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米国の金融政策変更はいつなのか?見方がコロコロ変わり、相場も方向感定まらず、年末前のマーケットは益々ボックス相場の様相です。
10月末に行われた米国の金融政策を決定するFOMCは、量的緩和第三弾QE3の縮小は来年春以降としていた多数派の見方を微妙に変えることになりまし た。10月のFOMCは元々記者会見も予定されず、大きな期待はされていませんでした。ただ、米政府の閉鎖の影響を懸念する見方が示され、縮小時期は先送 りされるというニュアンスは伺えるのではないかという見方が事前にありました。
ところで、FOMC終了後の声明文は意外な印象を与えました。米国の財政問題が経済に与える影響についても触れられず、むしろFOMCは景気に楽観的な 見方をしているという印象を与えました。縮小は遠のくとの見方で低下していた米債利回りは0.10%以上反発。10年債利回りは、10月半ばに一時 2.5%割れの場面もありましたが、直近では2.6%台まで戻してきました。
米FOMC後の為替相場の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスは、オセアニア通貨(ニュージーランド・ドル1.23%、豪ドル0.54%)が上昇した一 方で、ブラジル・レアル(2.15%下落)を筆頭に新興国通貨や北欧通貨、そしてユーロや日本円も安くなりました。ブラジル・レアルの下落は政府への反発 と財政赤字の拡大と言われています。余談ですが、サッカー・ワールドカップやオリンピックの開催、大丈夫?と心配になります。
このところドル安の受け皿としても上昇を続けていたユーロの反落が話題になっています。きっかけはユーロ圏の消費者物価が予想以上に下落したことが主に 言われています。デフレ懸念により、今週開かれる欧州中央銀行の金融政策理事会で利下げが決定されるのではないか?という憶測がユーロ反落の理由です。デ フレと判定されるかどうか判断が難しいところですが、ディスインフレ傾向は米国、ユーロ圏、スイスなどにも見られます。成熟した先進国はインフレにはなり にくい傾向はあると言われます。日本がデフレを輸出したのかどうかは分かりませんが、円安による影響があるかもしれません。
ユーロ圏の利下げ?といっても既に政策金利は0.5%。また、それぞれ経済状態がかなり異なる共同体であるユーロ圏では金利変更は難しい選択です。7日 の理事会では、利下げは議論されるものの決定はされないのではないかと推測します。ドラギ総裁がどのような声明で市場にメッセージを伝えていくのかを市場 は注目しています。
ユーロは対米ドルで、先週1.38台前半まで上昇して、当面の上値を形成。その後、直近1.35割れまで低下してきました。ドル反発とユーロ利下げが背 景です。目先の支持線は1.34前半にあり、次は1.33半ばに100日移動平均が、さらに下落した場合には200日移動平均1.3220辺りに強い支持 線があります。
以前にも記しましたが、購買力平価(物価比較)でユーロは現水準でも高すぎますが、ディスインフレ、またマネー供給量が日米に比べて少ない等を考える と、ユーロは底堅く推移するのではないか、と個人的には思っています。スペインの国営企業の民営化も株式市場では良い材料になり、問題国とコア国のドイツ の国債利回りは縮小し安定してきました。ユーロにはプラスに働くものと思います。
さて、ボックス圏内での動きが続くドル・円相場はいつまで箱の中なのでしょうか。三角もちあいのブレークを待つ人たちを尻目に今日も200日移動平均の死守が続いています。
三角もちあい、というよりも四角の箱の中にパックされているようです。今日現在の200日平均は97円68銭。大きな事象がおこった場合には、下抜けの 可能性も高いわけですが、その下のエリア96円台で相場はかなり揉んだ経緯があり、出来高も大きかったですし、95円台も大きなサポートになります。上を 見れば、99円~100円は近いのに遠くのしかかる鉄壁のようですが、時間をかけてブレークしていく可能性は未だあると(しつこく)思っています。背景 は、日本の貿易決済が輸入に傾いている、投資の資金フローが海外へ引き続き流れている、そして、日銀総裁のデフレ脱却へのブレ無い固い決意も加えておきた いと思います。
とは言え、世界では毎日様々な事象がおこるわけで、特に株式市場の下落は円高に動きやすく(それだけではありませんが、一般的に)株安で円高、円高で株安と市場は反応します。円は有事の安全資産という見方から買われるという面があります。
一方で、読者の方から、「外国人投資家が日本株を買うときに為替リスクをヘッジするために前もって円売りのポジションを作り、株式を売るときには為替ポ ジションを閉じるので円買いをするので円高に動く要因になる」というコメントを頂戴しました。コメント、ありがとうございました。
確かに、ご指摘の要素はあると思います。外国人投資家の動向を毎週金曜日に財務省から発表される対内証券投資統計(株式ネット)などで把握しておくと参考になると思います。外国人買いが増えていれば、円相場への影響もそれだけ大きくなります。
今週は、7日の欧州中銀理事会、8日の米国の10月雇用統計が注目材料ですが、9日からの中国の共産党中央委員会の会合、3中会が開催され、経済改革案が出るのではないかという見方も聞きます。これも注目です。
年末が近づき、決算がらみや税金がらみの動きが波乱要因になる季節ですが、来年への種もころがっている時期でもあります。資金ポジションにも(体力にも)余裕をもって臨みたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*11月6日13時執筆。本号の情報は11月5日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
