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注目イベントをこなし、マーケットは少しずつ荒い熱が冷めてきたとの声もあります。
嵐が去った後には、マーケットはどんな風景になるのか。これから育つ種をじっくり探す時期に来ているのかもしれません。
5月の株式下落の嵐は、6月になってドル・円相場を大きく動かしました。5月分の米雇用統計が発表日(7日)を待たずに、100円を割ると、乱高下を繰 り返し、一時94円割れを示現しました。この背景にあるのは、ご存知、「米国の出口戦略」です。時期が早まるという憶測が出れば、株安からリスク回避の円 買い行動に走るというパターンが繰り返されています。
その間、ファンド筋による日本株買い・円売り取引失敗による手仕舞いの噂、米銀大手行にドル高により巨額損失が生じるのではないか、との観測記事など、 連ちゃんで売り材料が出て、黒田バズーカ砲発射日の相場水準をかすり始めたので、中長期でのポジションにも一部手仕舞いが起こったと思われます。
欧州中央銀行や日銀が、6月の理事会で緩和的な政策を出さなかったことも、売りの材料となりましたが、今回のメインにあるのは、米国の金融政策の行方です。非伝統的な金融政策を終わらせた後は、どうなるのか?という不安がリスクテイクを控えさせます。
リーマンショック後の混乱を収めるために始まり、もう4年も行っている緩和政策です。それが止んだらどうなるのか?不安パニックです。「じゃぶじゃぶ」に慣れきっている現在「減らしたらどうなるの!?」の「だだっこ」現象かもしれません。
そんな中、米国金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)が18日&19日開かれ、19日(日本時間20日未明)に声明文が出ます。注目されるのは、その後予定されている、バーナンキFRB議長のコメントが聞かれる会見です。
購入している債券(月450億ドルの米国債、400億ドルの住宅ローン担保証券)の規模縮小についてコメントするかどうか、が最注目点です。規模縮小を 明言すれば、セオリー通りならドル金利上昇でドル買い要因ですが、株式市場の下落→リスク回避の円買いで反応する可能性も高まります。いづれにしても、そ の時の市場の解釈により乱高下する可能性があります。どちらに動いても、それなりの後講釈がついて来るでしょうが、とりわけ嵐の後という市場環境です。落 ち着いてから参戦するのが賢明だと思います。
ドル円相場は、日銀のマネタリーベースの倍増、米国の金利上昇期待、日本の貿易赤字の継続、日米の金融政策の時間軸の違いなど、円安要因が多い、と前号 でもふれました。今の条件が続けば、中長期的には円安のシナリオの可能性が高いと思います。ここ半年で最も取引が集まっている分布が93円台水準。この水 準キープで下値固めなら、中長期的な円安シナリオで行けると思いますが、一方通行相場の後は、紆余曲折があっても、不思議ではないでしょう。
ドル円乱高下の横で、静かに上昇してきたのが、ユーロです。
6月6日の欧州中銀の政策決定会合では、利下げを含めて新たな金融緩和には言及せず、落胆したマーケットではリスク回避の動きが起こりました。5月後半 には、1ユーロ=1.28水準で推移していましたが、直近では1.34水準まで上昇しました。昨日、ドラギ総裁は、欧州中銀は必要なら非標準的措置を検討 する、必要な限り緩和的にとどまる、との趣旨の発言をして、マーケットは好感しました。直近のドイツの景況感指数が上昇したことも、ユーロ買いにつながり ました。
では、1ユーロ=1.34水準のユーロは高すぎなのか、まだ買い余地があるのか?
もちろん、相場はマーケットの需給に大きく左右されますが、物価水準による購買力によれば1.15から1.24水準です。ドルを持って欧州に行くと物価 が高いと感じるでしょう。対円でも130円近いユーロでは、買い物を手控えると思います。また、最近は話題にならないですが、スペインやイタリアの国債の 信用度を取引する保証料が5月中旬を底に上昇してきているのも、気になるところです。
ここからのユーロの上値追いは、キツイかなと個人的には思っています。
昨日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が前回の政策決定会合の議事録を公開しました。その中で、豪ドルの水準はまだ下げ余地があるというコメントが ありました。先週、対ドル今年の安値0.93台から0.96台まで反発していた豪ドルは0.94台まで反落しました。直近の対円相場は、90円前半での取 引ですが、豪ドルの投資信託や外債を購入していた日本人投資家の中には利益確定した方も多く、残高が少なくなったと報じられています。米大手金融機関の中 にも、豪ドル対米ドルのターゲットを0.90水準まで下方修正したところもあります。
一方で、世界の中央銀行が、豪州債を購入している話を聞きます。オーストラリアは、トリプルA格付けでもあり、他の先進国に比較して利回りも未だ高いの で、外貨準備資産に豪ドル債を増やしているというわけです。中国経済の減速や資源投資のピークアウト、豪ドル安を目指す豪中銀豪など、豪ドル売り材料が目 立つ中で、民間とは異なる、公による支援材料と言われています。購買力では、対米ドルで20%程度割高とはいえ、準先進国としての根強い需要には注目して おきたいところです。
市場の最大の関心事、FOMCは今夜。議長の一言一句に反応して、乱高下する可能性もあります。また、新興国市場では、通貨も株式も下落が続いています。市場が下値固めするには、まだ日柄整理が必要でしょう。
今夜は、サッカー(日本対イタリア)の試合とFOMCが夜中に予定されています。寝不足にも気をつけたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*6月19日13時執筆。本号の情報は6月18日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
