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 市場には疑心暗鬼がうごめいている。
 文字通り得体の知れない複雑怪奇な鬼があちらこちらでゾンビのように徘徊し、ムードを暗くしている。


 投資家心理の集大成が株式市場の方向性にも影響してくるのであるが、相場全体の見た目は良くても心の中ではこの疑心暗鬼がとがった針をちくちくと突き刺してくるから決して喜べたものではない。

 業績低迷時には話題にすらならなかったことが業績の好調な時期に様々な不祥事や不具合となって表れる。これは企業への警鐘でもあり社会全体への戒めかも知れません。

 どんなに業績が伸びても常に企業に潜むリスクの芽が投資家の心の中で醸成されリスクオフの行動になって表れるから普段は表舞台に出ることのない疑心暗鬼が舞台のそでから顔をのぞかせることになる。


 疑心暗鬼が誘導する相場下落へのシナリオは昨年12月のクリスマスシーズン後から鳴りを潜めてきたが、いつ表舞台に再び表れるのか絶えず気になるところだ。

 業績が良くても上値は知れているし、悪いと売られ、好材料に飛びついてもほとんどが一過性の終わる展開ではなかなか投資家の元気は出ない。業績にはさほど関係のなさそうな創薬ベンチャーの一部だけが人気を集めてはいるが、いつはしごを外されるのかとこれも疑心暗鬼の状態だろう。

 割安な銘柄と思って投資してみてもいつの間にか回りには、その銘柄よりももっと割安な魅力的とも映る銘柄が飛び込んでは誘惑にかられ、その前に見つけた割安株を売ってまた目の前に現れた銘柄にリスクマネーを投じる羽目になる。

 そうしたらまた別の割安銘柄が現れて、また同じことの繰り返し。
 そうした投資家の投資行動が今の株式相場には潜んでいると言えなくもない。


 疑心暗鬼の妖怪がうごめく相場展開では漫画のような出来事が日常茶飯事に起きてくる。

 M&Aで華々しく成長の狼煙を上げたRIZAPがいきなり赤字に転落。M&A戦略を見直し宣言し、一昨年11月の高値からおよそ10分に1の株価まで下落。

 サンバイオ株は短期3倍化した後に米国での治験の結果が思わしくないとして高値から4分の1に株価下落。

 業績の拡大と人気女優との社長の交際報道で人気を集めたZOZOが出店企業の撤退相次ぎ業績伸び悩み、高値から半値以下に。

 手抜き工事発覚で株価が高値から5分の1に落ちたレオパレス21。


 こんなことで驚いたり落胆ばかりしていてはいけない。
 これらは個性豊かな特殊な企業だからこうした出来事はあっても不思議ではないと言われるのかも知れませんが、安定した経営を続ける比較的有名な日本を代表するような企業においても水面下で起きている出来事は実に疑心暗鬼なことばかりだ。

 ついこの間の東芝の問題はどこかに忘れ去られていますが、日産自のゴーン会長逮捕問題、スルガ銀行の不正融資問題、みずほのリストラ策による大幅赤字転落(これは前向きと捉えることもできる)など記憶に新しい。

 また、住宅建材の大手LIXILグループは業績不振で株価は昨年の高値から半値以下に下落、経営陣同士の内紛に発展しつつある。

 レオパレス21に続きネット上で指摘があるのが大東建託で業績にまだ表面化していない中で株価は高値から半値以下に落ちている。


 皆さんが持っている銘柄はそんなことはないと高をくくっても水面下での出来事は業績の大幅下方修正も含めて表面化した後ではもう時遅しなので、目ざとい投資家は懸念があるのなら今のうちに売却しておこうと割安な銘柄だろうと何だろうとリスクオフの行動を実践することになる。


 タイムリーディスクロージャーの時代とは言え先読みする筈の証券アナリストをはじめとして市場関係者も力がない。ポジティブな点を見出し株式を投資家に買ってもらおうとするが、企業に潜むリスク要因を見出せないと善意の投資家に思わぬリスクを背負いこませることになる。


 株価は上がったり下がったりの繰り返し。複雑怪奇な株価下落が皆さんの投資した銘柄にも時にやってくるに違いない。

 ただ、物は考えようだ。企業に託したリスクマネーは結果としての成長でいつかは返ってくるだろう。また、どこかに明るいネタもあるだろう。


 投資した企業のことを常日頃からしっかり吟味し理解しておくこと。
 これが多くの投資家の疑心暗鬼を退治してくれることになるだろう。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)



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