
「オートレギュレーションの科学」の続きです!(#1,#2,#3)
このシリーズでは、自分の身体の変化をよく観察することにより、「その日の自分に最適な食べ方を自動的に調整できる状態をつくる」方法を考えております。
「栄養についてかなり詳しいのに、なぜか体脂肪が落ちない」とか「数字ばかりを見てダイエットしたら失敗した」みたいな問題にお悩みの方は、このオートレギュレーションの考え方を押さえておくのが吉。この方法を身に付けると、食事のことを深く考えずとも、無意識のうちに引き締まった体型を保つことができますんで。
ということで今回は、栄養コンピテンスと内受容感覚と同じぐらい大事な「自己制御」のお話です。
自己制御は“才能”ではなく“スキル”である
ダイエット中に、「やっちまった…」って事態に襲われるのはよくあること。深夜のアイス、予定外のドカ食い、SNSのグルメ投稿につられてのラーメン……などなど、こういった誘惑に負けるたびに「またやってしまった」と自己嫌悪になり、「私は意志が弱いんだ」と思ってしまうことは誰にでもありましょう。
が、パレオチャンネルの読者さんであれば、これが意思の問題じゃないのはご存じでしょう。近年の研究(R)では、自己制御は“才能”ではなく“スキル”であることが明らかになってきてまして、誰でも後天的にトレーニングできる「技術」だって考え方のほうが主流なんですよね。
もしこの能力がなかったら、たとえ栄養コンピテンスが高かったとしても「知ってるけど行動できない」状態が延々と続いてしまうし、内受容感覚が高かったとしても「感じてるけど止められない」みたいな手が勝手に動く状態になっちゃうことは容易に想像がつきますからね。これを考えれば、自己制御という“行動に落とし込む力”が重要な能力なことは間違いないでしょう。
ということで今回は、このような「頭ではわかってるのにできない」問題にアプローチすべく、「自己制御(セルフ・レギュレーション)」について見ていきましょう。
さて、オートレギュレーションにおいて自己制御が大事な場面は多くありまして、たとえば、
- 仕事帰り、コンビニに寄ったついでに甘いものに手が伸びそうなとき
- 夜中、なんとなくキッチンに足が向いたとき
- SNSで流れてきた飯テロ動画を見てしまった瞬間
- トレーニングを頑張ったからと「ご褒美」を欲してしまう場面
- ストレスのせいでジャンクフードに逃げたくなったとき
こんな感じで、「今日は疲れてるし、いいか…」みたいに自分に言い訳してしまった経験は、誰でもあるでしょう。こういう場面は、短期的な快楽が一気に強まる一方で、長期的な目標が頭からすっ飛んでしまいやすく、だからこそ、そのギャップを埋めてくれるのが自己制御スキルってわけです。
実際のところ、こういう場面で「強い意志で我慢しろ!」というアドバイスは時代遅れでして、それというのも自己制御の鍵は「思考の設計」にあるからであります。
たとえば、2025年にミネソタ大学のロペス先生らが行った研究(R)では、健康的な食行動に課題がある大人360名を対象に 、
- 状況戦略:誘惑が出てこないように環境を整える(例:スナック菓子を家に置かない)
- 認知的リフレーミング:目の前の食べ物の見え方を変える(例:「これはご褒美」ではなく「目標の邪魔」)
っていう2つのテクニックがどこまで役立つかをチェック。すると、こうした戦略を2週間ほど実践した人たちは、明らかに食欲への衝動が減り、健康的な食行動が増えたとのこと。しかも、この効果は1カ月以上あとにも持続していたそうなんで、自己制御の重要性がわかるってもんですな。
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