嵐が去った後には、マーケットはどんな風景になるのか。これから育つ種をじっくり探す時期に来ているのかもしれません。
5月の株式下落の嵐は、6月になってドル・円相場を大きく動かしました。5月分の米雇用統計が発表日(7日)を待たずに、100円を割ると、乱高下を繰 り返し、一時94円割れを示現しました。この背景にあるのは、ご存知、「米国の出口戦略」です。時期が早まるという憶測が出れば、株安からリスク回避の円 買い行動に走るというパターンが繰り返されています。
その間、ファンド筋による日本株買い・円売り取引失敗による手仕舞いの噂、米銀大手行にドル高により巨額損失が生じるのではないか、との観測記事など、 連ちゃんで売り材料が出て、黒田バズーカ砲発射日の相場水準をかすり始めたので、中長期でのポジションにも一部手仕舞いが起こったと思われます。
欧州中央銀行や日銀が、6月の理事会で緩和的な政策を出さなかったことも、売りの材料となりましたが、今回のメインにあるのは、米国の金融政策の行方です。非伝統的な金融政策を終わらせた後は、どうなるのか?という不安がリスクテイクを控えさせます。
リーマンショック後の混乱を収めるために始まり、もう4年も行っている緩和政策です。それが止んだらどうなるのか?不安パニックです。「じゃぶじゃぶ」に慣れきっている現在「減らしたらどうなるの!?」の「だだっこ」現象かもしれません。
そんな中、米国金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)が18日&19日開かれ、19日(日本時間20日未明)に声明文が出ます。注目されるのは、その後予定されている、バーナンキFRB議長のコメントが聞かれる会見です。
購入している債券(月450億ドルの米国債、400億ドルの住宅ローン担保証券)の規模縮小についてコメントするかどうか、が最注目点です。規模縮小を 明言すれば、セオリー通りならドル金利上昇でドル買い要因ですが、株式市場の下落→リスク回避の円買いで反応する可能性も高まります。いづれにしても、そ の時の市場の解釈により乱高下する可能性があります。どちらに動いても、それなりの後講釈がついて来るでしょうが、とりわけ嵐の後という市場環境です。落 ち着いてから参戦するのが賢明だと思います。
ドル円相場は、日銀のマネタリーベースの倍増、米国の金利上昇期待、日本の貿易赤字の継続、日米の金融政策の時間軸の違いなど、円安要因が多い、と前号 でもふれました。今の条件が続けば、中長期的には円安のシナリオの可能性が高いと思います。ここ半年で最も取引が集まっている分布が93円台水準。この水 準キープで下値固めなら、中長期的な円安シナリオで行けると思いますが、一方通行相場の後は、紆余曲折があっても、不思議ではないでしょう。
ドル円乱高下の横で、静かに上昇してきたのが、ユーロです。
6月6日の欧州中銀の政策決定会合では、利下げを含めて新たな金融緩和には言及せず、落胆したマーケットではリスク回避の動きが起こりました。5月後半 には、1ユーロ=1.28水準で推移していましたが、直近では1.34水準まで上昇しました。昨日、ドラギ総裁は、欧州中銀は必要なら非標準的措置を検討 する、必要な限り緩和的にとどまる、との趣旨の発言をして、マーケットは好感しました。直近のドイツの景況感指数が上昇したことも、ユーロ買いにつながり ました。
では、1ユーロ=1.34水準のユーロは高すぎなのか、まだ買い余地があるのか?
もちろん、相場はマーケットの需給に大きく左右されますが、物価水準による購買力によれば1.15から1.24水準です。ドルを持って欧州に行くと物価 が高いと感じるでしょう。対円でも130円近いユーロでは、買い物を手控えると思います。また、最近は話題にならないですが、スペインやイタリアの国債の 信用度を取引する保証料が5月中旬を底に上昇してきているのも、気になるところです。
ここからのユーロの上値追いは、キツイかなと個人的には思っています。
昨日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が前回の政策決定会合の議事録を公開しました。その中で、豪ドルの水準はまだ下げ余地があるというコメントが ありました。先週、対ドル今年の安値0.93台から0.96台まで反発していた豪ドルは0.94台まで反落しました。直近の対円相場は、90円前半での取 引ですが、豪ドルの投資信託や外債を購入していた日本人投資家の中には利益確定した方も多く、残高が少なくなったと報じられています。米大手金融機関の中 にも、豪ドル対米ドルのターゲットを0.90水準まで下方修正したところもあります。
一方で、世界の中央銀行が、豪州債を購入している話を聞きます。オーストラリアは、トリプルA格付けでもあり、他の先進国に比較して利回りも未だ高いの で、外貨準備資産に豪ドル債を増やしているというわけです。中国経済の減速や資源投資のピークアウト、豪ドル安を目指す豪中銀豪など、豪ドル売り材料が目 立つ中で、民間とは異なる、公による支援材料と言われています。購買力では、対米ドルで20%程度割高とはいえ、準先進国としての根強い需要には注目して おきたいところです。
市場の最大の関心事、FOMCは今夜。議長の一言一句に反応して、乱高下する可能性もあります。また、新興国市場では、通貨も株式も下落が続いています。市場が下値固めするには、まだ日柄整理が必要でしょう。
今夜は、サッカー(日本対イタリア)の試合とFOMCが夜中に予定されています。寝不足にも気をつけたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*6月19日13時執筆。本号の情報は6月18日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)