産業新潮
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12月号連載記事
■その3 戦わずして勝つべし
◆何もしないおじさん
私の友人で、メディア業界で長年働いた後、現在は自身の事業を行いながら大学の講義で教えている人物がいます。彼は毎年の授業で必ず学生たちにこのように言うそうです。
「君たち、社会人になったら会社というところには、何もしないおじさんがたくさんいるんだよ!」。
すると、学生たちは
「へぇ・・本当ですか?働かないおじさんがたくさんいたら、会社が成り立たないと思うのですが・・・」
と怪訝そうな顔をします。
ところが、彼らが卒業して2~3年後に彼のところへ遊びに来ると
「先生のおっしゃったことは本当でした」
と口をそろえて言うそうです。
このような会話はあちこちで交わされていると思いますが、この「学生」や「先生」の考え方は根本的に間違っています。
まず、江戸時代や明治時代ならともかく、現代の先進国の仕事はドラッカーが述べるように「知識労働」がメインですから、「分析」・「思考」・「発案」が重要です。まだぺいぺいで、得意先回りや雑務を担当して汗を流している若者たちから見れば、上司たちはデスクにかじりついているだけで何もしていないように見えるのは仕方がないかもしれません。しかし、彼らには、(現代の)ビジネスの本質がわかっていないのです。
もっとも、年功序列システムが維持されている会社では、「分析」・「思考」・「発案」の評価がほとんどおこなわれませんから、モチベーションを失った本当の「何もしないおじさん」が大量発生しているかもしれませんが・・・
◆経営者・幹部は片目を開けて寝ていればよい
最近はあまり聞きませんが、かつては日本型経営の特質の一つとして「おみこし型経営」が良く取り上げられていました。要するに、若いときにはおみこしを担いで汗を流し、歳をとって上司になれば、逆に担がれて楽ができるというわけです。このシステムは、年功序列と結びつけられたため、ポスト不足によりピラミッド型の社員構成が維持できなくなるとともに廃れました。
しかし、このおみこし型経営は「実力主義」の「知識労働」においても十分機能するのです。ドラッカーは「知識労働者は、マネジメント(上司)よりも、その専門分野においてより多くの知識を持っているから雇われるのである。だから、その点においてマネジメントが口をはさむことができない」といいます。つまり、専門家集団である部下をマネジメントするには、具体的な仕事の指示を行うのではなく、彼らにおみこしを担いでもらうしか方法が無いということです。
最近は、株主からのプレッシャーがきつくなり、経営者も「私はこんなにたくさんの仕事をしました」とアピールすることに汲々としていますが、本来マネジメントが優れていれば、経営者の仕事など微々たるものです。マネジメントに問題があるからこそ、社長や役員が駆けずり回って問題解決を図らなければならないのです。
素晴らしい経営を行っている企業は、マスコミに取り上げられることなど滅多にありません。「事件」や「スキャンダル」とは無縁だからです。逆に、マスコミからその手腕を賞賛される「危機を救った経営者」は、前任者たちが危機を起こしたからこそ(場合によっては本人)、誕生するわけですから、企業にとっては恥ずべきことです。
(続く)
(大原 浩)
続きは「産業新潮」
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12月号をご参照ください。
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