が現れたて有利な条件を提示してきたとき、従来の売上を確保するために、販売条件を不利に変化させる必要が生じるかもしれません。
3)売上の内容が変化した
売上の内訳が変化した場合も考えらます。
その場合、その変化の有利な点、不利な点を突き止めたいですね。
例えば輸出型の企業なら、輸出品の売上比率が増加した場合に、流通の時間が長くなることがあります。その場合売り掛け回転期間が長期化することもあります。
注意点:売上の質の変化は、決算短信等のセグメント情報が把握する手がかりになります。
セグメント情報には、
a)売上に占める輸出の構成比率や、地域毎の利益率
b)製品、サービス毎の構成比率や、それぞれの利益率
など多くの貴重な情報が記述されているので参考にしてください。
4)商品が売れなくなり、条件をゆるくして販売する必要となった
売れない商品を販売条件を甘くして取引相手に買ってもらう、また無理な売上目標達成や、期末の目標達成等、季節的な要因で売る側の都合で売上を計上したいと考えて販売をしたために、大量の返品が発生する可能性もあり、注意が必要です。
5)販売先が資金繰りにつまり、払えなくなっている
非常にわかりにくく、判断が難しいのですが、取引先の貸倒リスクが高まっている可能性もあります。
主要な取引先に信用状態が悪化して危険な企業がいないかという点もできるだけチェックしたいです。
投資家にとって怖いのは投資している企業の取引先が倒産して、大きな不良債権を持つことです。株価下落の大きな原因となります。
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)