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重要なお知らせ

2017-08-27 15:45
    突然ですが、タグマ!版の「有料コンテンツ批評」を終了します。

    理由を挙げようと思えば、いくらでも挙げられるのですが、外的な要因ではなく内的な要因、つまり、自分自身の変化に絞りますと、有料コンテンツに対する「主体性」の喪失になるかと思います。


    正直なところ、原稿を書くモチベーションは低下していません。例えば〇●について△月×日までに原稿を書いてくださいと頼まれれば、それを達成できる自信はあります。実際、津田メルマガなどでも連載を担当させてもらっていますが、大体、締め切りは守れています。提示された締め切りでの脱稿が難しい時は、締め切りを延長してもらう場合もありますが、それでも1週間、2週間と遅れることはないです。このように原稿は書けるのですが、「〇●について△月×日までに」という部分を、自分自身で決める意欲、すなわち「主体性」を失ってしまったのです。

    これは私に限ったことではないと思うのですが、何か物事を始めようという時は、とても強い主体性を持っています。「あれもしたい」「これもしたい」「もっとしたい」「もっともっとしたい」といった具合です。こういう時は、作業に対するモチベーション「自主性」も強くなります。要するに「いくらでも原稿を書いてやろう!」という感じです。何かの準備をする時の高揚感には、何にも代えがたい魅力があるのですよね。

    しかし、この高揚感は多くの場合、長続きしません。例えば、私のような有料コンテンツであれば、思ったより収益を上げられず、結果、モチベーションが低下するというケースが多いように思います。

    ぶっちゃけ、有料メルマガや有料Webマガジンの場合、集客が予想を上回ることは、まずありません。私の場合は、タグマ!の担当者の方とか、デザインを担当された方もいる手前、100人ぐらいは目指す方向になったのですが、半分にも届いたことはなかったと思います。正直、私の場合は、最初から三桁は無理だと思っていたので、それによるモチベーションの低下はありませんでしたが、多くの場合において、収益が少ないことはモチベーションの低下につながるようです。

    ちなみに、予想よりも反響があった場合も、万全とはいきません。好意的な感想だけではなく、さまざまな指摘が届くことになります。その結果、サポートに追われ、結局自分のやりたいことができない、なんて場合もあるのです。だから、有料コンテンツ批評の有料会員は数十人なのですが、実はちょうど良い数字だったのかなと思います。いや、有料会員数は多い方が良いに決まっているのですが、私はポジティブ思考の持ち主なんですよね。ただ、数十人がちょうど良いならば、有料メルマガ(Webマガ)という媒体を選択したことは失敗だと思いますけど、この反省材料は今後、何かに生かされるでしょう。


    特に会員数が増えなくてもグダグダと有料コンテンツ批評を続けてきたのは、書きたいことがあって原稿を書くだけでの時間があったからです。これが「主体性」です。途中で「有料メルマガ」に飽きたので、対象を「有料コンテンツ」に広げたのも「主体性」です。有料と無料によって読者をフィルタリングし、書きたいことを書くって最高に楽しいと思って続けたわけです。

    ちなみに「有料メルマガ」に飽きた理由はいくつかあるのですが、最大の理由は、ほぼ「ファンクラブ」と同義になったことです。書籍などを批評する場合、普通は(というか当然の帰結として)内容に関して、ああだこうだと指摘することになります。ところが、多くの有料メルマガは「無断引用禁止」とか書いてあるわけです。

    引用は著作権法上で認められたルールですから……と思うのですが、正直、こういうレベルのことを書く人とは関わりたくないですよね。ぶっちゃけ、日本語も法律も理解できていない(あるいは理解していないふりをしている)わけですから、最初からまともな議論は期待できない。変な因縁を付けられて消耗するのは嫌だから、有料メルマガには関わらない方が賢明と判断することは自然の成り行きではないかと思います。

    有料メルマガは、書店で売られている書籍や雑誌をデジタルで販売する手段というよりも、ファンクラブの集金手段になったのかなと思っています。こうした仮説を立て、声優を中心に約20のファンクラブに入会してみたのですが、その多くは、デジタルで“ほぼ”完結しているのですよね。

    「年会費」を取るところは大体、アナログな会員証が送られてきますが、会報のクオリティーはピンからキリまで。例えば水樹奈々さんのファンクラブであれば、けっこう上質な紙を使ったフルカラー20ページ強の冊子が年4回送られてきます。さらに、誕生日にはメッセージCDが送られてきたり、ライブのお知らせが封筒で届いたり、継続特典が送られてきたりするのですが、ここまで至れり尽くせりのファンクラブはまれ。会員証以外にアナログな物品の送付はない、というファンクラブもあるのです。

    「年会費」を取るところは、それでもまだアナログ要素も残されており、有料メルマガとは別物という感じですが、「月額」のファンクラブは、完全にデジタルのみで構成されています。会員証もデジタルで、継続月が長くなるとランクアップするギミックが施されている場合もあります。あと、提供されるコンテンツの種類で、料金が異なる場合もあります。通信環境によっては、動画配信されても見られない場合とかありますからね。これは、ケータイ公式サイトっぽい配慮だなと感じました。

    「月額」のファンクラブも、スフィアぐらいのクオリティーになれば「ちょっと違うな」と感じますが、提供できるコンテンツの種類やブランドイメージによっては、ニコニコチャンネルの有料ブロマガで十分。というか実際、ブロマガがファンクラブになっているケースも多いんですよね。

