東証市場改革から1年余りを経過する中で東証から要請された低PBR是正への取り組みが各企業で実行され、このところの株式相場は堅調な推移を辿っています。
 日本最大の時価総額企業であるトヨタのPBRが1倍を超えたほか、日本経済新聞を親会社に持つテレビ東京も半年以上の上昇傾向を経てPBR1倍超えとなるなど主だった低PBR企業のPBR水準が1に近くなっている状況です。

 まずは今後の利益成長が期待される主力銘柄からの修正が起きているのかと思われます。全ての銘柄にまで本格波及するにはまだ至っていない状況ですが、今後は徐々に低PBR銘柄の物色が大型銘柄から中小型銘柄も広がることで全体相場のかさ上げがなされるものと想定されます。

 この流れを後押しするような研究や分析がアナリスト協会などにおいてもなされているようで6月は低PBR銘柄に関しての2つの分析結果が発表され、それが協会に入っているアナリストに対し動画でも視聴できるようになっております。
 筆者もこうした流れを受けて先般、銘柄分析を試みましたので、その成果を皆様にもご報告したいと考えております。

 事実として言えることは、株式市場は二極化していて流動性の高い銘柄群や収益性や成長性に対し高い評価をしていて既にPBR1倍以下銘柄はそうした視点で評価されている銘柄についてはクリアされている状態になりつつありますが、一方においてはなおも低PBR状態にある銘柄群がたくさん存在しています。とりわけPBRが0.3倍前後に放置されている銘柄が200ほど存在していて、そうした銘柄がなぜそうした水準に放置されているのかを考えるととても興味深いことが分かります。いくつかのポイントがあるかと思います。

 投資家からすればそうした銘柄への投資が様々な視点で魅力に欠けていて、上値をわざわざ追って投資しようというスタンスにはなり難いことです。こうした低PBR銘柄への投資は大半が収益の不安定さや財務内容の脆弱性、収益力の低さ、未来への成長確信が持てないなどの理由が背景にあります。
 大半の銘柄は3期連続の増益が期待しにくい体質であったり突然の下方修正を行うなどの不安定さを持っていますので個人もさることながら機関投資家や外国人投資家などが買わないと考えられる銘柄となっています。

 セクターでは大半の地銀以外では自動車関連、素材系、金属、化学、紙パルプなどに見られます。一般的には衰退産業と見なされているビジネスに取り組む銘柄が多く、利益成長が止まっていると見られる銘柄ばかりです。
 そうした銘柄は東証市場改革の下でプライムからスタンダードに移行を余儀なくされたり、それぞれの上場維持基準を見たそうとIRや自己株の消却に務める動きも見られます。

 低PBR銘柄の中には有利子負債の比較的大きな銘柄もあればキャッシュリッチな無借金銘柄もあったりします。銘柄ごとに微妙な違いはありますが、なぜこれ程までに低水準のPBRで評価されているのか理解しずらい銘柄もあったりします。
 中には日本製紙3863や名証上場の岡谷鋼機7485のように時価総額1000億円以上のPBR0.35倍の銘柄もありますが大半は時価総額が20億円から100億円程度の低PBR銘柄だったりします。

 今回はざっとPBR0.35倍以下で時価総額が100億円前後の研究余地ある銘柄をいくつか掲げておきますので読者の皆さんでご研究なさってみてはいかがでしょうか?


【参考 研究余地ある中小型低PBR10銘柄】


1.大伸化学(4629)0.35倍
2.シキボウ(3109)0.35倍
3.エスライン(9078)0.34倍
4.西川ゴム(5161)0.34倍
5.タイガースポリマー(4231)0.34倍
6.ホッカン(5902)0.33倍
7.ダイナパック(3947)0.32倍
8.日本プラスト(7291)0.32倍
9.日本山村硝子(5210)0.32倍
10.ヤギ(7460)0.30倍


(炎)


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 執筆者:炎のファンドマネージャー

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