このところまた為替が円安に向かい、先週は1ドル=143.91円のドル高、円安水準となってきました。昨年10月の円安が151.94円でしたので残り5.6%の水準までの円安です。
ここから更に一段と円安に向かうという考え方と、ここからは再び円高方向に向かうという考え方に分かれているように思われます。
これには日米の金融政策当局のインフレ抑制か景気向上策かの対応がポイントになります。一転して円高に向かうとすれば日銀のゼロ金利政策が変化する時であり物価目標2%の達成が恒常的に見出せる場合でもあります。
一方の米国もこれまで継続してきた金利の上昇について物価の上昇が沈静化しつつある中で前回は見送りましたが、まだ物価目標水準には至っていないことから年内更に2回の金利引き上げが想定されるという状況下での円安となっていますが、実際には物価の上昇率が低下を見せており、景気の先行きにも配慮しないとならない局面にもなってきます。果たしてどのような方針が打ち出されるのか7月以降のFOMCでの施策の打ち出し方に注目しておく必要があります。
こうした日米の経済情勢、物価動向、金利動向を背景にこのところは日本株が強い展開を見せて参りました。単純な円ベースでの日経平均株価は1月年初の安値2万5661.89円から6月の暫定高値3万3772.89円まで31.6%の上昇を見せました。
この間の為替相場を見ると1月のドル円の安値127.21円から6月の高値143.91ドルまで13.1%の上昇とドル高の動きが見られます。為替と円ベースの日経平均株価の2つの変数で計算されるドル建て日経平均株価は単純に為替レートや円建て日経平均で見ると1月の201.7ドルから6月の234.7ドルまで16.4%の上昇を見せた計算で為替が円安に振れた分、ドル建て日経平均の上昇率ほどは高くないということになります。
つまり外国人投資家から見たドル建ての日経平均は日本人投資家が見ているほどではない点を改めてご認識頂きたいと思います。為替相場の変動と日経平均の変動はほぼ類似していますが、バブル経済崩壊後の為替相場はデフレ経済下で常にほぼ1ドル=140円以下の円高(最高値は2011年10月の75.55円)で推移してきたと言えますが、ここに来てようやくデフレ経済から抜け出す兆しが見えてきましたので、日米金利差の問題で円安に向かうとともにこれまでPBR面などで低評価だった日本株への見直しが起きて、このところの円ベースでの株価上昇を引き起こしていると言えます。
為替が円安に向かうとドルベースでの相対的な日経平均株価は限定的となります。実はドルベースの日経平均株価の高値は2021年2月の280ドル台でした。現在は228ドル程度ですので決して高値圏にある訳ではなく、為替レートが円安水準であるためドルベースの日本株は外国人投資家から見れば決して高い水準ではないのです。円ベースの日経平均が仮に3万8915円という1989年12月のピークを超えたとしても為替相場がこの先に160円とか極端に200円などとなればドルベースで再び280ドル台をクリアするとは限らないことになります。
筆者はこの先(2年程度先)に待つのは日本株売買の主役となっている外国人投資家に有利な円高ではないかと想定していますが果たしてどうなりますか?それは日銀が打ち出す低金利政策からの転換が不可欠ではありますが、その時期は刻々と接近しているように思われます。そしてそうした政策展開が到来するまでは年金暮らしの老人は物価上昇とともに少ない年金に甘んじることを強いられる厳しい現実と向き合うことになりますが、同時にまた明るい次世代AI基盤型経済と引き換えとなることになるものと想定されます。
(炎)
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