    で、ファンクラブであるならば、著作権法上で認められた権利ですから……と、会報を引用するのは、ちょっと違うかなという気がするのです。ですから、私の中では「有料メルマガはファンクラブ」という認識で、そうであるならば、私が紹介する意味ってないかなと思うのです。

    ファンクラブって、その人が好きだから入るもので、ぶっちゃけ、コンテンツの内容で入る入らないは選ばないでしょう。まあ「ファンだけどコンテンツがいまいちだから入会しない」という選択肢はあるかもしれませんが、コンテンツが良いからって、好きでもない人のファンクラブに入会する人は、いないんじゃないですかね。

    私の場合は、特に思い入れのない人のファンクラブに入った結果、その人のことを応援したいと思ったこともあるのですが、これはレアケースなんじゃないでしょうか。


    ちょっと強く書きすぎたでしょうか。あくまでも一部の有料メルマガについて問題を提起したのであり、全体としてはクオリティーの高い有料メルマガも多く存在します。

    例えば『水道橋博士のメルマ旬報』なんて、単純にスゲーと思いますよ。有料メルマガは同人誌(薄い本)みたいなものだと思っているのですが、その例で言えば『水道橋博士のメルマ旬報』は『週刊少年ジャンプ』なわけですよ。「HUNTER×HUNTER」が休載だろうが「ONE PIECE」もあれば「僕のヒーローアカデミア」もある。「20ページの薄い本を1000円で売っている横で、特別定価260円とかやめてください!」という気分にさせられます。

    いや、実のところ、『水道橋博士のメルマ旬報』の登場で吹っ切れた部分もあります。文字数で価格を決めちゃダメだなと。そこで勝負しても絶対勝てないと気付いたわけです。と言うよりも「週刊少年ジャンプは260円なのに、なんでこの同人誌は20ページで1000円もするんですか」とか文句を言われても、「ああ、この人、バカなんだな」と思えるようになった、という方が正確ですかね。

    ほかにも長く続いている有料メルマガは、さすがだなと思わせられることが多いです。有料メルマガは同人誌みたいと書きましたが、違う点があるとすれば、事前に刊行のペースを告知し、それを守ることが重視される、という点でしょうか。もちろん同人誌もコミケごとに新刊を出してくれたら(新刊を落とさなかったら)、それは高く評価されるべきなのですが、そもそも集金のスタイルが違うんですよね。

    同人誌即売会で同人誌を買う場合、一応モノを見てから、お金を相手に渡すわけですが、有料メルマガはモノが届く前にお金を渡すわけですよね。有料メルマガは先払いのため、「信用」がより重視されるのです。中には怪文書を毎日配信していて、別の意味でスゲーという人もいるのですが、定期刊行を継続できている有料メルマガは、それだけで素晴らしいと思っています。

    有料メルマガはブームこそ去っていますが、その特性をよく研究した面白いタイトルも増えています。例えば、本田圭佑『CHANGE THE WORLD』は、試合後のコメントをすぐに配信とか、メールならではのスピード感があって、とても面白いと思います。あとはトーク音源を売りにしている『髭男爵 山田ルイ53世のメールマガジン「貴族のメルマガ」』もオススメです。文章を読まなくて良いので、楽なんですよね。(もちろんテキストのコンテンツもありますが)


    閑話休題。まあ、なんだかんだで主体性をもって「有料コンテンツ批評」を運営してきたのですが、直接の転機となったのは、家族の病気でしょうか。有料会員向けには、これまでにも何度か書いているので、ここでは細かいことに触れませんが、正直、家にいても心が休まらなくなったんですよね。

    「有料コンテンツ批評」の収入だけでは食っていけないので、当然、ほかの仕事もしているのですが、収入の多い少ないはさておき、「有料コンテンツ批評」を中心に生活できてたんですよね、それまでは。でも、それは原稿を執筆するスペースとしても自宅が、自分にとって最もリラックスできる場所だったからこそ。家族を介護するとなると、まあ家では心が休まらないですよね。

    ただ、家族と同居しているおかげで、いろいろと助かることもあります。例えば、この2週間ほど、高熱や止まらない咳(せき)に悩まされ続けたのですが、家から一歩も出ることなく、十分に静養できたことは、大変感謝しています。これまでを振り返っても、家族の支えがあったから「有料コンテンツ批評」をやってこられた側面があるので、家庭の問題で「有料コンテンツ批評」をやめますというのは、ちょっと違うかなと思うのですが、環境の変化も、今回の決断を下すにあたり、重要な要素であることは否定できません。


    長々と現在の心境を綴ってみましたが、結局、この記事だって、もっと早く書けば良かったのに、月末まで引っ張ってしまったあたりが、もうダメだなと思うわけです。だってコンテンツを主体的に運営するにあたり、最も大事にすべきは読者なのですが、完全に自分の事情に引っ張られ、そこを重視できていないってことですから。というわけで、2017年8月末をもって、タグマ!版「有料コンテンツ批評」を終了したいと思います。※ブロマガの方は諸事情により、もう少し続けます。

    今後の細かい手続きについては、必要に応じて記事にしたり、個別で対応したりします。
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    ブログイメージ
    渡辺文重の有料メルマガ批評
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