先月20日に内閣府において「中長期の経済財政に関する試算」が財政経済諮問会議の中で提出されて議論されています。

 私はいつもブログやフェイスブックなどで、こうした財政経済について記述しても、あまり興味関心がないのか、反応が極端に薄くなると言う経験をしておりますが、それでも日本の財政健全化については興味を持ち続け、読者の皆さんにもお伝えしたいと思っております。

 なぜ日本の財政に注意を払っているのかと言えば、日本の財政については「危機的状況」と叫ばれながらも何とか維持されているのは、国民負担(要するに税 とか社会保障負担)を将来重くすることが予想されていて、それに対して国民が耐えうるという条件を前提としているのであり、一人一人の国民生活(ライフプ ラン)が大きく変化する要因として重要だと考えているからです。

 たまに経済専門家や政治家の中でも

「日本の国債消化はほぼ国内で消化されているので問題はない」

とか

「日本は対外純債権国なので問題がない」

とかいう議論を展開される方がいらっしゃいますが、その主張は日本国全体で議論を行うのであれば可能性はありますが、国民一人一人の家計を考えた時には、まったくナンセンスな議論です。

 つまり、国債を償還していくためには個人や企業の資産から徴税して支払っていくしか方法がないわけであり、これは個人や企業から国への資産移転が将来的に確実に生じるという事に他なりません。

 個人の方が今後の生活を考えた場合に、こうした財政の問題を考慮せずに今後のライフプランや生活設計を考えていくことはできないという事でもあります。

 前置きが長くなりましたが、今回の財政に関する試算を見ていきます。

 今回の試算ではメインシナリオは

GDP名目成長率が3.6%
GDP実質成長率が2.1%
物価上昇率は2.0%

というシナリオで作成されています。

ちなみに慎重シナリオでは

GDP名目成長率が2.1%
GDP実質成長率が1.3%
物価上昇率は1.5%

と控えめに作成されています。

そして例えば2001年~2010年の実績値は

GDP名目成長率が▲0.1%
GDP実質成長率が0.9%
物価上昇率は▲0.2%

ですので、アベノミクスが劇的に日本経済を成長軌道に導くことが前提となっている試算です(年金財政の時にも同様の指摘はしていたと思いますが)。

 この結果として算出された中長期の財政展望についてはこの楽観的なシナリオ作成をもってしても、相当悲惨な結果が出てしまいます。

 その試算結果についてはまた次回お伝えします。

株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/

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