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 今週30日から開かれるG20首脳会議。そこで予定されている米中首脳会談を控えて、為替市場は会談結果を見極めようとするポジション調整も入っているようです。しばらく緩んでいたドルも上方へ戻し、今朝はドル全面高で始まりました。

 米中首脳会談に関しては、米中協議再開に向けた合意といった小さな成果を得られる可能性はあるかもしれませんが、大きな成果は期待薄とする見方が大方と思われます。ただ、期待薄な分、万が一、重要な成果が挙げられれば、ポジティブ・サプライズでの反応は大きくなりますので、週末のポジション管理には気を付けておきたいものです。


 11月8日に114円台を示現したドル円相場。主にドル金利高を背景に、米ドル全面高基調が続いてきました。12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での今年4回目の利上げもほぼ織り込んでいました。ところが、昨今、FRB当局者からの利上げへの慎重な発言(慎重、と市場参加者が解釈)が続いて、FRBは「タカ」から「ハト」に変わりつつあるのでは?との疑念が芽生え、ドル高がコツンと調整されるという動きがあります。

 12月のFOMCでのエコノミストによる利上げ確率は、77%弱(Bloombergによる)で2.25~2.5%へ0.25%の利上げを予想しています。
 FOMC利上げ慎重になる?の見方を市場が注目するようになった背景には、このところ住宅関連指標や耐久財消費など金利高と相関の高い経済指標に弱いものが見られてきたことが挙げられます。FRBの基本的政策は、経済指標次第で中立的な金融政策に向けて動いていくということに変わりはないと思われます。12月のFOMCを見極めながら、今後は、2019年にどの程度の政策金利の変動があるのかに注目が移っていくものと見られます。


 その米国の金融政策についてのヒントを得られるイベントが今週予定されています。
 本日28日ニューヨークでFRB議長パウエル氏の講演があり、明日29日には、11月のFOMC議事録が公表されます。
 ドル金利については、相変わらず短期金利は年度末越えで高い状態の一方で、長期金利の10年物は3.25%の壁は強固のようで、暫く3~3.25%のレンジ内で動くものと想定しています。


 一方、イタリア財政拡大問題とBREXIT素案の合意に注目が集まった欧州。
 BREXIT素案は先週末に欧州議会で合意を得て、12月初旬に英国議会での合意決議を待つことになります。
 先週末に欧州議会の合意を得ても、英ポンドは弱い展開が続いていますし、イタリア財政拡大問題では、イタリアが譲歩を検討しつつあるとの報もあり小反発する場面も見られました。ただ、その後、ドラギECB総裁が「ユーロ圏の経済成長の減速」について言及したこと、加えて、トランプ米大統領の「EUと英国が合意した英国のEUからの離脱案は米英貿易協定の障害になる」という主旨の発言が伝わり、ユーロ安、ポンド安、ドル高に戻りました。また、米国が自動車関税を話を持ちだしたことも、ユーロには弱材料に影響しました。
 今年中にQE(量的緩和)を終了し、来年夏頃には利上げ、との予測が後退するとなるとユーロは当初の利上げ期待分を剥がされることになる可能性があります。


 話を米国経済に戻すと、住宅関連等に落ち込みも見られる一方で、今回のブラックフライデーのセール(感謝祭翌日のセール)、続いて、サイバーマンデー(感謝祭の翌週月曜日でのネット販売でのセール)も売り上げが過去最高になるとの予想もあります。
 今のところ、基本的には米経済は堅調であり、主要国との金利差(実施金利も含めて)が縮む傾向には見られず、ドル高基調は当面は変わらないと見た方が良いのかもしれません。


 今月は、末日30日が金曜日、また、金土とG20、米中首脳会談も予定されていることから、月末特有の需給やイベント前のポジション調整で動く場面もあるでしょう。

 その後は、海外のクリスマスシーズン入りで、市場が薄くなることによる変則的な動きも見られると予想されます。いつもの事ながら、資金管理には余裕を持って臨みたいものです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

※11月28日日東京時間14時執筆
 本号の情報は11月27日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)