ラスベガス報告の3回目は、そもそも今回の訪問目的であったNAPFAカンファレンスの内容や雰囲気について報告します。

 NAPFAとは(The National Association of Personal Financial Advisors)の略称で、目的は前回までにお伝えしてきたFee-Onlyのアドバイザーを支援、組織化する団体です。

 似たようなアドバイザーやプランナー向けの団体としては、FPA(The Financial Planning Association)があり、こちらの方が規模も10倍ぐらい大きな団体です。
 しかし、FPAはFinancial Planningの団体と定義づけられているのでそこには所謂、保険販売や証券販売によってビジネスを成立させている人も所属しています。(むしろそういうビジネスの方が多数派かもしれません)

 以前から述べているように、こうした証券販売や保険販売のビジネスでは、顧客との間にどうしても利益相反関係が生じてしまいます。つまり売り手にとって販売手数料の高い商品を勧める誘因が働くということです。

 もちろんFPAでは、その問題を認めた上で、利益相反になったとしても顧客第一に考える倫理観を強く打ち出してはいますが、そうした倫理目標が、お題目 になってしまいがちなのは日本の証券、保険業界をみても明らかです。その点では日本だけではなく米国や英国などの諸外国でも同様です。

 そうした倫理感に訴える効果は、乏しいことを良くわかっている英国は今年からこうした、販売誘因の働くコミッションという考え方を全廃しました。
 RDR(Retail Distribution Review)と言いますが、これはアドバイザーが顧客に対して入口できちんと販売に関する手数料を公開、説明することが義務付けられたという動きです。

 この規制によって、アドバイザーはきちんと自らの受け取る手数料について情報公開をすることになるので、顧客側もその手数料を考慮しながら商品についての解説を受けるということになります。

 逆に言えば、商品説明やプランニングについて「無料で」という概念が無くなったとも言えます。英国の金融当局も「アドバイスは無料ではないですよ」というキャンペーンを大きく取り扱っていました。

 さて、話をNAPFAに戻します。つまりこうしたFee-Onlyのアドバイザーはこれまではマイナーではありましたが、英米では徐々に一般的なアドバイザーの形として認知されつつあります。

 NAPFAカンファレンスは米国で活動するFee-Onlyのアドバイザーが集い、そのスキル向上と、ネットワーキングを広げる場を提供しているイベントとなってます。

 今回はおおよそ500名程度のアドバイザーが集合していました。ホテルで合計4日間にわたりカンファレンスが開催されました。

 ここで行われるセッションは主に「マーケティング」「運用」「コミニュケーション」「マネジメント」などアドバイザーとして自らの事務所を経営して行くのに必要な知識やスキルを、その道のプロや先輩がメンバーに知見を共有するという流れで行われます。

 次回は、参加した中からいくつかのセミナーを取り上げて具体的にどのようなことが話し合われているのかをご紹介したいと思います。

株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一

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