執筆時点は東京オリンピックが決定していない先週末ですが、充分に今後参考となる内容となっております。ぜひご購読もよろしくお願いいたします。
=「バリュートラップに怯えすぎる愚はおかしたくないと考える日々が続く」=
(有料メルマガ2013/9/10配信号)
― 銘柄の研究をじっくり行って、急がずにじっくりと底打ちを待つべき時だと感じます。しかし怯えすぎることは無いとも考えています。 ―
株式投資など、相場といわれる投資対象で、長く運用を行っていると、相場での運用成績は運や偶然に左右されることが本当に大きいということを身に染みて悟らされます。
勿論、相場ばかりではなく人生でも仕事でも運や偶然に左右されて未来が変わってしまうことは、世の中の動きや人の浮き沈み、政治家や芸能人ばかりではなく、学生時代の友人たちや、仕事の同僚の浮き沈みを見ていれば、いやというほど納得させられます。
それでは運や偶然に賭けて投資や人生における決断をするかといえば、自暴自棄になって追い詰められているようなことが無ければ、人間はそれほど見境のない行動をとることは少ないと考えています。
相場においても理屈で説明できる株価の動きが、まったくゼロという訳ではなくて、20%から30%くらいは理屈で説明がつく部分もあります。
運や偶然もある程度の努力で、より運が良くなるとか、自分に都合のよい偶然が起こる確率を高める、ということが出来ないわけではないと私自身は信じてい ます。しかし、これは経験で体感、理解できることで、言葉や理論で他人に明確に説明し理解してもらうことができることではないと思っています。
そこで、私は運や偶然は人間の力ではどうすることもできないものだという前提を置いたうえで、投資家としては人間が理解できる20%から30%程度の合 理的に説明できる株価に影響を与える部分を見極め、考え抜いて投資行動をとっていくことで、利益を少しでも上げること、運用成績を上げることを目指すしか ないと考えているわけです。
中長期的に考えれば、株価というものは企業が業績を上げ利益を出し続けて成長していけるかどうかで決まると、世の中では考えられています。
だから個人投資家もプロのファンドマネージャーも投資家ならば企業のファンダメンタルズの内容を考え抜いて、ファンダメンタルズが良好なのに株価が安値に放置されている、本当(=どう考えても絶対といえるほど)に割安な銘柄を探しているわけです。
しかし株式投資においては、そんな本当に割安な株に投資することが出来たとしても、それで儲かることが保障されているわけではないことも、真実です。
多くの自分以外の投資家が、自分が買った『本当に割安』な株に気が付いて、いっしょに買ってくれなければ株価は、まったく上がらずに、むしろ下げてしまうことも多いのが株式市場の真実の姿です。このことは株式投資を1年程度も行っていれば、気付かされる事実です。
これを相場の世界では『バリュートラップ(割安性の罠)』などと呼んでいるわけです。しかし、このメルマガをスタートしてから、研究銘柄として取り上げた時点ではバリュートラップにどっぷりはまり込んでいたバリュー株が1年から2年たって株価を確認すると、研究銘柄として取り上げた時よりも株価が数倍に上がったものはかなりたくさんあります。
多くの投資家が割安な株に投資しない理由はもろもろです。投資家がそのような株を買わないのは、その企業の株価が割安なことを知らないことが、まずあり ます。また割安だと気が付いていても、出来高が小さい銘柄の場合は、その銘柄に投資している大口の投資家の都合による売買で株価が急に大きく落ちてしまう ことも有りうるという流動性リスクが高いこともあります。
しかし多くのベテラン投資家が懸念するような、流動性リスクが発生して自分の買値から株価が大きく下落しても、買った時点で、すでに株価が『企業の本当 の価値(=資産価値+事業価値)』から考えて、とても安いところにあったわけですから、さらに株価が下げたとしても購入時点より配当利回りが高くなり、 PERとPBRなどの投資指標はより低くなり、割安感がもっと大きくなるということも事実です。
最初に述べたように株価が業績に比例して、いつかは分からないけれど、いずれかの未来に上がるならば、その企業が業績を伸ばして利益を出し続けて成長し ていくと信じられるなら、ある程度の長い投資期間を考えて、これから数年間は使う必要がない資金を、投資しておく対象として考えても良いと思っています。 つまり現在時点ではどっぷりとバリュートラップに落ち込んでいる銘柄も、投資対象としては魅力があるとも判断できます。
そのような割安株に投資をするために一番大切なのは、その企業のファンダメンタルズ、少し細かく例示すると利益率、収益性、事業の成長性、財務の健全 性、すでに保有している資産の価値、製造ノウハウなどの知識を持つことです。つまり企業分析が大切だということです。その企業を良く理解していないと投資 する意欲は持てません。
繰り返しになりますが、人間が理解できる理由で株価が上がる(=決まる)割合は20%から30%しかないことも、頭の中ではしっかりと認識しておくことも大事です。
そしてこのようなバリュートラップに落ち込んでいるような銘柄の株価が上がり始めるときは、何らかのカタリスト(=触媒)が存在していることも多いということを理解しておくことが大事です。
身近なカタリストといえば、優待の最終権利日が近づいてくること、業績の大幅な増益修正のIRがあること、投資環境が良くなる事、そして今なら東京オリンピックが東京に決定されることなどが考えられます。
(中略)
ただ先週のコラムにも書いたように、この原稿を書いている9月6日時点のヨーロッパのマスコミなどでは、2020年のオリンピック開催国はスペインのほうが日本より有利だという下馬評が流れています。
(後略)
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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