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為替市場動向~異次元の金融緩和サプライズ、キーワードは2~
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為替市場動向~異次元の金融緩和サプライズ、キーワードは2~

2013-04-11 10:56
    関東地方では桜の花が吹雪となり、新緑が目の保養になっています。今年の植物の動きは例年よりも早いペース。今年起こる事象、キーワードは「早い」でしょうか。

     4月に入り、注目されたのは新体制の日銀政策決定会合でした。新・黒田体制への期待はあったものの、発表されたのは事前予想の次元を見事に裏切る「異次元」。
     内容はまさに「リフレ政策」。
     市場へのバズーカ砲、強力爆弾投下とも報じられました。
     安倍政権の3本の矢の1番目は「異次元」の矢。

     政策発表直後の東京市場の反応以上に海外市場でのサプライズは大きく、欧州、米国へ時間帯が移るにしたがって為替市場では円安が進行。発表直前92円台 後半だったドル・円相場は4日のニューヨーク終値96円台前半、その後押し目ほぼ無く、5日の米雇用統計結果がドル売り要因だったにもかかわらずドル高円 安の97円台。

     その後、今週に入り、一直線に9日の東京市場で99円66銭の高値をつけたのは周知の通りです。99円台は約3年11カ月ぶりのドル・円相場での円安水準。「そのうち100円」が「100円目前」にあっと言う間に来たわけです。

     99円台への急激な円安進行の背景は、新しい日銀政策に対してIMF幹部が「世界経済支援として歓迎」と評価したこと、日本の大手商社が米国の不動産事 業を買収する話が報じられたこと、また為替オプションがらみの噂が材料として言われましたが、底流は日銀の新政策の浸透でしょう。

     最近の米経済指標には少し弱い数字も出始め、米長期金利(直近10年物は1.74%)は低下し、日米金利差が縮小する中、円がこれだけ売られたのはこれ までのパターンでは珍しく、「初回」から「出し惜しみなく」の政策が海外市場に大きなアナウンスメント効果を与えたためと考えられます。

     さて、今回の「異次元金融緩和」キーワードは「2」です。
     時間軸は約2年、物価目標2%、新操作目標のマネタリーベース2年で2倍、長期国債保有額、国債平均残存期間2年超、リスク性資産買入2倍増、と2づくし。
     となると、株価も為替も2倍に?!と期待したくなるところですね。
     昨年11月起点なら8600円台の2倍?ドル円79円台の2倍?!
     それほど実現不可能でもない?何でもあり!異次元!!と皮算用したくなりますが、、、
    ここは妄想にとどめておきましょう。

     少し脱線しました。
     今回の決定での大きな変更点は、「マネタリーベース・コントロール」の導入。
     これまで行われてきた翌日物無担保コールレートという操作目標は取りやめました。
     「マネタリーベース増加による期待インフレ率の上昇、株価上昇、円安、投資輸出増大、総需要拡大、デフレ脱却、税収増加、財政再建、、、」これは副総裁である岩田規久男氏が以前から唱えていたリフレ政策の考え方ですが、それが今回大きく反映されました。

     黒田日銀総裁の任期は5年。思い切った量的緩和+質的緩和政策が実施され、今後への期待も膨らみます。一方で短期的に効果が期待を裏切った場合の失望も大きくなり相場波乱もあると思います。
     だとしても、2年間という軸をすえて行われる異次元の金融緩和により、ドル・円相場の円安基調は更に強固になると考えます。100円は既に射程内に入 り、次の抵抗は105円から110円のゾーンが重くなるものと思いますが、「異次元」のスピードで更に進む可能性も否定できないと思います。

     一方、気になる材料もあります。
     1つには米国はどこまでドル高円安を容認するのだろうか?という米側の許容シーリングです。米国の新財務長官はルー氏ですが、今までのところ、同氏から為替相場、特に日本についてのコメントは聞こえていません。どのあたりで具体的な水準について触れてくるかどうかです。

     次に、円安効果の貿易への影響です。直近の貿易統計では、輸入数量は減少したけれど、円安で額は増加。一方で、円安でも輸出は増えて来ていない。
     インフレになるけど、輸出を中心にした日本経済に効果があるのか?
     今後、輸出増えず、輸入は増え続けて海外投資の配当額を上回っていくと経常収支が再び赤字化する。これは円安要因ですが、インフレを心配する日が近いことになります。
     ちなみに、直近の期待インフレ率(インフレ連動債と国債のブレークイーブンから)2年で1.24%、4年で1.62%です。

     そして、個人的にとても気になっているのが、日本国債です。
     4月5日に国債先物市場が2度のサーキットブレーカー(1円動くと取引をとめる)が発動するほど国債売りが出たのは記憶に新しく、金融緩和で0.3%台 まで利回り低下した10年現物国債は0.5%台まで売られました。その後、大きく動いてはいませんが、5日の市場の動きには背筋がぞっとしました。将来あ るかもしれない日本国債売りの予告編でないことを願います。

     日銀の新政策の発表から超スピードで更なる円安、株高が進みました。一方的な動きに手放し感も出ていますが、異次元とはいえ市場には必ずスピード調整の材料はあります。
     片手放さず、好機は十分生かしたいものです。相場はまだ若く伸び余地あり、と思います。

     最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

    *4月10日13時執筆。本号の情報は4月9日のニューヨーク市場の終値レベルをベースに、参考情報として記しています。

    式町 みどり拝

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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