10月末に行われた米国の金融政策を決定するFOMCは、量的緩和第三弾QE3の縮小は来年春以降としていた多数派の見方を微妙に変えることになりまし た。10月のFOMCは元々記者会見も予定されず、大きな期待はされていませんでした。ただ、米政府の閉鎖の影響を懸念する見方が示され、縮小時期は先送 りされるというニュアンスは伺えるのではないかという見方が事前にありました。
ところで、FOMC終了後の声明文は意外な印象を与えました。米国の財政問題が経済に与える影響についても触れられず、むしろFOMCは景気に楽観的な 見方をしているという印象を与えました。縮小は遠のくとの見方で低下していた米債利回りは0.10%以上反発。10年債利回りは、10月半ばに一時 2.5%割れの場面もありましたが、直近では2.6%台まで戻してきました。
米FOMC後の為替相場の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスは、オセアニア通貨(ニュージーランド・ドル1.23%、豪ドル0.54%)が上昇した一 方で、ブラジル・レアル(2.15%下落)を筆頭に新興国通貨や北欧通貨、そしてユーロや日本円も安くなりました。ブラジル・レアルの下落は政府への反発 と財政赤字の拡大と言われています。余談ですが、サッカー・ワールドカップやオリンピックの開催、大丈夫?と心配になります。
このところドル安の受け皿としても上昇を続けていたユーロの反落が話題になっています。きっかけはユーロ圏の消費者物価が予想以上に下落したことが主に 言われています。デフレ懸念により、今週開かれる欧州中央銀行の金融政策理事会で利下げが決定されるのではないか?という憶測がユーロ反落の理由です。デ フレと判定されるかどうか判断が難しいところですが、ディスインフレ傾向は米国、ユーロ圏、スイスなどにも見られます。成熟した先進国はインフレにはなり にくい傾向はあると言われます。日本がデフレを輸出したのかどうかは分かりませんが、円安による影響があるかもしれません。
ユーロ圏の利下げ?といっても既に政策金利は0.5%。また、それぞれ経済状態がかなり異なる共同体であるユーロ圏では金利変更は難しい選択です。7日 の理事会では、利下げは議論されるものの決定はされないのではないかと推測します。ドラギ総裁がどのような声明で市場にメッセージを伝えていくのかを市場 は注目しています。
ユーロは対米ドルで、先週1.38台前半まで上昇して、当面の上値を形成。その後、直近1.35割れまで低下してきました。ドル反発とユーロ利下げが背 景です。目先の支持線は1.34前半にあり、次は1.33半ばに100日移動平均が、さらに下落した場合には200日移動平均1.3220辺りに強い支持 線があります。
以前にも記しましたが、購買力平価(物価比較)でユーロは現水準でも高すぎますが、ディスインフレ、またマネー供給量が日米に比べて少ない等を考える と、ユーロは底堅く推移するのではないか、と個人的には思っています。スペインの国営企業の民営化も株式市場では良い材料になり、問題国とコア国のドイツ の国債利回りは縮小し安定してきました。ユーロにはプラスに働くものと思います。
さて、ボックス圏内での動きが続くドル・円相場はいつまで箱の中なのでしょうか。三角もちあいのブレークを待つ人たちを尻目に今日も200日移動平均の死守が続いています。
三角もちあい、というよりも四角の箱の中にパックされているようです。今日現在の200日平均は97円68銭。大きな事象がおこった場合には、下抜けの 可能性も高いわけですが、その下のエリア96円台で相場はかなり揉んだ経緯があり、出来高も大きかったですし、95円台も大きなサポートになります。上を 見れば、99円~100円は近いのに遠くのしかかる鉄壁のようですが、時間をかけてブレークしていく可能性は未だあると(しつこく)思っています。背景 は、日本の貿易決済が輸入に傾いている、投資の資金フローが海外へ引き続き流れている、そして、日銀総裁のデフレ脱却へのブレ無い固い決意も加えておきた いと思います。
とは言え、世界では毎日様々な事象がおこるわけで、特に株式市場の下落は円高に動きやすく(それだけではありませんが、一般的に)株安で円高、円高で株安と市場は反応します。円は有事の安全資産という見方から買われるという面があります。
一方で、読者の方から、「外国人投資家が日本株を買うときに為替リスクをヘッジするために前もって円売りのポジションを作り、株式を売るときには為替ポ ジションを閉じるので円買いをするので円高に動く要因になる」というコメントを頂戴しました。コメント、ありがとうございました。
確かに、ご指摘の要素はあると思います。外国人投資家の動向を毎週金曜日に財務省から発表される対内証券投資統計(株式ネット)などで把握しておくと参考になると思います。外国人買いが増えていれば、円相場への影響もそれだけ大きくなります。
今週は、7日の欧州中銀理事会、8日の米国の10月雇用統計が注目材料ですが、9日からの中国の共産党中央委員会の会合、3中会が開催され、経済改革案が出るのではないかという見方も聞きます。これも注目です。
年末が近づき、決算がらみや税金がらみの動きが波乱要因になる季節ですが、来年への種もころがっている時期でもあります。資金ポジションにも(体力にも)余裕をもって臨みたいところです。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
*11月6日13時執筆。本号の情報は11月5日のニューヨーク市場の終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)