■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー(動きがあった物だけ抜粋)
※6月4日(金)執筆時点
・中央自動車工業(8117)20年10月9日配信
株価2020円⇒3155円(+56%)
※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
銘柄には大化け狙いと堅実成長狙いの銘柄が混じっており、銘柄数もかなり増えたので全てを列挙することはやめることにしました。
5/28に丸順と中央自動車工業のオンライン決算説明会が開催されました。
ポイントは両社ともにこうした動きがこれまで全くなかったにもかかわらず、今回、説明会が開催された点にあります。
両社ともにきちんとした決算説明資料を使用した会社プレゼンがあり、その後質疑時間も20分弱ありました。しかし、残念ながら6/4現在ではこうした資料がHP等で開示されてはいないように見受けられます。長期投資をしてくれる個人投資家、株主はいわば会社のファンです。折角の良い資料なので、ぜひとも両社ともにIRに活用してもらえればと切に思う次第です。
本日は当日の質疑内容を私のメモで恐縮ですが以下にまとめました。
参考になれば幸いです
※私のメモですので、正確性や解釈に対して会社側との相違があるかもしれません。その点はご留意ください。
■丸順の決算説明会での質疑メモ
Q1、今期通期業績予想の売上の策定根拠について質問です。
ホンダや日産の今期生産台数の見込みから御社の売上を試算するともっと上でもよかったように思いますが、御社特有の大きな減収要因が何かあるのでしょうか?今期業績の前提シナリオについて教えてください。
⇒ホンダ、日産の計画を元に算定の参考にはした。しかし、ホンダ様の決算説明でも半導体に関しては不透明だという説明もあった。上期が半導体で減収でも下期で挽回見込むとの話しがあった。お客様からだけの話ではなく、ルネサスの復旧が1か月以上遅れていることもあるからそれも加味して弊社の今期通期予想として算定した。
Q2、日産ノートe-POWERで1470Mpaの冷間超ハイテン材採用のニュースがありました。これは超ハイテン金型がさらに増えてくるであろうこととホットスタンプから冷間プレスへの一定のリプレイスが起こるのではないか?と考えていますが、御社への新規金型受注や開発への影響を教えてください。
⇒日産ノートの1470MPaの採用は丸順が得意なピラー関係ではない。
レインフォース関連のもの。日産関係の車種名は言えないけど、大きなミニバンの開発に携わっていて骨格部品の超ハイテンの金型を丸順で作っている(量産は無し)。新規金型はトヨタ系・日産系でも金型の受注が取れているので安心してほしい。
Q3、中計最終年度の自己資本比率は達成の見込みとのことですが、中計最終年度の株主への還元方針の考え方や配当性向の目安についてお聞かせください。
⇒配当性向についてはまずは財務状態をよくすることが目標。次期中計には配当性向の具体的な目安を設定したいと考えている。
Q4、EVバッテリーが全固体電池になった際に、電動化部品事業への影響はありますか?あるとするならどの程度の影響があると考えられますか?
⇒全固体電池の全面採用は5年か6年先になると思う。今現在のリチウムイオン電池ではケースや蓋などに関しては普及しているけど、多分これらはなくなっていく方向だろうと電動化部品事業で考えている。それよりも今、受注拡大をしているバッテリーそのもののモジュール、一台当たり24個とか36個などの大量生産の部品に注力をしている。全固体電池向けも研究をしていて、膨らんだり熱膨張に関しても多少あるからハイテンで押さえ込まないといけないというのもニーズはあるかもしれない。もちろん材質がCFRP等になるとハイテンの出番はなくなるのでモーターのケースに関しても研究開発と営業をしている。
Q5、中計最終年度の売上600億円は遠いように感じます。新車販売台数がどの程度の水準であれば達成できるとお考えでしょうか?
