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為替市場動向~近くて遠い1ドル100円への道~
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為替市場動向~近くて遠い1ドル100円への道~

2013-04-25 19:32

     黒田日銀総裁率いる新体制による異次元金融緩和発表後は、株高円安が一気に進み1ドル=100円乗せか?という場面が何回かありました。その後、咲きそうな花を散らすイベントも続き、97円台~99円台の往ったり来たりが続いています。

     4月12日に米国財務省が議会に提出した半期為替報告には、日本が通貨切り下げや特定水準への誘導を行わないように継続的に「促して」いく、とありました。モスクワG20の共同声明を遵守しているか、監視していくということでしょう。

     米財務省による為替報告書の発表、金価格の暴落、ボストンでの爆破事件、中国経済の減速、欧州経済停滞によるECBの利下げの可能性、米経済指標のバラツキなどリスクオフのドル安円高材料で97円台半ばまで戻す場面がありましたが、ワシントンでのG20で、日本の金融政策が「デフレ脱却目的のみ」で円安誘導ではないことが認められ99円台に戻るきっかけになりました。

     米国、IMF幹部、先般はOECD幹部からも、現在の円の独歩安が条件付きで認めるというニュアンスの発言が多く聞かれます。日本がデフレ経済から脱出して、世界経済に貢献してほしいという期待も感じられますが、何か裏があるのか?と疑いたくなります。

     さて、海外諸国からの日本の通貨安誘導監視体制の中でも、今後さらに円安が進むとしたら、どんな要因によるのでしょうか?

     まず考えられるのが、貿易収支の赤字化からのドル買い需要でしょう。投機のドル買いが一巡しても、いわゆる実需のドル買いは依然として高水準と予想されます。輸入決済の手当ては大きい一方で、円安になっても輸出は増えていません。

     次に、期待インフレ率の変化も注目しておきたいところです。
     10年国債の日米金利差は、前月よりも縮小。一時2%がらみまで上昇した米国債は直近1.7%水準。一方、日本国債は異次元緩和発表後に逆に利回りが上昇して0.6%がらみでの動きになっています。
     そんな中で、期待インフレ率(5年物価連動債と国債のブレークイーブンから算出)は、米国が低下(1ヶ月前2.18%、直近2.05%)しているのに対して、日本は上昇(1ヶ月前1.12%、直近1.51%)。米国がディスインフレ傾向、日本はインフレ傾向への動きが進んでいます。日本の2%物価目標は達成不可能とする見方も多いのですが、この傾向が更に進めば、インフレ国の通貨は安くなる、という論理から円安は進むと言えるでしょう。

     その他、機関投資家および個人による外債投資の増加も予想されます。先般、日本の大手生命保険会社は日本国債購入を減らし、外債投資を増やすとの情報がありました。今回は為替ヘッジ付き、金額も明らかになっていないので材料視されませんでしたが、今後の状況次第では、外貨への投資(または逃避?)は増える可能性は高いと思います。

     登れそうで、直前で振り落とされる100円の山を目前にしたドル円相場。
     個人的には、さらなる円安進行の可能性がより高いとの考えに変わりはありません。そのイメージはスピード調整しながら、じわじわ中期的に進行するのではないかと思っています。ただ、財政破たんといったネガティブな円売りになる場合には急速に進む可能性が高くなります。

     安倍政権の3本の矢。
     1本目の異次元の矢に続き、矢継ぎ早に他の2本が放たれることが国内外で待たれています。特に2本目の矢に関して、日本国債市場の動きは神経質です。IMF予測では、今年末に日本の政府債務残高はGDP比245%という世界もびっくりの最悪レベルになり、国債格下げの可能性もあります。異次元緩和で当座をしのいでいる間に財政、成長についても政策が出てこないと、円独歩安を看過できないとする空気が高まるかもしれませんし、日本の国債のリスクが高まります。

     最後に、年初来の対ドルでの通貨パフォーマンスを見てみましょう。
     ベストパフォームは4.97%上昇のメキシコ・ペソ、ブラジル・レアル(1.43%)、ニュージーランド・ドル(1.34%)と続きます。
     ワーストは断トツ12.8%の日本円。南ア・ランド、英国ポンドと続きます。
     全般的に対ドルで上昇した通貨の方が少なく、ドル指数(対バスケット通貨)は昨年7月ユーロ危機時につけた高値84に向って上昇、83がらみのドル高基調です。
     目立ったところでは、中国人民元はじわじわ高くなっている一方で、景気減速による利下げの可能性でユーロも上値重く、中国経済減速に関連して豪ドルも安くなっています。
     余談ですが、先日の金や原油等の商品価格の急落を、ドル高への回帰?(商品相場はドル対価での取引)と見る向きも一部あります。

     日本では五月連休が控え、また海外市場も5月初旬は祝日が多いです。
     祝日前のポジション調整や5月は売りが多いという例年の傾向を踏まえて、無理ない資金管理を心掛けたいものです。

     皆さまには安全で楽しい連休をお過ごし下さい。
     最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

    *4月24日13時執筆。本号の情報は4月23日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、参考情報として記しています。

    式町 みどり拝

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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