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レーバーデーの祝日(9月第一月曜日)を機に、米国は夏休み明けムードになり、マーケットの流れも変わることが多いとされていますが、9月3日のニューヨーク市場はISM製造業指数の50割れを材料に下げて、祝日明けの商いを終わりました。
8月は、米中貿易問題の両国のせめぎ合い(予期不可能な突発的発言や行動)に、夏休みの薄商いも手伝って、上下に何度も振らされました。また、今後の景気悪化をリスクとした各国の利下げ姿勢が強まり、直近では議会再開を前に、英国ではBREXIT問題での合意なき離脱リスクに再び焦点が当たっています。
9月には、主要国の金融政策決定会合が予定され、米欧には利下げ期待。
ユーロ建ての長期金利の指標であるドイツ国債10年物の利回りはマイナス0.718%まで低下。過去最低水準を更新しました。
一方、米国債10年物金利は1.45%台まで低下して、景気後退リスクとして注目される2年債とのスプレッドは、プラスとマイナスを行ったり来たり状態です。
8月の為替相場は、典型的なリスク回避の動きで、円高とスイスフラン高、その他通貨ではドル高各通貨安でした。
最も対米ドルで下げたのはブラジル(-7.6%)、南アフリカ、メキシコ。
景気減速懸念による金融緩和期待でユーロも0.88%下げでした。また、9月に入ってからは、合意なき離脱問題が現実味を帯びていたと見られて、ポンドの下げが目立ちます。
例年、円高に動くことが多いとされてきた8月のドル円相場。
今年は、107円台から始まり、安いところでは104円46銭を短期的につけ、終値は106円11銭。やはり陰線引けでしたが、リスクオフムードが高まった割には、ドル円相場の下値は固かったように感じます。104円台は一時的で、106円後半になると上値は重いものの、105円前半は滞在時間が短く底堅い印象でした。
背景の一つとして考えられるのは、短期的取引による円買い投機筋ポジションの偏りにより下値でポジションをクローズしたとも思われます。また一方で、105円割れ近辺では、中長期的な実需の投資によるドル買いは根強くあったように思います。
対円、スイスフラン以外ではドル高。
トランプ米大統領は、景気刺激、株高のために利下げ、アメリカの競争力向上のためにドル安を叫んでいますが、ドルの相対的価値を示すドル指数はドル高基調を続けています。直近の99.00水準は、2017年につけた水準以来の高水準です。
このドル高の背景には、ユーロが景気後退、利下げ期待、ポンドがEU合意なき離脱、新興国通貨も世界景気の後退リスクの影響で下げていると見られます。
利下げは、通貨安の一つの要因にはなりますが、今回のアメリカの場合は、そうもなっていないような。
直近の米国の利下げに対する市場予想は、9月に0.25%下げも含めて、年内のFOMCで合計0.75%。来年2020年にも続き、来年半ばには政策金利が1%割れ予想も25%程度出ていて、経済指標による景気後退は確認されていないのにもかかわらず、利下げ期待が広がり過ぎている感はあります。
利下げ期待にも拘わらず、円やスイスフランは別として、対他通貨での米ドルは下がっていない一つの背景として、世界の主要国の中でドル金利が高いということもありそうです。
10年国債金利、米債は直近で利回り1.46%、ドイツ国債マイナス0.71%、英国債0.4%、カナダ債1.1%、オーストラリア0.9%。日本国債はマイナス0.29%ですが、日本円の場合は対外債権国として円高になりやすい性格があるので別格。
米債の金利水準は下がったものの、まだまだ他の主要国よりも金利が比較的高く、今後も利下げが続くだろう米国債を買っておこうとなれば、米国への資本入の流れも出て、それがドル相場をサポートしているというのもありそうです。
9月は、10月末のヘッジファンドの決算を前にして相場が荒れるとも言われてきました。
引き続き、急に改善するとは予想できない米中貿易問題の行方、と共に、正念場のBREXIT問題の行方。合意なき離脱へ行っちゃうのか?または再度の期日延長のお願いなのか?
BREXIT問題は、景気後退リスクが言われるEUにも大きな影響を与えると思われます。
2年ぶりに120円割れ(直近116円台)したユーロ・円相場。対欧州リスクの高い日本企業への影響も注視しておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※9月4日東京時間15時執筆
本号の情報は9月4日東京市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)