⇒現状のままでは600億円の最終売上達成は非常に厳しいと考えている。
ただし、売上が下がっても原価低減を続けることで利益率は落とさない。これができれば利益の積み上げが出来て、自己資本比率40%は見えているところ。今、営業活動している部品は3年後の売上にしか直結してはこないので、600億円の売上目標は生産台数が減る中で届かないかもしれないが、現在受注している仕事では期首よりも原価を3%下げる目標で活動している。
営業利益率9%以上と自己資本比率40%は達成できると見込んでいる。
Q6、期中に上方修正することがここ数年多いのですが期初見通しとの差はどこが要因で起こっているのでしょうか?
⇒前期は特殊要件がいっぱいあったが、その前等に関しては端的に言うと一定条件の設定が間違っていたということになるかもしれない。保守的である傾向があるが構造改革の時に「背伸びをした計画をすることはしてはならない」という名残りがあるのかもしれない。投資家とも話をしながらストレスの掛け方はもう少し柔軟にしなければならないということは思っている。
Q7、タイ丸順において大幅な構造改革を行うとのことですが、具体的な施策を教えてほしい
⇒現在進捗中。一番はリストラによる人員削減とボーナス抑制の労務費関係、経費で行くとタイ独特の文化である従業員の送迎に関する業者や車のサイズ 等の見直し、投資に関しては償却がタイは少ないので更新設備は自動化設備等を入れている。タイは7月からお客様の生産は元に戻るという計画の内示が出ているから今期はタイは赤字にならない見込み。
Q8、東証再編において、プライム市場に向けての動きはあるのでしょうか?
⇒東証二部に上場したから、プライム検討しないなんて言う選択肢はないと思う。とはいえ二部に上がったばかりなので冷静にプライムに行くためにはどうしたらいいのか?次期中計にも織り込んで考える必要があると思っている。
・丸順説明会を受けての印象
見通しは全体的に保守的であり、その状況で中計の売上以外の利益率や自己資本比率に達成できる自信があるということ、つまりは利益率を達成できるほどの売上が現時点で見込めているという裏返しと取ることができます。
超ハイテン並みに固めに見積もるのがこれまでの定石になっているので、今期の見通しについては相当に固い数字ではないか?と思います。また新規受注も想定通りに好調だと来期の利益率に関しての発言から感じました。
次期中計では配当性向に関してやプライムに向けても指針を示す可能性もあることから益々楽しくなってきていると感じました。非常にポジティブです。
◆中央自動車工業の決算説明会での質疑メモ
Q1、M&Aに関してコロナ禍でも積極的に行うのか?また、どの分野で考えているのか?
⇒ビジネスの拡充の為にも時期を選ばずにやりたい。自動車関連ビジネスでシナジーのあるビジネスを優先。ケミカルとかであればM&A以外でも協力関係を取り組むことを考えたい。
Q2、これまでIRに消極的なイメージでしたが、今後もこのような説明会をやっていくのか?
⇒HPやスモールミーティング、株主総会で会社方針なども説明していたけど昨年はコロナ禍で株主総会もさみしいものだった。なので今期より幅広く継続して説明会を実施する予定。
Q3、国内は少子高齢化市場ですが今後の伸びは期待できるのか?
⇒国内の主要ビジネスであるコーティングビジネスは国内自動車販売店様では未導入もまだまだ多い。また、付加価値の高いコーティング販売へのシフトにも注力している。新商品開発にも注力しており、異業種を含めた過去になかった需要を創造して少子化の中でも需要を作っていきたいと考えている。
Q4、世界的な新型コロナ蔓延で海外での影響は?
⇒昨年上半期は世界中でロックダウンもあって市場が大きく停滞した。昨年から現在も出張が伴う営業はできていない。しかし、ワクチン接種も進んで海外市場も回復してきている。営業面ではITを活用したリモート営業で通常営業は問題なく行けるようになった。海外拠点は9年前は3か所だったが、今は10拠点になった。渡航ができない今は海外での現地勢が動いているのでアドバンテージがある。今年度は昨年よりも大きく上回る計画を立てている。
Q5、EV化した場合の対策は?
⇒EV化が本格化した場合に影響が受けるのはエンジン部品やエンジンオイル等は輸出しているから影響が出る。国内だとエンジンオイル添加剤もあるからそれらも影響を受ける。EV化で落ち込む売上に関してはそれ以外の新規事業を考えている。ボディーコーティングなどはEV化とは関係ないのでまだまだ拡大をしていく。業容拡大を目指したM&Aも考えていく。
Q6、ROE目標の10%ですが、10年連続10%以上を達成している中、もっと上を目指すことはないのか?
