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 30年前といえば1990年代の前半。
 バブルが崩壊した時代にトヨタの売上高純益率は一桁前半であった。
 2%程度の年が多かった。
 純益は1000億円台。
 売上も10兆円に満たなかった。
 バブル景気がはじけてはいたが、金利も高く、財務内容がよい企業は経常利益の方が圧倒的に営業利益よりも高い時代であった。
 財務が投資を担当している財テク時代でもあった。
 時価総額はいまの10分の1。


 その後、円高にも苦しむが、総じて、業績は右肩上がりであった

 近年、トヨタの純益率は大幅に改善し、10%には満たないが一桁後半になっている。


 売上が数倍になり、利益率が数倍になったので株価は10倍以上になったわけだが、これがグローバル企業の典型的なパターンのひとつであることはあまり議論されない。

 規模の経済が働き、固定費の効率化がなされる。

 固定費とはたとえば人件費だが、要するに人は頭が良いので生産性が高まる。
 R&Dなども売上には比例しない。人の数も売上には比例しない。


 こうした長期の業績にどの企業でも現れる際立った特徴は、じわじわとしたトレンドなので、短期の投資家には見えない。
 30年で利益率が9%改善したとしても、年率に直せば微々たるものだ。
 しかしながら、塵も積もれば山となる。
 複利の効果も相まって株価がいつのまにか10倍になってしまう。


 デフレの失われた30年で企業業績はどうなったのか。
 一般の景気や経済と企業業績は大きく乖離しているのはなぜか。

 そうした長期の趨勢を丁寧に見ていくと投資はまた面白いものになる。


 実は、長期投資の理論なるものを少し動画で取り始めた。
 自分自身の投資理論を整理するためだ。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLCZWAYI-4677KcUd0m_T_6OLAAs17Fi9y


 長期投資では、業績を主に論じていく。株価は二の次なのだ。

 業績がどうなるかを論じることで企業価値がどうなるのかを推定していく作業である。

 最後に時価総額を見て、投資判断をする。


 トヨタの場合、PERは低い方であり、将来の期待は入っていないので、慎重に将来の可能性を論じる必要はあるが、時価総額を活かせば、なんとかなるというのが大方の見方であり、それは正しいだろう。


(NPO法人イノベーターズ・フォーラム理事 山本 潤)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織/団体の見解ではありません。)