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米国からの半導体規制も厳しい。
ファーウエイに続いてYMTC(半導体メモリー)が米国のターゲットとなった。
1月22日放送のNHK特集は「半導体100兆円市場」でしたが、SCREENが取り上げられていました。米国の規制は、ねじ一本まで及んでいるので、1万点以上の部品から組み立てられる製造装置にはどうしても米国の技術が使われている。それが厳密には「アウト」になるということは非常に大きな影響を及ぼす。米国技術者が装置の保守や修理をすることさえ禁じている。
こうした米国の対中政策によって、中国市場の依存度が高い日本は打撃を受けるのだろうか。
中国とは付き合うな。
なにか、年頃のお嬢様に厳格なお父さんが交際禁止令を出したかのような。
米国:お父さん。日本:年頃のお嬢様。中国:お嬢様とお付き合いする男性。
単なる家庭問題なら、「お父さん、それは無理筋よ」とお嬢様は我が道を行けばよい。
国家は同盟関係があるので、「ジュリエット、ロミオは敵方ぞ」と両家の政治が絡む。
中国と縁を切るならば、その分、米国での売上を増やす必要があるが、中国売上は大きすぎるわ、米国売上は小さすぎるわで挽回できそうにない。困ったものだ。
米国政府は日本の素材や装置メーカーに米国内で工場を建ててほしいというが、アリゾナTSMCなどが稼働する前に、近場で拠点を設けないとビジネスにはならない。だから立てるだろう。
欧州も同じ動き、日本国内も同じ動きなので、サプライチェーンは地産地消になっていく。
日本勢による欧米日への新工場建設のラッシュが想定される。
お金がかかりますね。
円周率1億ケタの本というものが丸善にも売っていて、一冊まるまる1億ケタの円周率をひたすら計算しているだけのものだが、かなりの高評価をアマゾンで得ている。どうなっているのだろう??
どうしてこういう本が必要になるかというと、自作のコンピューターなどの性能評価で何秒以内にどれだけの桁数を計算できるかの答え合わせのようなものに必要なのかなと思っている。
いや、超越数のもつパワーに授かりたいというなんらかの宗教だろうか。
π教なのか?
火星に人を送るときに、円周率3.14では人は届かない。
1メートルの精度で人を送る場合には、0.001の違いはどれほどの違いになるのか。
地球から火星まで10の11乗メートル以上の距離であり、その0.1%は10の8乗メートルであり、つまり、10の5乗キロ。10万キロも違う彼方に人を送ってしまうわけだから、小数点20ケタぐらいで計算してあげないと人が迷子になってしまう。
このような瞬時の計算に半導体は使われているので、動いている人に何かを届けようとすると、たとえばそれがドローンによる自爆攻撃であっても、ハイマースによる攻撃であっても、毎秒事の計算では足りず、マイクロ秒ごとに動いている人を計算しながら高速で自分自身が動くわけだから、飛行中にどれだけの計算をしなければならないのかは、半導体の性能に拠る。
ということで前述NHK特集では、半導体の技術力が軍事力を決定づけるのだ、だから、半導体投資にみな躍起になっているのだという説明がなされた。ウクライナとロシアというネズミと象ほど違う国力があっても、半導体がない方が負けるという現実を見せられて、いま、中国は危機感を抱いていることだろう。
日本のメーカーとすれば、中国も大切な顧客であり、米国も大切な顧客であり、どちらかを選べという選択はなかなか彼らにはできない。規制をかけても、はいそうですか、とはならず、結局は、お願いベースとなるだろう。
極端な戦略ほど出来が悪い。中庸な戦略の中に最適解はある。
それを米国もよくわかっていて、半導体規制の落としどころは、14ナノだという。ロジックならば14ナノ以上であれば許すという。3世代ぐらい遅れたものであれば許すということになっている。
ということで、いま、半導体製造装置メーカーはレガシーで開発の終わったものの改良を始めた。
それが飛ぶように売れているのは、中国政府の10兆円の予算が背景にあるのだろう。
TELに取材をしたときも、古いものは開発が終わっているが、引き合いが強いという。
装置というものは繊細なもので保守や部品交換が調整が必要でそうした保守人員が必須。大きな工場を建てると街がひとつできるぐらいの雇用を生む。
世界の覇権をめぐる戦いが日米欧+チャイナという大きな需要を生んでいるのは皮肉なのか。
リスクでやばいと思ったものが、全部、リターンになっているというのが昨今の情勢だ。
このまま上手くいくのかどうかは断言できない。
韓国を脅すために、日本政府は日本が高シェアを持つ半導体材料を韓国からの申請が必要だと制度を変えたことがあったが、三星は世界中を飛び回って代替品を探したし、裏ルートを開拓しようと画策した。
結局は自社や自国にその技術がないことが根本問題だとわかり三星はずっと昔からメイドインコリア路線を取っている。
メイドインコリアの装置や材料はメイドインチャイナの装置や材料と同じく、なかなかの出来栄えである。だが、肝心なことは、ビジネスにはスケールがなければならないわけ。それがネックになっていつまでたっても離陸できないでいる。他社よりも10%高く買っただけで、ビジネスで負けてしまう。
地産地消を装いながらグローバル共通のプラットフォームで製造スケールを出せる、そんな強かなメーカーが生き残るわけで、信越化学などはかなり強かだと思う。中韓ローカル市場ではグローバル企業は育たないだろう。
今週末のNHK特集ではロームが登場するのが予告編からわかった。
中国は規制がかかっていないパワー半導体に巨額投資をしているので、この分野は供給過剰という大きなリスクが生じている。中国企業が中国籍である限り、グローバル化の道は閉ざされたと見なせるだろう。
先進国市場を失っても、新興国を取り込めば経済的には問題はないと中露は考えるだろうか。だから、新興国市場の開拓はこれまで以上に熾烈なものになると覚悟しなければならないかもしれない。
中露が新興国で頑張ればよいというのは妄想で、値段の高いものが売れる先進国で技術を磨くプロセスこそが最重要なので、やはり、中露は負け組になっていくと見るのが自然だろう。
市場はすぐに心配性になる。
だからフェローテック(6890)のようなゴリゴリの中華系企業の市場の評価はままならないだろう。そういう意味で低位に放置されているPERは適正なのだろう。
投資というものは奥が深く、だからフェローテックがダメ、ということにはならない!!!のが投資の面白いところだ。
心配される企業だからこそ、高い益利回りが提供されるわけで、堂々とそれを享受しております、うらやましいですか??とすればそれはそれで立派な投資態度になる。
バリュー投資家はそうあるべきで、海運株がPER2倍だから、将来なんて考えなくてもこれだけの収益力を短期でがっつりもらえばそれでいいのだ。
もちろん、わたしは低PER株を買わない。そのような考えはまったくない。
それでも、わたしはバリューがだめだというつもりも毛頭ない。
投資家間で考え方の違いがあるのは当然で、いろいろな投資家がいてこその懐の深い市場である。それが民主主義の本質。
みんな違ってみんなよい。
怖いけど安い。
不安だけどおもろい。
わたしは足元のPERはさほど気にしないで長期でしっかり保有できるものだけを選んでいる。それもひとつの考え方だ。
このように市場というものは実にうまくできているわけでございます。
こうした寛容性がESGの理念に通じるものがある。
本当はみなで仲良く誰とでもしっかり対話することが肝心で、ロミオとジュリエットのような悲劇を起こすのは得策ではない。
(NPO法人イノベーターズ・フォーラム理事 山本 潤)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)