⇒ROEの考え方において、収益を増やしてROEを上げていくのは続けていきたい。引き続き付加価値の高い収益の高いビジネスを続けていきたい。
目標水準についてはコメントを控える。
Q7、カーコーティングの競合であるkeeper技研が新車領域に参入してきていますが、こちらによって御社のカーディーラーコーティングシェアを奪われるリスクについてどのようにお考えですか?対策等について伺いたいです。
⇒keeper技研がディーラービジネスに参入してきているので強力なライバルにはなる。ただ、従来keeper技研以外にもライバルはたくさんいるし、純正も競合。新たに競合が一社増えたということであり、これまでも競合がいる中でやってきた。我々はお客様の喜ばれる商売を続ける。それだけに尽きると考えている。
Q8、2017年3月期以降、利益成長の加速があるが、これを引っ張っている牽引商品はなに?また、利益率が継続的に上昇している理由はなに?
⇒ここ数年は国内のビジネスが伸びている。主力のボディーコーティングやアルコールチェッカー等自社開発のオリジナルであり、付加価値の高いビジネスが伸びていることで収益力が上がっている。今後もボディーコーティングを中心にこれらの商品には注力していく。
Q9、人員生産性の高さの背景はどこにあるのか?
⇒ボディーコーティングやオイル添加剤のように一部技術を伴う商品がある。
しかしながら営業部と技術部に分けていないシステムをしている。営業部が技術に関してもアフターに関しても一人の人間が完結する。営業が技術力を養うには2~3年の修業が必要。こうした人材が今の数字を作っており、生産性が向上している。
Q10、今回決算説明会をするに至った背景・理由は?
⇒株主総会で株主にしっかりと会社方針や内情を伝えられていたと思っていた。
HPでの開示も積極的にやってきたつもりだった。しかし、株主総会がコロナ禍で簡素化してしまうとかいろんな機関投資家様から説明会をやるべきという意向も多く、今回やることにした。
Q11、国内のコーティング事業について。お客様の高級化志向での変化はあるか?洗車事業を由来の補修用製品を主力にしている他社と競争が激化してるように見えるけどどうか?
⇒高級化志向については弊社のボディーコーティングの付加価値の高いものの販売が年々高まっている。これは販売店のスタッフからも大変な高評価を頂いている。販売店スタッフに品質を理解してもらうことがカギになっていると思う。洗車事業を由来とする競合は従来からたくさんあって、切磋琢磨をしてお互いに他社のいいところは見習って商品力を競い、業界の発展ができればいいと思っている。
Q12、自動車処分事業ABTの2022年3月期の業績計画と同事業の中期展望を教えてほしい。
⇒ABTの業績計画は具体的には公表していないが、大体は前年並みの計画を毎年している。ABTの事業は廃車になった自動車の処分事業になる。例えば大雨・洪水などの自然災害で自動車の水没等が出ると修理台数が上がる。多くの車が廃車になると売上が上がるビジネスモデルなので予測が難しいので基本は前年並みの売上計画。ただし、オークションの単価を上げたり等の収益率向上は企業努力をしていく。
・中央自動車工業説明会を受けての印象
こちらも非常にポジティブです。IRの消極姿勢が同社の市場評価を下げていた一番の要因だと私は考えていますのでそれをきちんとやるだけで正当な市場評価をされるものと思います。また、自社開発のコーティングとアルコールチェッカーが大きく伸びていること、特に高級コーティング志向の高まりというのは大きなプラスポイントでしょう。
新車販売台数に関係する売上の伸びになりますが、おそらく今期は半導体懸念もあるので控えめに見ている可能性があります。上期までは半導体の影響が新車販売に影響すると思われるのでそこまでの数字との兼ね合いを見れば下期の業績の数字は読めるかもしれませんね。
それではまた!
『全力全開全力前進!!!』
(相川伸夫)
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