日曜の六本木の夜はさぞかし賑やかだったろうと皆さんもメディアで伝えられた日米両首脳の高級炉端焼き店での和やかな食事会に思いを馳せられたのではないでしょうか。
一方、メディアではあの小さな居酒屋チェーンに過ぎなかった居酒屋和民を運営するワタミフードサービスにその後の急成長をもたらした偉大な経営者、渡辺美樹氏のことが取り上げられていた。
居酒屋チェーンで財をなした渡辺氏が国会議員に転身して恵まれない新興国の学校設立などに尽力された話は知る人ぞ知る話。私の知人のバングラデシュ人もそうした渡辺氏を良く知る人物。バングラデシュに学校を建てたいとの思いを渡辺氏に伝えようとしたという話も聞いた。
高級炉端焼きならぬ庶民の味方、居酒屋和民の急成長の立役者だった渡辺氏だが政治の世界ではほとんど活躍した話を聞いたことがない。赤字に転落した会社を放置したまま政治の世界に身を置いた同氏が目立った活躍をすることもなく、ようやく立ち直りかけたワタミに戻ってくることになった。
かつて上場時に蒲田の本社を訪れたことのある筆者は渡辺氏のことを凄いと感じた時期もあった。情熱も感じていた。
出店攻勢で毎期成長するワタミフードサービスはファンドマネジャーにとっては格好の運用対象となった。1997年から2000年にかけてのワタミは飛ぶ鳥を落とす勢い。株価もテンバガー銘柄とも言うべき上昇を見たのだ。
しかしながら、そうした時期はそう長くは続かない。
飽和状態がやってくるのはこの業界の常。あちこちにお店ができて消費者に飽きられると既存店はマイナスに転じることになって業績は大きな山をつけることになる。
それでもそうした局面を打破しようと渡辺氏は介護分野、有料老人ホームに宅配弁当市場に参入することになった。年商1631億円まで行った同社の売上は一気に900億円台まで落ちてしまう。
2013年にピークをつけた経常利益80億円はその2年後に128億円の大幅な赤字に転落した。
渡辺氏の経営陣への返り咲きが吉と出るのか凶と出るのかは分からないが、国会議員時代に錆びてしまったのなら株主にとっても不幸なことだ。
渡辺氏は国の借金1000兆円超えに対してネガティブに論じていたが、消費税増税に賛成するなど飲食店経営者にしては変わっている。
消費税などなければワタミの業績ももっと良くなっていただろうに・・・。
一世を風靡したワタミの復活に期待するとともに古巣に戻る渡辺氏にエールを送りたい。
(炎)
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